古くから代々続く家業の後を継ぎ、その中で事業革新を行っている経営者も少なくありません。
長く続く事業を変えるのは難しいという意見もある一方で、ノウハウや資源があるからこそ 新しいことにチャレンジできるという声もあります。
今回は、1909年に創業した兵庫・淡路の製麺事業を行う淡路麺業株式会社の5代目である出雲文人氏がどのような事業革新を成し遂げたのかに迫ります。
淡路麺業の沿革と事業内容
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淡路麺業では現在、麺の製造販売、飲食店のコンサルティングなどを行っています。生パスタ・ショートパスタ・パスタソースなどを取り扱っています。
しかし、創業時は、麺は麺でもうどんの製造を行っていたようです。
淡路麺業株式会社の前身は1909年、旧津名町志筑で氷室幸次郎氏が開業したうどん店「氷室商店」でした。氷室商店では店舗でうどんを供する一方で、うどん玉、スープ、具材などをテイクアウトで販売していました。
この販売事業が基礎となり、麺類の製造卸売を事業内容とする淡路麺業株式会社が1968年に設立されました。当時はチルド麺、生麺、手打ち麺が主体で、主な販売先は八百屋、食堂、学校給食などでした。
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こうした中で2007年、淡路島以外への販路拡大策として生パスタの製造を開始することとなります。 日本で初となる"「国産デュラム小麦」の栽培を淡路島で成功させ、100%淡路島産の生パスタ製造に取り組んでいます。
麺類以外の製品としては、地元食材を使用した生パスタ専用のパスタソースの商品開発を進める一方で、地域活性化業として地元食材ツアーを組むなど、生産者とシェフをつなげる取り組みも積極的に行っています。
さらに、お客様繁盛支援業としてパスタ調理講習、販促提案、食材紹介など幅広く手がけています。
淡路麺業にとって大きな転機を作ったのは、5代目社長の出雲文人氏です。
彼はどのような背景で後を継ぐことを決め、生パスタの開発に乗り出したのでしょうか?
出雲文人氏が5代目社長になるまで
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淡路島で生まれ育った出雲文人氏は大阪の大学卒業後、淡路の田舎暮らしがイヤで、大阪でそのまま就職しました。
しかし4代目社長であった父親のうどん製麺業が赤字経営となっていたため、2006年に帰郷し、店を両親から受け継ぎました。また、系列のうどん店「麺乃匠 いずも庵」を任されました。
当時経営は傾いていましたが、玉ねぎをまるごと天ぷらにした「玉ねぎつけ麺 華」などの特産を使ったメニューが名物となり、自由な発想で次々とアイデアを形にしていったそうです。
それにより、赤字経営だった店を行列のできる人気店へと変えることに成功しました。