取材の背景

成功した経営者が後輩起業家を金銭面、事業面でサポートするエコシステムは日本でも確立しつつあります。しかしそれらの多くは、東京を中心とした特定の地域でクローズドなコミュニティが運営されているだけで、なかなか地域の起業家にその知見やノウハウが共有されることがありませんでした。

 

そう感じているところ、Facebook上で、多くの起業家が拡散している1つの投稿記事を見かけました。

投稿者はMarketing-Robotics株式会社、代表取締役の田中亮大氏。投稿内容は「マーケロボが2019年1月、シリーズAの資金調達として約5.4億円を達成した際に活用していた事業計画書を、田中氏の投稿をシェアすれば見られる」というものでした。

 

「マーケロボとはどういう会社なのか?」「なぜ資料を公開したのか?」「今後どうなっていくのか?」

メディア運営者としては非常に興味が沸き、ぜひとも話をさせていただきたいと思い、公開10日後にインタビューさせていただきました(聞き手:アントレプレナーファクトリー 菅野雄太)。

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「これからチャレンジする人の為に」と思い、資料公開に踏み切る

−元々どういう意図で事業計画をシェアしたのか、お聞かせ頂いてよろしいですか?

田中:通常の資金調達は入金してからリリースすると思うんですけど、今回、東証1部のディップ様が株主になり、入金の前に、取締役決議の時点で東証にリリースを出すことになったんですよ。取締役会決議が1月10日で、その日にリリースも出ました。着金は1月末だったのですが。

 

 

なので、「着金後のリリースどうしようかな」と考えたんです。資金調達を振り返るとスムーズだったと言えばスムーズだったけど、楽じゃないと言えば楽でもなかった。

 

私は喋る台本のシナリオを書く癖がありまして、「事業計画資料だけでなく、その台本もセットで、これから調達する起業家たちに公開したら役立つんじゃないかな」と、ふと思い立って、投稿しました。「これからチャレンジする人の為になったらいいな」と純粋に思ったのが背景ですね。

資本政策は営業やマーケティング活動と同じ

−資金調達が上手くいく会社とそうじゃない会社の違いとは何でしょうか?

田中:マーケロボが上手くいったのは僕が天才的なプレゼンをするわけでもなく、うちのサービスが世界初の優れた技術を開発しているわけでもありません。元々、ずっとセールス、マーケティングを専門としてきましたので、通常のマーケティング活動と同様に、投資家として迎え入れたいペルソナを作って、カスタマージャーニー作って・・・そして、資本政策表に想定株主をバイネームとして記載していました。これが他の会社との違いだと思います。

 

多くの人は想定株主(バイネームで特定企業名)を作らずに、とりあえずVCやお金を出してくれそうな会社を何十社と回ります。投資家へのキャピタルゲイン以外のシナジーを明確に提示できる起業家は多くありません。株価を高くしてくれて、希望の%に収まるかどうかが基準ではないでしょうか。私の場合、資本政策書には、会ったこともない会社でも社名を入れています。

 

そして、会ったこともない会社、雲の上の社長でも、Facebookを見ると、この方と誰が繋がっているか分かるじゃないですか。私にとって資本政策というのは営業活動やマーケティングと一緒なので、ペルソナを作って、彼らとの事業提携もこちらが提案をする形なので、資料に「想定株主()」と書いてます。だから、8割方決まっています。「断れるところにはいかないから、資金調達が上手くいった」というわけです。

 

そうしておけば、「なぜ御社から出資を受けたいのか?」という理由になりますよね。でもほとんどの企業はそれをしない。「自分がこうしたいから、そこに関してお金を出してください」という話しかしないんです。

 

入社面接と一緒ですよね。「志望動機は何ですか?」「社会人になって給料が欲しいからです」と言っても、絶対に落ちますよね。

日本におけるSaaS型ビジネスの限界

−ベルフェイスを辞めて新たに起業した理由を教えてください

田中:理由は2つあって、1つ目は子どもが生まれたことです。ベルフェイスの前に、日本の社長.tvというメディアを運営する会社の役員をやっていました。20代は会社に寝泊まりするぐらい働いていましたね。子どもが生まれたタイミングで、ゆっくりしようかなと思い、ベルフェイスの副社長、販売会社の社長を降りました。

 

2つ目は、僕はベルフェイスの時代、在宅の主婦を組織化したインサイドセールスBPO事業やコンサルティング事業も行なっていました。その事業をMBOし、ベルフェイスの株式を売却する形で作ったのがマーケロボ(旧社名:タクセル)なんですよね。

 

−マーケロボを設立した当初と事業モデルが変わっていますが、なぜでしょうか?

 

田中:設立から開始した在宅インサイドセールスBPO事業は1年で事業売却しました。黒字にもなっていましたし、そのまま続けていこうか悩んだ上での決断でした。ベルフェイスはSaaS型の事業モデルです。マーケロボは、コンサルティングとBPO事業です。この二つの事業モデルを自ら構築した結果、どちらか一方よりも、SaaS×コンサルティング・BPOという掛け合わせが求められていることを体感しました。

 

 

2018年はSaaS元年だ」と世間で言われたりして、国内のデジタル化が助長されていますが、言い換えれば、今までSaaSツールを導入していなかった企業が多いということですよね。欧米など海外企業は、SaaSの浸透、デジタル化が日本企業より進んでいます。そういった市場環境においては、SaaSツールの投下だけで、顧客が使いこなしてくれて事業化できるわけです。他社SaaSツールより、高機能なものを開発して差別化すれば良い。

 

しかし、日本企業は、アナログを始めてデジタル化する会社だらけ。その会社に、ツールだけ渡しても使いこなせるわけないですよね。だから、多くの、テック企業は、チャーンレート(解約率)に悩む。その原因が、ツールの機能性や、デザインにあるのではないかと開発投資額を増やす。「いやいや、単に、使いこなせないだけだから」と突っ込みたい。

 

デジタルの進化、新しいSaaSツールの数だけついてこれない人達がいるので、デジタルやテクノロジーの進化に伴って、その数だけテクノロジーと既存業界、デジタルとアナログの溝を埋める翻訳者(ファシリテーター)が求められているわけです。

この役割は、人にしか出来ない仕事です。

 

この国は、テクノジーの進化だけでは、問題解決できない!と強く思います。

 

テクノロジーの進化は当然のこと、それに伴って、人回帰の考え方も必要なのではないでしょうか。

 

そこについて向き合ってないスタートアップ企業が多いなと感じました。

だからこそ、SaaS×コンサルティング・BPOというハイブリッド型の事業モデルを、マーケロボでは採用しました。

失敗しないMA(マーケティングオートメーション)ツール”KAIGAN”

(出典:kai-gan.net
−御社が提供をしているツール「KAIGAN」について教えてください

田中:Webのアクセス解析が出来て、Webのソリューションが出来て分析が出来る。あとは、シナリオ設定が出来てスコアリングがつけられる。LPやフォーム作成が出来て、さらにMAツールだと異例のCRM機能がついています。

 

他の会社はツールだけ売って、「あとは勝手に使ってね」というところが多いです。ユーザーは使えないし、IT企業はチャーン率(解約率)に悩むわけじゃないですか。彼らが提供するカスタマーサクセスは、僕からしたら茶番ですよ。ツールを使っていない人に無理やり使わせようとしているだけですよね。「カスタマーサポートは連絡があってから対応する、カスタマーサクセスは能動的にやる」と言っていますが、本当によく考えてほしいです。使っていない人は、使っていないだけの理由があるんです。その解決を、カスタマーサクセスでできてますか?と。

 

そう言っている会社のカスタマーサクセスは僕から言わせれば、職種じゃないですよ。だって、お金を貰っていませんよね。ボランティアです。堂々とお金を貰えるだけ、その会社が本当に使いこなせていない課題を解決するためのコンサルティングとかBPOを提供したらいいと思います。

 

でも、そこもやらない。すごく中途半端。当社は、堂々と月25万円のお金を貰って、コンサルティングして、要件定義して、さらにそれを入り込んで設定・運用代行をします。定着後、自ら成果をあげられるサポートをした上で、25万から月5万円のSaaS型課金に切り替えてもらっています。マーケロボでは解約じゃなくて、卒業と呼んでいるので、ここが他社のSaaS型ビジネスのベンダーと違うところです。

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内製化するための学費をもらい、導入をサポートする

ービジネスモデルについてもう少し詳しく教えてください

田中:クライアント企業に契約時に、「後々内製化をしたいですか?ずっとBPOでいきますか?」って最初に聞くんですよ。そしたら、ほとんどは内製化したいってやっぱり言うんですよ。じゃあ、代行費であり、僕らは内製化が出来るように学費として考えて、コンサルティングで提供するフレームワークとか全部開示して教えます。内製化に向かおうが、BPOのままだろうが、金額は一緒なんです。「ノウハウ全部開示するので、できるようになりましょうね」と。KAIGANは基本的に1年契約ですが、半年で卒業する会社もありますよ。出来るようになった時点で卒業です。マーケロボとしては25万円から月5万円に減るけど、労力はかかりませんから。額は減っても利益率は高くなる。お互いに、win-winな提案です。

 

さらに言うと、自社のツールをBPOしている、そういう会社ってあまりないんですよ。他社のツールをBPOしている会社はたくさんありますよね。要は、これはBPOのオペレーションノウハウが溜まっても、そのツールに関する運用ノウハウはたまらないわけですよ。

 

うちは自社ツールをBPOしているので、オペレーションのノウハウもたまるし、ツールの運用ノウハウもたまります。世の中はアナログ営業の中小企業ばっかりです。大企業でもアナログ営業ですよね。この企業の業績の向上をサポートしようとするコンサル会社があるわけじゃないですか。このコンサル会社のコンサルティングのやり方もアナログなんですよ。

 

個人の実績依存だし、自ら長年の実績を積まないと一人前のコンサルティングができないし。そんな彼等に、僕らは自社ツールと運用ノウハウをパッケージ化したものを提供しています。その代わりに、加盟金と月会費をもらう。「アナログからデジタル」を活用したコンサルティングができるようにするフランチャイズビジネスもやっています。そうすれば、若いコンサルタントも、何年も経験を積まなくても、一人前のコンサルタントになれる。

 

はっきり言って、俺流!のやり方が基となってコンサルティングをしている会社は、すぐに消えていくでしょう。だって、その俺流は、デジタルを活用しない時代のやり方でしょ。若いコンサルタントは、一人前になるまで先輩経営者に揉まれてから・・・そんな時代は終わっています。デジタルが分かる、自分も活用している、そんなコンサルタントでないと、存在が悪です。ここに年齢は関係ないんですよ。コンサルティング業界の大変革も始まったと僕は思っています。

 

実際に、今フランチャイズに加盟するコンサルタントが増えています。税理士や社労士などもいます。彼等は、資格をもったコンサルタントだし。数年で1万社(者)目指して増やしていきます。

−「KAIGAN」に興味がある方へのメッセージ

田中:MAっていうツールを使って、アナログ営業をデジタル営業に変える第一歩目としては「KAIGAN」が一番いいと思います。理由は全部マーケロボが代行するからです。自社でデジタルマーケティング担当を採用できるかというと必ずしもできるわけではなくて。採用するより25万で「KAIGAN」を使えば費用は安く済むんじゃないかと思っています。新卒を雇うよりも安い金額で、デジタルマーケターが採用できる、しかも、固定費ではなく、1年とかで卒業できる。リスクよりメリットが大きいモデルだと思っています。

 

単に、マーケロボのクライアントになって頂くのもいいですし、新規事業としてフランチャイズ加盟も検討することをお勧めします。マーケロボは代理店じゃなくて、パートナー、フランチャイズ制度です。代理店は何かというと「ツールがあります。売ってきてください」だけです。その代わり最初にイニシャルもいらないし、加盟金もないという形です。

 

我々のフランチャイズ制度は最初に会費を貰います。その代わりパートナーがコンサルティングできるノウハウを全部開示して、教えています。IT系でフランチャイズビジネスをやっているのは、我々しかいないと思います。

 

フランチャイズのパートナーに関しては、メインのコンサルティング業務25万のうち、1番高いプランは88%パートナーにバックしています。これは業界の常識ではありえないことです。普通は50%とかの中で88%、つまりマーケロボは12%しか取らないので、パートナーは非常に儲かりますから。

 

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