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~マイクロラーニング、はじめました~
「~マイクロラーニング、はじめました~」
こんな文言を、採用戦略の一環として、のれんに掲げる企業もでてくるかもしれません。
さて、質問です。
マイクロラーニングってどういうモノか、知っていますか?
マイクロラーニングは世界最大規模の人材開発系のイベントである「ATD」においても注目を集めるキーワードの1つです。人材開発に関心のある人なら必ず押さえておきたいワードです。
しかしこのマイクロラーニング、ただ技術が発展したから生まれたというものでもないのです。なぜマイクロラーニングが生まれたのか、これからの学習はどうなっていくのか、考えていきましょう。
マイクロラーニングとは?
出典:free-photos.gatag.net
マイクロラーニングとは、小さく区切られたコンテンツを、短時間(1分~5分ほど)で学習する手法のことです。KurashiruやYoutube、twitterなどで見られる短時間の料理動画を見たことがないでしょうか?あれも1つのマイクロラーニングです。
その他にも「3分で学べる、○○!」みたいなネット記事もマイクロラーニングと言えます。
これらのように、マイクロラーニングは主にスマホなどのモバイル機器を使って行います。そういった点では、「モバイルラーニング」と関わっているところも多くなっています。
従来の学習というのは、ある程度の分量を持った範囲を、それなりの時間を掛けて学習していました。新たな学習手法であるマイクロラーニングのエッセンスは、その時必要なテーマを、短時間で学ぶことです。
企業としてマイクロラーニングを取り入れているところも出てきています。乗り遅れないように、そのメリット、背景を見ていきましょう。
マイクロラーニングの3つのメリット
マイクロラーニングのメリットを3つ、挙げましょう。
① その時必要なテーマだけを、短時間で学べること
先ほど、エッセンスとして挙げたものがほぼそのまま入ります。変化の激しい現代、毎日忙しい社会人にのんびり1から全部学習している暇はないのです。
そんな時、マイクロラーニング教材があれば、必要テーマだけをサッと学ぶことができます。名刺の渡し方、アポイントの取り方、トイレ掃除の手順などなど。
マイクロラーニングで事足りるテーマは意外と多いものです。
② 短いから続けられる、気が付けば習慣に?
マイクロラーニングは1回あたり3分で終わります。つまり、カップラーメンを待っている間に終わるのです。
机に1時間向かう時間を確保するのは難しくても、ちょっとしたスキマ時間なら毎日大量に転がっているはずです。さらに、使うのはスマホだけ。
まずは2週間続けてみましょう。次は1か月、2か月と続けているうちに、マイクロラーニングはあなたの日課になっているかもしれません。
③ 1本の教材の作成と更新が容易
制作側(運営側)にとってもメリットがあります。マイクロラーニングには早いPDCAが必要と言われていますが、どういうことかわかりますか?
これは学習者側の考え方ではなく、作成者・運用者側の考え方です。マイクロラーニングに必要なのは、「素早いリリース」と「適度な更新」です。
短い教材なので、すぐに作ってすぐリリースすることができます。短い教材なので、すぐに修正を加えることができます。
そのメリットは何なのか?
組織ですぐにスキルと知識を共有できるということですね。
マイクロラーニングが生まれた背景とは?
出典:free-photos.gatag.net
マイクロラーニング誕生の背景に関わる単語は、「eラーニング」と「ミレニアルズ」です。
eラーニングには限界がある
学習の新メソッドとして登場したeラーニングでしたが、そこには限界がありました。eラーニングは、ある程度の時間とPCを必要とする場合が多く、簡単に取り組み始めることができないのです。
結果として、忙しい社員は取り組むことが少なくなり、忘れられていきます。また、長い教材を繰り返し見る人は少ないため、その定着率も察せられるところです。
ミレニアルズの台頭
ミレニアルズ(ミレニアル世代)とは、アメリカでいわれている言葉で、「1980年代から2000年代にかけて生まれた人々」のことを指します。
ミレニアルズと名付けられるのは、その上の世代とは決定的な違いが見られるからです。例えば、モバイル機器に慣れ親しんでいることや「モノ」ではなく「コト」の消費を好みがちであることなどが挙げられます。
また、彼らは「手軽さ」や「フレキシブルさ」を求めています。これら「eラーニングの限界」と「ミレニアルズの台頭」という2つの問題があった中、LMSや動画などの技術が進化していきました。
それらの要因が重なり合い、マイクロラーニングはその産声を上げることとなったのです。
学習の仕方が変わっている?
さまざまなものが変化しているこの世界。マイクロラーニング、モバイルラーニング然り、学習の仕方だって、変わり続けています。つまり、企業内教育も変化を求められ続けるのです。
最後に最近の学習という概念の変化を見ておきましょう。
〈従来の学習スタイル/積み木・パッケージ〉
従来の学習スタイルは、学びたいテーマがあったとき、まずそのテーマに関する教材を手に入れます。その教材はある程度のそのテーマを網羅したもので、たいていは「入門書」などの書籍となります。
学習手法は基礎から積み上げていく「積み木」スタイルです。
➡参考:ラーニングアジリティ
〈最近の学習スタイル/スイッチバック・アジャイル〉
最近の学習スタイルはどうでしょうか?学びたいテーマがあったとき、まずはそのテーマを「検索」します。場合によってはこの段階で学習が終了します。
「検索世代」と揶揄されることもありますが、状況次第では十分に効率的な学習スタイルです。「検索」の先の段階でも、より短期で集中的な学習が好まれます。必要最低限の分野を、必要最低限の時間で学習するのです。
そうして、最大限の効果を発揮する。それが、現代に求められている学習スタイルです。
小さな1つ1つの学習範囲(パッケージ)を組み合わせて、1つの大きな知識体系、あなただけの知識体系を造り上げていくのが、今の学習の醍醐味と言えるかもしれませんね。
このマイクロラーニングを用いた学習スタイルが、多様な環境に対応できる人間を生み出すのです。
マイクロラーニングは新世代育成に必要不可欠
出典:pakutaso.com
マイクロラーニングは、ミレニアルズの台頭やeラーニングの限界に後押しされた形で生まれてきた学習スタイルですが、それ以外にも現代に適応している理由が多く存在します。
企業の要は人であり、人を成長させるのは学習です。
企業も現代に適した人材を育てるためには、新たな学習スタイルの存在に目を向け続けなければならないのです。