今回は、株式会社富士山マガジンサービスのCTOである、神谷アントニオさんに「学生時代の過ごし方」「エンジニアリングの可能性」「ベンチャーの醍醐味」についてお話を伺いました。
(インタビュアー:菅野雄太、撮影者:須澤壮太)
経歴
1994:Kamiya Consulting設立 代表取締役就任
1995:カリフォルニア大学バークレー校を卒業
1998:Fujisan.com, Inc.共同設立 CTO就任
2001:株式会社富士山マガジンサービス立ち上げに参加、同社CTO就任。現在はデジタル雑誌戦略担当役員兼任。
2006:Fujisan Magazine Services USA, Inc. 代表取締役就任
その他数社のスタートアップを情報技術アドバイザーとして支援
事業内容
富士山マガジンサービスは、日本で一番品揃えの多い、雑誌専門の書店です。ネット書店なので、ネットを通して雑誌を買える場所となっています。僕らは、日本にそんなに浸透していない定期購読という販売方法が一番適正であると思っていて、そこを中心にサービスを展開しています。
日本で売っている雑誌は、専門誌の数冊を除きほとんどすべて網羅していて、一般的に書店で流通しているものは基本的に全部買えます。また、海外の雑誌も少々取り扱っています。
いくつかリアル店舗で定期購読を管理しているところや、もちろんネットでやっているところも少々ありますけど、創業した2001年の時点では、定期購読を第三者として管理する仕組みは僕らしか持っていませんでした。日本で初のエージェンシーとして創立して、それゆえ、定期購読の提供数は日本最大を誇っていると自負しています。
出版社は書店を通して売るのが一般ですが、僕らの場合は定期購読を出版社とダイレクトに行っています。ある意味、お客さんとのダイレクトな接点を持つサービスが定期講読です。今までハガキなどでやっていたのを、僕らが集約して課金やキャンセルをネット上で自動的にやっています。
何よりも重要なのが、定期講読は”継続”という概念があるんですけれども、今僕らは7割くらいの継続率を確立していて、そのためにお客さんに便利な継続の仕方をお知らせしたり、定期的なリマインドを「しつこすぎずちょうど良い感じ」で行う仕組みをこの12,13年かけてつくってきました。
その中での強みは、”雑誌の内容”です。それは富士山マガジンサービス云々ではなく、出版社が作っているものは良いものであって、無料に手に入るブログなどというものよりも圧倒的に、コンテンツの親和性が高いからだと思います。
僕らが提供した価値は、それが「いつでもどこでも提供できる」ということと、「すぐにできる」ということです。それから、デジタルで提供することで、雑誌をもっと早く届けることができるというように、いくつか僕らが提供している価値はあると思うんですけども、一番は雑誌自体が素晴らしいことが魅力です。
「割に合う自由」が心地よかった学生時代
僕は3年生で中学を中退して、アメリカの高校に留学しました。自分で商売をするという機会をアメリカで目の当たりにして、高校時代はビジネスクラブを自分でやっていて、チャイナタウンで焼きそばが25ドルで大量に買って、高校で売るという商売をしていました。
それまでアルバイトをしたことはありましたが、創業コストの低さや、自分なりに物事を進められたり、その自由の代わりに自分で責任を取らなければいけないという「割に合う自由」がすごく心地よくて、学生時代からそういうことに視野を広げながら、本当にいろんなことをさせていただいていました。特に神経医学部に行っていた大学時代は、演劇部に入ったり、仕事と全く関係のないことをやって、それが逆にすごく価値になっていると思っています。
今僕は情報システムエンジニアリングのプロとして仕事をしていますが、それと全く関係のないことをやることによって、エンジニアとしても幅が広くなったんじゃないかと思っています。
どんなにスキルがあっても、人に価値がないと誰にも使われない
一番大きいのが、「責任をとる」ということです。やっぱりアメリカの教育システムだと、放っておかれるんですよ。「宿題をやれ」なども全くなく、やらなければやらないだけ成績が悪くなってしまいます。
あとは、「エンジニアリング自体が単体では存在しないということに気づかされた」ということがあります。自分で言うのもなんですが、高校時代からプログラミングがなんとなくサクッとわかったんです。それは、勉強もしたし、自分の中でも得意分野でした。ただ、得意だからすごいというのは全くなくて、逆に得意であるがゆえに失敗していく人たちを見てきて、そこは結構重要なポイントだったと思います。
どんなに情報システムが優れていても、人に価値がないと誰も使わないんだなというのが明確になりました。
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