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RPAとは? そろそろ勉強しておこう
RPA(Robotic Process Automation)を耳にする機会も増えてきたでしょうか?
海外では2000年代後半に使われ始め、日本では2010年代になって導入され始めました。
2013年には「BizRobo!」(RPAテクノロジーズ)や「WinActor」(NTT)など国内のRPAツールも頭角を表し始めます。
そして2019年、導入事例が増え、日本でもRPA普及の兆しが見えてきました。
RPAが本格的に普及すれば仕事の在り方は変わり始めるでしょう。
「担当者だけが知っていればいい」のスタンスでは置いていかれるかもしれません。
もし部下に「RPAって何ですか」と聞かれたらどうしますか?
「ググれ」と答えても良いかもしれませんが、そこでバシッと説明できて方がビジネスパーソンとしては格好いいですよね。
というわけで、今回はRPAについて「7つの基本的な質問」に対する答えを用意しました。
RPAについて基本的なところは説明できるようになっておきましょう。
質問① RPAって何?
RPAは、Robotic Process Automationの略語になります
RPAとは、ロボットで業務プロセスを自動化する技術・方法のことです。
高確率で「ロボット?」となると思いますが、ここで言うロボットは産業用ロボットみたいに目に見えるものではありません。PCの中で人間の代わりに仕事をしてくれるロボットをイメージしてください。
人間がやっている事務作業をロボットが代行してくれるのがRPAです。
まずはRPAが何者なのか、理解できたでしょうか?
質問② RPAの何が良いの?【RPAのメリット】
ではRPAを導入するメリットはどこにあるのか、という質問に答えていきましょう。
まずはいわゆるブルーカラーとホワイトカラーをイメージしてください。
ブルーカラーの基本は「人間とロボットの協働」です
産業革命以後、どんどん産業用ロボットが発達してきています。
この産業用ロボットが、もともと人間のやっていた作業を代行したわけです。
ロボット達は人間よりも正確に高速に作業を進めることができます。
ロボット達では対応できないような作業、判断できないようなことについては人間がやってきました。
このように人間とロボットの協働がブルーカラーの基本でした。
ではホワイトカラーの方はどうでしょうか?
実はまだ「人間とロボットの協働」担っていませんでした。
基幹システムやアプリケーションはたくさん導入されています。
しかしながら実作業の多くをいまだに人間がやっている状況ですね。
ホワイトカラーの方ではブルーカラーにとっての産業用ロボットに当たるものがなかったのです。
そこにRPAです。
RPAは、ホワイトカラーの定型業務を引き取ります。
人間はロボットが判断できないことをやっていくというわけですね。
ロボットは正確で高速、疲れ知らずです。
したがって、人間より圧倒的に高い作業効率を発揮します。
これがRPAのメリット1つ目です。
もう1つ、ロボットが作業をしている間、人間は別の仕事に取り組めます。
「仕事を奪われる」という表現がされることもありますが、本来人間はもっと創造的な仕事に取り組むべきなのです。
RPAのメリット2つ目となります。
さらにもう1つ、RPAには副次的なメリットもあります。
4つ目の質問でも触れますが、RPA実装のためにはロボットに仕事を教えなければなりません。
この過程で、それまで属人的でバラバラだった業務が整理され、業務改善のきっかけになります。
RPAが最も盛んなのはアメリカですが、アメリカはもともと業務を記録することが多いです。雇用も、ある業務に対して人を雇う、というイメージになります。
だから、RPAと相性が良かったわけですね。
そう考えると日本はRPAと相性が悪いようにも思えますが、そこは業務改善のチャンスだと思って取り組んでいきたいですね。
ここではRPAのメリットを3つ挙げました。
質問③ RPAはExcelマクロやAIと何が違うの?【RPAの使い所】
ここまでで、ある疑問を抱いた人もいるかもしれません。
RPAは業務の自動化を進めるもの。でもこれまでにも自動化に関する存在はいましたよね。
- 「Excelマクロ」
- 「AI」
3つ目の質問は、これらとRPAの違いについてです。
ExcelマクロとRPAの違い
Excelの作業を記録したりコードに書いたりして自動化できる機能ですね。
実作業で使っている人も多いのではないでしょうか。
RPAとマクロはよく似ています。
しかしExcelマクロはあくまでExcelの機能、使えるシチュエーションは限られますよね。
RPAはアプリケーションなどの限定はありません。
他の既存ソフトウェアも社内の独自アプリケーションもなんでも自動化対象になります。
人間がPCでやっている作業なら、精度を考慮しなければ全部介入できます。
つまり、今使っているアプリケーションはそのままに自動化を実現できるのです。
AIとRPAの違い
つづいてAIとRPAの関係について考えていきましょう。
ここで「RPAの3段階」について説明する必要が出てきます。
業務効率化・自動化には3つの段階があるとされているのですが、それが「RPAの3段階」です。
段階(Class)の発展によって技術の名称も変化していきます。
最初の段階(Class1)がRPAです。
一定のルールに基づいた定型作業を自動化します。
そして第二段階以降、ここでRPAにAIが足されます。
2つ目の段階(Class2)はEPA(Enhanced Process Automation)。
一部非定型である作業も自動化します。
AIが入っているので、一部の判断をAIに任せることができるのです。
ある程度の指示を与えれば、出張の手配くらいならやってくれるイメージです。
3つ目の段階(Class3)はCA(Cognitive Automation)。
作業の自動化を超えて、分析や意思決定も行ってくれます。
報告書や提案書をある程度書いてくれるようになるイメージです。
というわけでRPAとAIの関係はわかったでしょうか?
RPAは自律的な判断の不要な定型作業の自動化を担当し、その上でAIが分析や判断を下すプロセスを自動化していきます。
基本的に、RPAはAIの一種というわけではありません。この辺、勘違いしやすい部分かもしれませんね。
質問④ RPA、どうやって使うの?
そろそろRPAの実際的な使い方が気になっってきた頃でしょうか?
ではRPAの使用イメージについてお答えしていきますね。
RPAの基本プロセスはこのような順番になります。
② ロボットに業務を教える
③ 自動化・運用
④ ロボットを監視しながら改善を繰り返す
① RPAの対象業務を決める
まず対象業務はここまでの説明でわかると思いますが、定型作業の中から選んでください。
ここでちょっとRPAツールの分類の話を挿入します。
RPAツールは大きく分けて二つ。
「Webサーバーで動くタイプ」と「一つ一つのPCで動くタイプ」です。
「Webサーバーで動くタイプ」は複数のロボットを管理できるもので、全社レベルの大規模なRPA導入の時に用いられます。
「一つ一つのPCで動くタイプ」は別名RDA(Robotic Desktop Automaton)とも呼ばれるもので、部署単位など狭い範囲で導入されます。
まずは後者、狭い範囲で導入することが推奨されます。
そのプロジェクトの成功と失敗を分析してから本格導入していくのです。
現状、RPAの導入には大きめのコストがかかる場合もあるので、ビジネス次第ではあまり良い結果を得られない場合もあります。
② ロボットに業務を教える
次にロボットに該当業務を教えます。
このやり方が大きく分けて3つです。
教え方-① やって見せる
新人にOJTで教えるのと同じですね。Excelマクロでも「記録」したりします。
RPAでも同じように、人間が実際に作業をやって見せ、それをロボットに覚えさせる方法があります。
一度大まかに覚えさせてから、細かい例外処理などを設定していく流れです。
このやり方だと、プログラミングの必要性がないので便利ですよね。
教え方-② 図示する(フローチャート)
「こういう時はこうする」というようにフローチャートで手順を描いて、それをロボットに教えさせる方法です。
フローチャートの作成に手間はかかりますが、業務改善のチャンスにもなります。
このやり方でもプログラミングは要りませんね。
一方で、複雑な手順になってくるとフローチャートの把握が難しくなってきます。
教え方-③ 文章で示す(スクリプト)
スクリプトで手順を書いてしまう方法もあります。
文法を理解する必要があるのと、書く量が増えることがデメリットですが、プログラミング経験者はこの方法の方がやりやすいかもですね。
大規模、複雑な作業になってくるとスクリプト型のRPAが推奨されます。
③ 自動化・運用 と ④ ロボットを監視しながら改善を繰り返す
ロボットに業務を覚えさせたら自動化開始です。
自分の目の前にあるPC画面が勝手に動き出し、作業が進んでいく場面に感動しましょう。
一方で、設計段階で想定できていないこと、アプリケーションやOSの変更による影響など、ロボットが対応できない状況もでてきます。
また、ロボットの作業を見ているうちに改善ポイントが見つかるかもしれません。
RPAは導入開始したら終わりではなく、改善のサイクルを回すことでその真価を発揮します。
質問⑤ RPAの現状はどうなの?
ここまででRPAの基本的なところはお伝えしました。
ここからはもう少し外に目を向けましょう。
「RPAが使えそうなのはわかった。でも実際、現状はどうなっているの?」
この質問に対する答えは難しいものです。
つまり賛否両論。
作業の自動化に大きな期待が寄せられていた分、自動化できない作業や自動化の手間、リスクマネジメントの部分などに懸念を持つ人も増えています。
あまりコストカットにならなかった場合も多いようです。
一方、導入事例や着々と増加しており、雑誌などに取り上げられる機会も増えてきました。
ベンダーもその競争を激化しています。
結局、RPAはどうなのか?
まずひとつの結論として、RPAの流れは来ていますし、RPAの普及は確実でしょう。
働き方改革からも分かる通り、生産人口が足りません。作業の自動化は必要なことなのです。
その解決策として、RPAを上回るといえる方法は現状ありません。
そしてコストと利益に関して。
RPAを導入することで短期的に損をする場合は多いと思います。
日本では人を辞めさせるのが難しいので、即座の人件費カットにはならないからです。
しかしRPAの目的は人件費カットではなく、人間がより創造的な仕事に取り組めるようにすること(短期的には不足人材の代用)。
つまりRPA導入による利益は遅れてやってきます。
したがって、中長期的な視野を持たなければ、RPAは不要に見えてしまうでしょう。
質問⑥ RPAにリスクはないの?
ここでRPAの短期的な損の話が出たので、RPAのリスク的な質問にも答えておきましょう。
まずコストの話。
他の技術にもれず、RPAもどんどん低価格化が進むかもしれませんが、現状はハードやツールの導入、導入プロジェクトの費用などが相応にかかってきます。
短期的な視野だと、なかなか回収できないかもしれません。
質問⑤では「RPAで創造的な仕事に取り組めるようになった人材の利益が遅れてやってくる」ということで、導入した方がいいという主張をしました。
が、そうとは限らない場合もあります。
苦労してRPAを導入した業務が、その後無くなってしまったら流石にガッカリですよね。
既存の別ソフトウェアやサービスで十分対応できる場合もあります。
この辺りは専門家に相談したほうがいいかもしれませんね。
そしてもう一つ、セキュリティ・リスクの話。
RPAツール自体は危険でも何でもありませんが(基本データをもっていない)、もしロボットがウィルスにかかってしまったら?
ロボットは重要な顧客データや経理データに触っているわけですよね。
それらをロボットが削除してしまった例もあるようです。
RPAツール導入にあたって、セキュリティに穴が空いていないか、注意しましょう。
質問⑦ RPAの導入はどうすればいい?
最後の質問まで来ました。
「実際にRPAを導入する場合は何から始めればいいの?」
RPA導入における重要ポイントを3つ挙げていきます。
RPA導入のポイント① 導入の目的と範囲を明確にする
まずはRPAを導入することでどのような効果を得たいのかを考えましょう。
プロに相談するにしても、この点を明確にしておいた方がスムーズに話が進みます。
またRPAの導入範囲を明確にしておきましょう。
範囲を決めたら、「業務フローの洗い出し」です。
RPA導入において最も大事なポイントといえます。
RPA導入のポイント② ベンダーを選ぶ
RPAツールの導入ベンダーを選びましょう。
大きく2種類ですね。
まずはRPAツールを開発した「開発元タイプ」。
ツールについて知り尽くし、非常時には専門のエンジニアに支援してもらえます。
もう1種類はSIerやコンサルティング会社などの「代理店タイプ」。
複数のツールや解決案から自社にあったものを提案し、プロジェクトの進行を支援してもらえます。
自社内もしくは関係者で、ツールやサービスを選べる場合は「開発元タイプ」、自社にあったものを提案してほしい場合は「代理店タイプ」というのが一般的です。
代表的なRPAツールは以下のものです(2019年5月)
RPA導入のポイント③ 運用計画を立てる
RPAはツールを導入して終わりではありません。
緊急時の対応や改善のサイクルを設計する必要があります。
場当たり的な対応にならないように事前にしっかりとした計画を立てることが推奨されます。
社内に知識・経験を持った人材がいない場合は、プロに支援を頼みましょう。
RPAについて理解しておこう
以上、RPAについて7つの質問を見てきました。
- RPAって何?
- RPAの何が良いの?
- RPAはExcelマクロやAIと何が違うの?
- RPA、どうやって使うの?
- RPAの現状はどうなの?
- RPAにリスクはないの?
- RPAの導入はどうすればいい?
これで部下や同僚に質問されても大丈夫ですね。
とはいってもここで紹介したのはRPAに関する基本的なこと。
2019年、ガートナーのハイプ・サイクルでいえば、RPAは「幻滅期」に下がり始めています。
逆に言えば、RPAの現実が見えだし、RPAをビジネスにどう使っていくか考える段階です。
RPAの有効な使い方、実践における注意点について、もっと調べてみても良いかもしれません。