日常的になった音声アプリケーション

普段の生活の中でも、音声アプリケーションは身近なものとなったように感じられます。
例えば、iPhoneに備わっている「Siri」という機能。そのように、人間が話しかけると返答してくれる機能を備えた機器は増え続けています。
アメリカなどでは、音声アプリケーション機能が装備されている車も普及しているようです。
 
音声アプリケーションが出始めの頃は、話しかけてもしっかりと音声認識されず、的外れな回答が返ってきて使うのを躊躇した方もいたと思います。
しかし現在は音声認識の技術が飛躍的に上昇し、比較的ストレスが無く使えるのです。
GoogleやAppleの音声アプリケーションが有名な中、この分野の先駆者であるVoiceBox社のことを知っている方はどの程度いるでしょうか?

”音声技術のパイオニア” VoiceBox社とは

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出典:www.linkedin.com
VoiceBox社の歴史は、IoT業界にしては古く、2002年にさかのぼります。
Mike Kennewick CEOが創業したこの会社は、自然言語理解(Natural Language Understanding, NLU)に特化した事業を展開しています。
 
NLUの世界ではパイオニアのVoiceBox社が一躍有名になったのは、2008年に業界初の組み込みNLUインターフェイスをトヨタに提供した時でした。
トヨタが実施した調査では、VoiceBox社のインターフェイスは他社のものより優れており、消費者に高い購買意欲を与えるものであるという結果が出ました。
 
その後、トヨタとの協業に発展したこのビジネスは、コネクテッドカー(ICT端末としての機能を保有する自動車)のコンセプトを開発し、Entune製品の開発・販売に寄与しています。
Entune製品とは、簡単にいうと車の入出力装置の一式にスマホを埋め込んだようなもので、色々なアプリを車のモニターで使えるものです。
VoiceBox社はこのEntune製品で、2011年にCES Best of Showを受賞します。
 
更にその技術に磨きをかけたVoiceBox社は、2013年には世界で最も影響力のあるコンピュータソフトウェアの知的財産として、トップ15位にランクインしています。(Patent Power 2013 Scorecardの調査)。
音声技術会社としては唯一のランクインであり、名実と共にVoiceBox社は音声技術のリーディングカンパニーであると断言できます。
 
そしてこの技術は、現在ではトヨタの他、フィアット、クライスラー、マツダなどの自動車メーカーに採用されています。

地味な存在から脱却、今後の可能性は?

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出典:car.watch.impress.co.jp
自動車業界以外にも、VoiceBoxの技術は家電製品やモバイル製品にも採用されています。
このように、身近にありながらVoiceBox社はあまりその存在を知られていないように思われます。
マイクロソフト社でMS-DOSやWINDOWSに携わっていたKennewick CEOは、独立後、幾つかの会社を創業し、その後VoiceBox社を設立します。
技術に特化したVoiceBox社ゆえに、ほとんど表舞台に立つことは無く、地味な印象を抱かれていました。
 
そのVoiceBox社ですが、最近では日本での露出も増えてきています。
2014年には、東京を拠点にアジアでのビジネス拡大を発表。同社の優秀な音声科学者を駆使し、発展が見込めるアジア市場向けの自動車用音声ソリューションを構築することを掲げました。
さらに2015年には、クラウドベース・ソフトウエア・ソリューション企業であるUIEvolution社と提携を発表します。
この提携の目的は、車載インタラクティブ・コンテンツ・サービスおよびナビゲーション向けの音声イノベーションと次世代ソリューションを加速するためだといいます。
 
そんな中、Kennewick CEOは、モバイルデバイスのコンテンツとアプリケーションに常時アクセスすることを求めるユーザーが増大したことに対応し、”自動車の中でも同じ環境を提供したい”と語ります。
ストレスを感じずに音声アプリケーションを使うことによって、安全運転につながることも考えられています。

最後に

近年、音声アプリケーションが身近になってはいますが、まだまだ音声認識でストレスを感じることもあると思います。
しかし近い将来このストレスが軽減されれば、音声アプリケーションは飛躍的に拡大・発展していくでしょう。
さらに、今までとは違う使い方で、私たちの日常生活を便利に、快適にしてくれる可能性がある分野です。
どのような使われ方をするのか、今後の動きが楽しみです。

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