
あの歴史的勝利を覚えているだろうか
出典:www.asahi.com
2015年9月。皆さんはあの歴史的勝利を覚えているでしょうか。
「ラグビーW杯で日本代表が格上の南アフリカに勝利」この出来事は、世界に激震を走らせました。
ラグビーは、野球やサッカーと違い、実力が勝敗にそのままつながる、つまりジャイアントキリング(弱者が強者に勝つこと)が起きにくい競技です。
この勝利により、日本ではマイナースポーツのくくりであったラグビーが注目されるようになりました。五郎丸ポーズ、非常に流行りましたね。
そんな日本ラグビーの歴史的勝利に導いた一つのアプリが存在します。それが株式会社ユーフォリアが提供する選手のコンディション管理ツールアプリ「ONE TAP RUGBY」です。
今回は歴史的勝利に貢献した影の立役者「ONE TAP RUGBY」の開発背景と今後の展開を紹介します。
影の立役者「ONE TAP RUGBY」
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「ONE TAP RUGBY」は、選手のコンディションをスマホやタブレット上で”視える化”することに成功した画期的なアプリです。
スライドバーをタップするだけで、疲労度、体調、睡眠、痛みの有無などを手軽に入力でき、さらに、選手の基礎データや練習内容を入力できるようになっています。
その結果、練習内容が厳しすぎたため翌日のコンディションが良くないと判断できるようになるため、次の日の練習を休ませたり練習内容を変更できます。
また疲労度が高い状態が続くとアラートが発生する仕組みになっており、選手に怪我の可能性があることを事前に知らせてくれるのです。
このコンディションの”視える化”を達成したことにより、日本ラグビー代表が「怪我をしないギリギリのラインまで体を追い込む」ことができました。
ギリギリまで体を追い込むことの繰り返しによって、世界レベルでも力負けしない強靭な肉体を作り上げることに成功し、そしてその結果、あの歴史的勝利が生まれたのです。
「ONE TAP RUGBY」の地道な開発と試行
出典:news.mynavi.jp
CEO宮田誠氏は、2008年に株式会社ユーフォリアを数人の仲間と設立しました。当時は企業の問題を解決するコンサルティングをメイン事業にしていましたが、2012年にラグビー代表と出会ったことで考えが変わりました。
そこで聞かされたのが「2019年日本で開催されるラグビーW杯でベスト8という目標を達成するためチームを一から作り直す」というもので、当時の日本代表からすれば、途方もないくらい高い目標です(過去7回のW杯は1勝21敗2分け)。
弱小の日本代表が、世界を相手にどうすれば勝てるのか。
悩んだ末、導いた答えは、スピードや小技で戦っていたスタイルをいったん捨て、今まで目を背けていた「フィジカル」を徹底的に鍛えなおすことでした。
体を鍛えるためには、怪我をするギリギリまで追い込む必要があり、言い換えれば怪我をさせない仕組みが必要となります。
宮田氏は、スポーツに着目したシステムを作ったことはなかったのですが、「結局のところ、従来の企業のシステムを変えるという自社のシーズに合うだろう」と思い、この課題を解決しようと決断しました。
半年でプロトタイプを作り、選手とコーチに使用感を訪ね、何度も何度も改良を重ねていく中で、現在の「ONE TAP RUGBY」が誕生したのです。その改良の数は優に何百回を超えると言います。
時には翌朝までに仕上げなければならない修正依頼もあったそうですが、小さな規模だからこそ、それが達成できたと宮田氏は語っています。
日本の歴史的勝利は、奇跡のような勝利であると言われていますが、宮田氏を含む日本代表を支援する監督や指導者の執念から生まれたものではないでしょうか。
株式会社ユーフォリアの次なる展開
出典:www.one-tap.jp
現在、株式会社ユーフォリアは「ONE TAP RUGBY」をベースとしたコンディション管理アプリ「ONE TAP SPORTS」をサービスとして展開しています。今では野球、サッカー、クラブチームや大学の部活動など幅広いジャンルで使用されているそうです。
また選手のコンディショニング機能に特化した「ONE TAP Conditioning」や選手のけがの状態を一括で管理する「ONE TAP Injury」など、ある分野に特化したアプリも着々とリリースしています。
さらに、けがを予測したり治療記録を残したりするだけではなく、リハビリの経過を管理する機能を備えることで、高齢者に対応することも予定されているようです。
今後も「ONE TAP RUGBY」をベースにした管理アプリによって、日本が豊かになっていくことを期待します。