経営者が意識すべき4つのポイントとは?

財務諸表の注目すべきポイント

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https://trinitycollegeswim.wordpress.com/author/psanoudakisbasil/page/7/

さてそれでは、経営者の方が経営を行っていく上で気にする定量情報は何でしょうか?やはり皆さん利益が気になるのではないかと思います。

ここでは、①資金繰り、②利益、③原価率そして④損益分岐点売上高について解説します。以下、財務諸表上の注目すべきポイントを指摘しながら説明します。

①資金繰り

資金繰りは最も重要な項目ではないかと思います。利益がいくら上がっていてもお金がなければ従業員に給料を支払えないですし、モノを売る為の仕入すら行えなくなってしまいます。

よく黒字倒産(利益が出ているが倒産してしまう)が多いのはこの為です。利益にばかり注目していると、利益が出ていて順調だと思っていても気づけば「お金がない!」という事態になりかねないので注意して下さい。

では、資金繰りを見る為にどこを見ればいいのか?というと、以下の通りになります。

(ⅰ)キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」の区分

これは本業でどれだけキャッシュインがあったかを示すので、本業でお金を稼げているのかを判断する材料になります。

逆に営業活動によるキャッシュフローがマイナスですと“本業でお金が稼げていない”ことになりますので、今すぐに組織体制・業務フロー等の見直しが必要になります。

(ⅱ)貸借対照表の売上債権(売掛金、受取手形)残高

一般的には、売上が計上されてそのお金が回収できるのは2ヵ月くらいと言われています(取引先からの支払条件を確認して下さい)。従って、仮に売上債権残高が2ヵ月分の売上高合計を大きく超える場合は、お金が回収出来ていないことになります。

直ちにどこの取引先からの分が回収できていないのかを確認し、入金がされていない理由を調査する必要があります。

(ⅲ)損益計算書の売上高、仕入高及び販売費及び一般管理費

主に将来の資金繰りを予測する際に着目するポイントです。表にまとめたので参考にしてみて下さい

figure①

これでおおよその入出金の予測ができると思います。なお、上表の自社と取引先の支払条件ですと、少し資金繰りに問題が生じる可能性があることにお気付きでしょうか?

この支払条件ですと売上高の入金より先に仕入高の出金が生じ、資金繰りが苦しくなります。なるべく入金があってから出金が生じるように支払条件を設定するように心掛けて下さい。

なお、この将来の予測はあくまでもおおよその予測方法になっております。本来ならば税金の支払等、考慮しなければならない事項がありますので、専門家のアドバイスを受けることをオススメします。

②利益

損益計算書のうち、営業利益に着目して下さい。営業利益は会社の本業から得た利益額になりますので、これが赤字の場合は本業から利益が得られていません。営業利益がマイナスの場合はその原因を分析する必要があります。

詳しい分析手法は割愛しますが、業績が良い同業他社(出来れば同じくらいの規模)の財務諸表を民間の調査会社等から取り寄せ、原価率、販売費及び一般管理費等の内訳を比較しながら分析して下さい。

③原価率

自社の原価率の推移に目を通してみて下さい。原価の増減は製造業ならば、材料費の高騰や工場の稼働時間等、様々な要因によって生じます。

原価率が急に増えている場合や減った場合にその原因を探ることで、利益にインパクトを与える要因を探ることが可能なので是非とも原価管理を行ってみて下さい。

④損益分岐点売上高

損益分岐点売上高とは、利益額が0になる時の売上高のことを指します。実際の売上高がこの損益分岐点売上高を超えると利益が出ますが、逆に下回ると損失になるという境界線になります。

損益分岐点売上高の算式は以下の通りです。

 

算式:固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高

 

それでは、厳密にはイコールにはならないですが、簡便的に固定費を販売費及び一般管理費、限界利益率を売上総利益率で考えて計算してみます。(なお、限界利益率については説明すると長くなるのでここでは割愛します。ご興味がある方はコチラをご参照下さい。)

 

例.販売費及び一般管理費が1,000,000円、売上総利益率が20%の場合

損益分岐点売上高は5,000,000円(1,000,000円÷20%)になります。すなわち5,000,000円以上の売上を達成しなければ利益は生じないということになります。

 

このように、損益分岐点売上高は、利益を出すためには一体どのくらいの売上高が必要なのかを把握するために非常に有用なツールですので是非ご活用下さい。

まとめ

UnderstandingYourAnalytics④

http://www.taylordigital.com/why-you-need-to-understand-your-analytics/

いかがでしたでしょうか?財務諸表は注意して見てみると情報の宝庫です。他にも上記で挙げている以外の利用の仕方がたくさんありますので、日々数字の意味を考えながら眺めてみて下さい。思わぬ発見があるかもしれません。

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