マイクロ波化学の今後の展開とは?

今後の成長戦略

繰り返しになりますが、1つはやはりプラットフォーム性の強化です。いろいろなことに使える技術なので、このプラットフォーム技術をどんどん強化していくことを我々は重視しています。
具体的に何をするのかというと、さまざまな分野でのコラボレーションです。
公表しているもので言えば、例えばショ糖エステルの製造を太陽化学と連携したり、銀ナノワイヤーインクの量産技術を昭和電工と共同で開発しています。あるいはプラスチック原料のポリマーをBASFと共同開発するなど、1つの分野に特化するのではなく、幅広い分野で連携しています。
これを無謀と言われたり、「小さな会社なので1つのところだけやりなさい」という反対意見も少なくないのですが、やはり幅広い分野を開発・事業化していくことが非常に重要だと考えています。
一方で、リソースの制限は確かにあります。
単に開発をしているだけではなく、一緒に開発した技術がメーカーとのコラボレーションによって本当にものが作られて売られていくところまで実現していく必要があります。その最初の事例が2016年暮れに立ち上がる、太陽化学とのショ糖エステルの工場です。これは四日市で立ち上がります。
これだけにとどまらず、我々としては2つ目3つ目のプロジェクトを商業ベースで使えるプロセスを来年度中に立ち上げ、マイクロ波の持つプラットフォーム性、そしてこれが本当に使えることを示していきたいなと思います。
化学業界は非常に保守的な業界です。そういう形で実際に幅広い分野で使われていることがわかると、(業界として)今後どんどん取り入れやすくなってくるのではないかと思います。

起業家へのメッセージ

我々もまだ成功したとは言えませんが、とにかく何かをやりたい、ビジネスを起こしたいと思ったときに重要なのは、まずはトライしてみることです。単に頭の中や机の上だけで考えるのではなく、とにかく仮説検証し、トライアンドエラーすることが重要だと思っています。
我々がものづくりの会社を立ち上げ、まずマイクロ波の大型化にチャレンジし、大型化のチャレンジに成功しました。
それだけでは不十分で、やはりマイクロ波でものづくりができることを実績として示す必要がありました。我々自身は大型化に成功したリアクターを他の人に使ってもらおうと思っていましたが、実績がないものを使ってくれる人もおらず、結果として、我々自身で化学工場を2014年に建てることになりました。
そこが1つのブレイクスルーとなり、「本当にものが作れる」ことを証明できたので、多数の引き合いが世界中からくるようになりました。本来、研究開発系のベンチャーは得意分野に特化すべきというセオリーですが、我々は自分たちで工場を建てたのです。それによって初めて道が開けて、結果としてそれは大正解だったと思っています。
やってみてダメかどうか検証してみるという姿勢が重要です。何か迷っていらっしゃる方がいれば、とにかくトライしてみてほしいと思います。

起業志望者へのメッセージ

ベンチャーは毎年潰れそうになったり、大変なことが非常に多いです。しかし、それを何で乗り越えられるかというと、自分がその仕事を好きであり、楽しくて、興味があることだからこそ、だと思うのです。
逆に言うと、自分が好きで興味があることをやることが重要だし、そう思っていれば、あまりそこを苦労だと思うことはありません。そういう気持ちがなければ、心が折れてしまうかもしれませんよね。ですので、繰り返しになりますが、「自分がやりたいことをとにかくやること」、それが一番重要だと思います。

マイクロ波化学に興味がある方へのメッセージ

我々はこの100年ぐらい変わっていない化学産業を変えていこうと事業に取り組んでいます。非常にやりがいがありますし、面白い仕事だと思います。
とにかく一緒にチャレンジしたいという人はどんどん応募してほしいです。我々の最大の強みは多様なチームだと思ってます。そこのメンバーになってもらえればと思いますね。

 (インタビュアー:菅野雄太、撮影者:高田梨菜)

マイクロ波化学の採用ページ

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