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Duluth Trading社 “欲しいものが無い” から生まれる有名製品
今では世間で広く認知されている製品やサービスは、どのようなことがきっかけで誕生したのでしょうか?意外と多いのは、自分が欲しい製品やサービスが無いので自分で開発した結果、大ヒットに繋がったものがあります。
WALKMANやFACEBOOKなども、開発者が自分で欲しいと感じたものを製品化したと言われていますが、ちょっとした思い付きが有名製品開発のきかけになるケースは多々あります。
アメリカの片田舎の作業現場で、ある兄弟の気付きがのちにNASDAQ上場までに繋がったケースがあります。Duluth Trading社の歴史について、説明して行きたいと思います。
出典:http://www.duluthtrading.com
Duluth Trading社 創業者兄弟の"ある発見"
作業現場の用具は、なんて使いづらいのだろうか?
ミネソタ州とウィスコンシン州の州境の小さな町Duluth(ダルース)で、ある兄弟は建設業界で働いていました。1989年のある日、兄弟の1人があることに気が付きます。
現場作業員達が持ち歩く用具入れが、余りにも使い勝手が悪そうに見えました。アメリカでは大量の作業器具をバケツのような容器に入れて、作業員が持ち歩きながら現場作業をしているのが一般的でした。
兄弟は、用具をしっかり整理整頓して入れられる小型バケツ型用具入れを作り、作業員が自分の作業服にぶら下げられるようにすれば、作業員の負担は少なくなると考えたのでした。
出典:www.duluthtrading.com
Bucket Bossと名付けられたこの製品は、直ぐに現場で受け入れられます。自分達で使いたいと思える作業現場用製品を次々と開発します。
自己資金が限られていた兄弟は、友人のRickに製品カタログのイラストをタダで描いてもらいます。今日でもDuluth Trading社のカタログは、Rickがイラストを描いています。
出典:www.duluthtrading.com
Duluth Trading社の変わらぬポリシー
兄弟は事業を拡大することを考えます。1993年に製品の幅を増やし、のちにはストリート系の洋服まで生産、販売することになります。
間もなくDuluth Trading社の経営は兄弟の手から他のビジネスパーソンへ移ります。しかし、製品の作り方は今も昔も変わりません。
Duluth Trading社が新製品を開発する段階で、必ず行うことがあります。それは発売前の新製品を作業現場で実際使ってもらうことです。作業現場はタフで、商品企画段階では想定されない使われ方をされる場合があります。実際に使われる環境で、新製品は厳しくチェックされます。この一貫したポリシーが利用者の信頼を得て、Duluth Trading社はビジネスを広げて行きます。
Duluth Trading社 ついにNASDAQ上場へ
出典:www.nasdaq.com
ミネソタ州とウィスコンシン州を中心に11店舗を構えるまでになったDuluth Trading社は、従業員も1,300人を超えました。オンライン販売も好調で、この勢いに乗って2015年NASDAQに上場しました。
上場後、初めて迎えた2016年度決算は堅調に推移しています。売上高US$1.4億(約150億円)で前年度比+27%、営業利益US$1,899万(約21億円)で前年度比+36%を記録しています。
しっかりした企業ポリシーのもと製品を販売し、利用者の堅い信頼を得ているDuluth Trading社の未来は明るいものと思われます。現在はミネソタ州、ウィスコンシン州を中心とした販売ですが、地域拡大を行えばまだまだ成長の余地はあるはずです。
5大湖周辺は、歴史的に建設業が盛んな地域です。近隣のオハイオ州やイリノイ州などは、経済も活発な地域です。事業拡大の環境は整っているDuluth Trading社の今後に、要注目です。