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M&Aとは?
事業規模拡大のためにはM&Aは欠かせない時代となってきた昨今。
M&Aについては、経営者なら誰でも必ず知っておかなければいけない時代となってきています。
出典:curassy.com
M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略で、企業の合併や買収の総称を言います。
M&Aに対しては、一昔前では「敵対的買収」といった言葉が飛び交い、「会社を食い物にする」といったネガティブな印象をお持ちの方もおられると思います。
しかし、ここ数年でその意味合いも大きく変わり「友好的M&A」というM&Aが多く行われています。
近年このM&Aが急速に増えてきた背景としては、“後継者不足”がその主な理由となっています。
長年経営を行ってきた経営者にとって会社には特別な思い入れがあります。また、培ってきたノウハウを後継者不足という理由で途絶えさせるのは日本経済にとってもマイナスです。
M&Aは買収側と買収をされる側双方がWinWinの関係になるので、みなさんもぜひ活用することを検討して下さい。
M&Aを選択する理由・メリット
出典:http://smallbusiness.chron.com/reasons-business-communication-within-hierarchy-66447.html
それでは、何故M&Aを選択する企業が急速に増えてきたのでしょうか?
企業がM&Aを選択する理由・メリットは以下のようなものがあります。
・一から事業を立ち上げることなくスピーディに事業展開が可能
・後継者不足であったとしても、会社を清算することなく存続させることが可能
・会社の売却により老後の資金を得る事が可能(ハッピーリタイア)
・買収後に必ず引退する必要はなく、しばらく会社に残ることを条件にすることが可能
・現在の会社の状態(雇用状況、会社制度)の存続を条件にすることが可能
・買収側、買収される側どちらが上という事はなく対等な立場での交渉が可能
買収側でM&Aが行われる最大のメリットは、スピーディに事業展開が可能になることです。
それまでその企業が培ってきたノウハウを一気に手に入れることができることから、M&Aは“時間を買う”とも言われています。
逆に、買収される側の一番のメリットはやはり、企業を存続させることが可能だということです。
M&Aを目指す起業家が注意すべきこと
M&Aを目指す起業家が注意すべき点は以下のとおりです。
◯シナジーがあるM&A候補先を選定
まずは適切なM&A候補先を探しましょう。
どうやって探すの?と思われる方もいるかもしれませんが、これは案外簡単です。“情報発信”をするだけです。
例えば、有名なところで言うと、日本M&Aセンターやメインバンクに「M&A先を探している」と言えばいいだけです。無料で条件に合致する候補先を探してきてくれます。
ここで重要な点は、しっかりと自社にとってプラスに働く候補先を条件にあげることです。
技術力が足りないのであれば、必要な技術を備えている企業でも良いですし、配送が弱いのであれば運送会社を探すのでも良いでしょう。
とにかく、自社の事業に全く関係しない畑違いの候補先をあげるのだけは避けましょう。
◯デューディリジェンス(DD)は必ず専門家に依頼
次に候補先が見つかり、実際にM&Aを行いたいとなった場合は、候補先の買収額を決定しなければなりません。
当然、先方の経営者もこのくらいの価格で売りたいという要望がありますし、買収側にとっても出せるお金は限度があります。
そのための買収価格を決定する手段としてDDと呼ばれる企業の価値を算定する方法を利用します。
DDは企業の適正な価値を算定するため、M&Aでは一般的には財務面・法務面・ビジネス面について行われます。
例えば、財務面であれば貸借対照表に計上されている資産の価額は正しいのか、帳簿に記録されていない負債がないかどうか等を検討します。
法務面であれば、後々大きな負債を負わなければならない契約がないか等を検討します。
ビジネス面であれば、買収先企業の属する市場規模や競合他社、企業の強み弱み等を検討します。
このDDについては、高度な専門的知識を要しますので、特に財務面・法務面においては公認会計士や弁護士等の外部の専門家を利用することを強くオススメします。
◯ダラダラやらない
当たり前だろうと思われると思いますが、実はこれが非常に難しいです。
特にM&Aは大きな買い物になりますので、買収側で中々結論が出ずに遅々として進まないケースが多いです。
しかし、M&Aはなるべく早くクローズさせたほうが良いといえます。
長引けば長引くほど早くクローズさせた場合に比べて得られる利益を喪失してしまいますし、担当者も疲弊します。
また、次にあげるポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)へ移る時期がどんどん遅くなってしまいます。
経営者の方は勇気を持って決断することが求められます。
◯M&A後のポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)はしっかりと
PMIとはM&A成立後の統合プロセスのことを言います。実はM&Aで一番大事なのはこのPMIです。
企業文化が全く違う企業の統合ですから、意思決定の方法、社内システムの運用、経理の仕組み、営業方法など、当然社内の仕組み自体が全く違います。
これらの活動の仕組みを最もシナジーが出る仕組みに作り上げなければなりません。
そのため、それぞれの活動の担当者が対応項目のリストアップを行い、一つずつ期日どおりに確実に遂行する必要があります。
このPMIが最も時間がかかり、労力を要する部分になり、PMI次第でM&Aが成功するか失敗するかが大きく左右されます。
誰かに任せるのではなく、経営者自身がしっかりと音頭を取り、かじ取りを適切に行うことが求められることを肝に銘じて下さい。
◯M&Aの事例:買収前後でどんなトラブルがあるの?
筆者が実際にM&Aに携わった時に遭遇したケースとして以下のようなものがあります。
◯DDに専門家を利用しなかったケース
財務DDに会計専門家を利用し、法務DDに専門家を利用しないことがありました。
ほとんどの方が財務DDのほうに目がいきがちですが、実は取り返しがつかない事態になりかねないのは法務DDのほうです。
担当したのは海外の企業のM&Aでしたが、後々になって必要な許認可がないということになり、危うく事業自体ができない状態になりかけたことがあります。
このように財務DDは最悪資金面での損で済みますが、法務DDのミスは事業の根幹そのものに関わるような場合があることに注意が必要です。
◯ダラダラと1年超交渉を続けたケース
M&Aの開始からクロージングまで1年以上期間がかかったことがありました。
理由は経営陣がなるべくリスクを減らそうとするあまり、中々決断できずにダラダラと時間だけ過ぎていきました。
結果、最初にDDを行ったときから期間が経ちすぎたため、2度もDDを行いました。
当然専門家への費用の支払も2倍になり、また担当している従業員も疲弊してやる気をなくすということになりました。
◯PMIがうまくできなかったケース
PMIを軽視した結果、PMIへの準備・対応を全くしなかった企業がありました。
誰が何をやるのかを全く決めなかった結果、責任の所在がわからなくなり、「それはあっちの仕事だ」「これはうちの仕事じゃない」といった責任の擦り付け合いが生じ、結局シナジー効果も得られず時間だけが過ぎていくということになりました。
M&Aについてまとめ
出典:sdtimes.com
M&Aに携わってきた筆者自身が強く感じたのは、意思決定を行う経営陣の気概です。
リスクを恐れてなるべくリスクを減らそうとしているM&Aはほとんどうまくいきません。
M&Aをリスクなしで行うことは不可能だと思います。
リスクを覚悟の上で成功させるために、トップが先陣を切ってかじ取りを行う方が遥かに成功する可能性が高まると思います。
また、何度も述べましたが、M&Aで一番大事なのはPMIです。
M&Aを行った後に都度対応していけばいいと考えられる経営者の方がどうも多いように思います。
しかし、成功させるために一番大事なのはPMIだと心に留めておいて下さい。