「戦わずして勝つ」方法

論語や孫子の兵法など、近年様々な古典がビジネススキルや経営戦略としての観点からも注目されています。
 
今回ご紹介する「ランチェスターの法則」は、複数の敵を相手に戦う方法や弱者が強者に勝つ方法を徹底して考えられたものです。そんな実利的な戦術理論が、近年日本のビジネスシーンに取り入れられています。
 
「ランチェスターの法則」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

「ランチェスターの法則」とは?

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出典:www.slideshare.net
「ランチェスターの法則」は、20世紀初頭、フレデリック・ランチェスター氏によって発表された、戦場における競争原理に基づく法則です。ランチェスター氏は自動車工学・航空工学のエンジニアでもあり、その独創性は当時理解されることはありませんでした。しかし、先駆的なエンジンを搭載した車を設計し、ダイムラーでも技術コンサルタントとして活躍されていました。
 
このランチェスターの法則をさらに発展させたのが、コロンビア大学の数学教授バーナード・クープマン氏です。クープマン氏ら数学者によって開発が進んだランチェスターの法則は、第二次世界大戦下の軍事シミュレーションモデルとして活用され、今日でも広く知られるようになったのです。

日本での経営戦略・マーケティング戦略への適用

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出典:consultantventedirectefrance77x.wordpress.com
日本では、ランチェスターの法則はマーケット内の大企業に対して中小企業がとるべき戦略、また大企業が多数の中小企業とした場合の戦略として応用したものを指します。
 
例えばマーケティングに応用すると、広大な戦場ではどうしても兵数が多い大企業の方が有利になるため兵力を分散させる必要性がでます。小回りの利く中小企業はターゲットを絞りニッチな分野に特化することで、狭い戦場で相手より優れた武器を持って接近戦で戦うことができます。
 
また、大企業が中小企業と戦う場合は、普遍性がある製品・サービスや大規模な広告を用いて“マス”を意識することで、広い戦場で総力戦として兵力を活かした戦い方を展開することができます。例え中小企業からより品質の高い製品が出てきたとしても、大企業ならではの資金力や信頼性を活用することで大多数の消費者に向けて自社の強みをアピールしていくことができるのです。
 
このことからも分かるように、ランチェスターの法則はただの“必勝法”というよりも、徹底して自らが勝ちやすい戦場に持ち込む“戦わずして勝つ”という考え方がベースになっています。
 
国を背負った戦いでも企業を背負った戦いにおいても、100点満点でなくても常に勝ち続けることに重きを置かれた戦略だと言うことができるでしょう。
 
常に勝利を続けるためには、時に小さな利益を捨てて勝負に出ることや、自分の一部を切り離すことで存続を図らなければならない難しい局面も出てきます。そのため、自分自身が勝ちやすい戦場で戦うことは、組織存続のためにもとても理にかなっているのです。

温故知新の重要性

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出典:designersnotebook.com
日本ではマルチタスカ―を良しとするジェネラリストを生み出す土壌があります。しかし、ビジネスシーンでは敢えて弱みを捨てたスペシャリストとなり「強い敵とは戦わない」工夫をする必要もあります。
 
ナポレオンや孔明など、歴史に名を残す名将はしたたかさも持っていました。相手を知ることと同じくらいに自分自身の強みや弱みを知ることで、勝機のある戦いをすることができたのです。
 
現代にも伝わる思想書や歴史書は、時代を超えて今の私たちにも降りかかる普遍的な問題が扱われていることも多々あります。最新のビジネス書だけでなく古典も読むことで、新たな気付きが得られるのではないでしょうか。

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