ミライの健康を作る会社

“医療”や“健康”は、大規模なお金が動くマーケットの一つです。そんな人々の関心は、日々科学技術が発展していく現代でも衰えることはなく、多くの人がより良い何かを求めて一喜一憂を繰り返していることからも、その深さや強さをうかがうことができます。
 
今回ご紹介するのは広島大学発のスタートアップ企業です。国立大学という強力なブランド力と確かなエビデンスを頼りにスタートした、ミライの健康を作る技術をご紹介します。

株式会社ミルテルとは

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出典:www.mirtel.co.jp
株式会社ミルテルは、2012年9月に設立された広島大学発のベンチャー企業です。“未来の自分を守る検査”をコンセプトに“ミルテル検査”を実施されています。
 
ミルテル検査とは、①テロメアテスト(病気になる前の未病を検知し防ぐ検査)と②ミアテスト(体液中にあるマイクロRNAを調べる検査)という2つの検査を組み合わせた検査です。一つ目のテロメアテストで自身の遺伝子負荷を検査し、二つ目のミアテストで癌などの病気の早期発見することが可能なのです。
 
代表取締役会長・田原栄俊氏率いる研究チームが発見したのは、がん細胞の老化のメカニズムでした。正常な細胞は分裂を繰り返し、やがて止まります。そうして繰り返される“細胞の死”こそが私たち生命を老いや死に導くのですが、癌細胞はこの分裂が無限なため転移や増殖が起こるのです。
 
田原氏らの研究は癌細胞の老化を誘導して癌の増殖・転移を抑制する治療につながり、従来の抗癌剤治療とは全く異なる新しい薬での癌治療という可能性を秘めているのです。

大学教授と代表取締役会長という二足わらじ

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出典:www.youtube.com
株式会社ミルテル代表取締役会長である田原栄俊氏は、広島大学大学院医歯薬学保健学研究院 細胞分子生物学研究室教授でもあります。東京薬科大学薬学部から広島大学大学院医学系研究科へ進まれ、長く広島大学で教鞭を取っています。
 
会社を起こしたのは、一緒に研究していた学生を若年性胃がんで亡くされたことがきっかけでした。研究者が基礎研究や創薬の研究をとことん突き詰めて行えるのは大学という環境ならではです。
 
しかし、身近な人の病気や死をきっかけに研究を超えた実用化への重要性に気づかれ、自ら一人でも多くの癌患者を救うために立ち上がられたのです。

基礎研究が支える未来の科学

短期での研究や実用的な結果と基礎研究の相性は必ずしも良いものではありません。田原氏の研究も長い時間を経て、これまでの多くの研究者や学生の研究があってこその結晶とも言えるものです。
 
自分自身だけでなく、大切な家族や友人も救う癌の早期発見という可能性。株式会社ミルテルでは、現在アルツハイマーの早期発見のための検査の開発も進めています。基礎研究という科学の現場からの新たなチャレンジにこれからも要注目です。

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