IT人材の宝庫である、インドのエンジニア事情
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インドが優秀なITエンジニアを輩出していることは、周知の事実として認識されています。ITの世界で著名なインド系の人々はたくさんおり、日本ではソフトバンクの副社長を務めたニケシュ・アローラ氏が有名ですね。
実際、マイクロソフトの社員の3割はインド系、さらにNASAの科学者の3割もインド系が占めていると言われています。
アローラ元副社長はソフトバンクへ移籍した年に約165億円もの報酬を得たことは記憶に新しいでしょう。彼の例は特別だとしても、世界で一流のIT技術者を雇うには高い報酬が必要だということです。
インドの新卒学生にサムソンは1500万円、グーグルも1350万円の初任給を提示しているようです。オラクルに至っては、どうしても欲しいインド人新卒者に4000万円の初任給をオファーしたニュースが世間を騒がせました。
インド系の人々に高い素養を持ったITエンジニアが多いことは事実のようですが、本当に皆がそのような高い給料を払うに値するのでしょうか?
そこで役に立つのが、ITエンジニア予備軍の学生が、どの程度の能力や技術を持っているかを明らかにする仕組みです。その仕組みを作った、インドのHackerearth社をご紹介します。
エンジニアのスキルをはっきりわかるプラットフォーム
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高額で職を得るインド人が話題になる一方で、理工系の大学を卒業しても職にありつけないインド人学生は多くいます。日本の約10倍の70万人の理工系大学生が毎年大学を卒業するインドでは、有名企業への入社は非常に狭き門となっているのです。
競争が激しいと言うことは、学生を雇う企業側には有利なように見えますが、実はどの学生を採用すればよいかで悩んでいる企業も多いそうです。特にIT業界では、どのようなスキルを学生が持っているのかを把握するのに時間が掛かることや、経歴詐称の履歴書が紛れ込んでいることも企業の人事採用者を悩ましています。
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そこで、優秀でスキルの高い学生が、就職活動で埋没してしまうことに危惧したSachin Gupta氏とVivek Prakash氏は、Hackerearth社を立ち上げます。Hackerearth社は、エンジニア達がそのスキルを競い合う場をネットに提供し、個々のエンジニアのスキルを世間に周知させることを可能にしました。また、エンジニアのスキルを向上させるためのコーチングの場をネットで設け、エンジニア養成にも貢献しています。
Hackerearth社は、エンジニアがそのスキルを競う”ハッカソン”イベントを開催します。このイベントの課題はIT企業が課題を設定するので、IT企業は参加するエンジニアのスキルを明確に測ることができます。つまり、IT企業は自分の好きな課題を課し、自分の会社にマッチしたエンジニアを探すことが可能となります。
自分の経験からHakerearth社を起業
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このアイデアは、Gupta共同創業者がインド工科大学に在席していた時の実体験が原点にあります。Gupta共同創業者は大学時代からプログラミングを行っていましたが、友人で優れているプログラマーが就職活動で希望の会社に入れない状況を目の当たりにします。
Googleに入社したGupta共同創業者の目から見て、FacebookやGoogleのような企業が求める人材にマッチしている学生が、これらの企業の入社試験を受けても不採用になります。中にはGupta共同創業者が一緒にプログラミングをしていて、“彼が書けないコードは無い”と言われた学生まで不採用になることがありました。
Gupta共同創業者はPrakash氏を誘って、Hackerearth社を起業します。Gupta共同創業者の視点は、学生を採用する企業側も優秀な学生のセレクションに苦労しているだろうと言うものでした。ならば企業が自社のニーズにあったエンジニアを、簡単に探せるようにすれば良いと考えます。
Hackerearth社のアイデアは職を求めるエンジニアと企業を結びつけ、多くのエンジニアと企業に支持されています。現在では100万人以上のエンジニアが登録するプラットフォームにまで成長しました。
ニーズが広がりそうなサービスを提供するHackerearth社の発展に期待です。