シックスシグマとは? “改善の奥義”の種類と流れを学んでみる

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“100万回の作業を実施しても不良品の発生率を3,4回に抑える”


出典:gahag.net
シックスシグマとは統計学において標準偏差を意味するσ(シグマ)を語源とする品質管理手法の1種であり、ある正規分布に従う製品不良の発生状態において、その不良品の発生率を100万分の3,4に抑えることを目標として、統計分析手法や品質管理手法を体系的に駆使してプロセス上の欠陥を特定……

安心してください。
本記事のテーマはシックスシグマですが、上のような小難しい話はしないことにします。

モトローラ社によって品質管理手法として生み出され、GE社で経営管理手法として生まれ変わり、そしてISOでグローバルスタンダードとして標準化されたシックスシグマ。

歴史の中で多くの人にその価値を認められたからこそ、シックスシグマはこの栄光の道を歩んできました。
その本質は“論理的な改善ステップ”にあります。

数字、アルファベット、“統計学”など難しい印象ばかりが先行しているシックスシグマですが、基本となるロジックは意外とシンプルです。
今回は“改善の奥義”シックスシグマについて、シンプルに学んでいきましょう。

シックスシグマって何するもの?


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シックスシグマとは「お客さんに満足してもらうため、プロセスのダメな所をロジカルに、ステップバイステップに解決していく改善手法」のことです。

「お客さんに満足してもらう」
シックスシグマの根幹をなすのはビジネスの基本であるこの原則です。顧客の声を聞いたり、顧客の気持ちになってみたりしてプロセスの欠陥を探します。

「ロジカルに、ステップバイステップに」
シックスシグマの改善プロセスは勘に頼った行き当たりばったりのものではありません。
論理的、定量的にステップを踏んでの解決を目指します。そのために使うのが統計学的手法なわけです。

こう見てみると、シックスシグマは得体のしれないものではないようですね。

シックスシグマはいくつか種類があるって本当?

はい、実はシックスシグマにもいろいろな種類があります。
長い歴史の中でいろいろな人が発展させてきました。
今回は代表的な3種類を見てみましょう。

Six Sigma(SS):シックスシグマ

一番スタンダードなシックスシグマです。
既存のプロセスやプロダクト、サービスの改善を目的としています。
DMAIC」を用います。

Lean Six Sigma(LSS):リーン・シックスシグマ

トヨタ発祥のリーン生産方式を取り込んだことで進化を遂げたシックスシグマです。
品質の改善に加え、無駄を排除して期間を短くすることを目的としています。
シックスシグマと同じく「DMAIC」を用います。

Design For Six Sigma(DFSS):デザインフォーシックスシグマ

「新しいモノを創るときにはシックスシグマは使えないの?」
そんな不満に応えて誕生したのがこのDFSSです。
新規のプロセス、プロダクト、サービスの価値を向上することを目的としています。
DFSSでは「DMADV」を用います。

DMAICとかDMADVってなに?


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シックスシグマの基本となるのがこの「DMAIC」や「DMADV」なのです。
プロセス改善の5ステップの頭文字をとったものになっています。

DMAIC

① Define(定義する)

解決すべき課題を明確に定義します。
顧客の(潜在的)要求を満たしていないものを「欠陥」と捉え、改善プロセスに乗せるのです。

② Measure(測定する)

まずは現状のプロセスを見える化し、問題の要因となっているモノを抽出します。

③ Analyze(分析する)

ここで統計的な分析を使います。影響の大きい要因が何かを明らかにし、結果-要因の因果関係を導き出します。

④ Improve(改善する)

ここまでで絞られた要因に対して解決案を考え、新たなプロセスを構築します。

⑤ Control(定着管理する)

生み出された改善策がしっかりと組織に定着しているか、継続的に管理します。

DMADV

① Define(定義する)

これから創りたいものの課題・要件を明確にします。

② Measure(測定する)

考慮すべきパラメータをすべて抽出し、その中から最もクリティカルなもの(CTQ:Critical To Quality)を発見します。

③ Analyze(分析する)

CTQに結びつく要素を分析していき、機能の設計を始めていきます。

④ Design(設計する)

ここまでの情報を駆使して、より綿密な設計を作ります。

⑤ Verify(検証する)

生み出されたものがしっかりと顧客を満足させるのかを検証していきます。

シックスシグマは大まかにはこれらのプロセスに沿って行われていくのです。

どのようにシックスシグマを導入すればいいの?


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シックスシグマの考え方はシンプル、プロセスについても理解はできたと思います。
しかしながら当然、その導入は一筋縄ではいきません。

プロセスを確実に管理・進行させる能力や統計学的スキルなど、シックスシグマの導入に求められるものは多く存在します。

これらを修め、実際にシックスシグマを仕切る存在が「ブラックベルト」とよばれる資格取得者です。
本格的にシックスシグマを導入する場合にはこのブラックベルトと呼ばれる人材が必要です。

ブラックベルトになるためにはいくつかの組織で行われている研修に参加し、知識とスキルを修めなければなりません。
*例:(株)日本能率協会コンサルティング、(株)グローバルテクノ

一般的に管理職クラスの人材にブラックベルトを取得させることが多いようです。

「お金も時間もかかるな……」と渋ってしまう人もいるかもしれませんが、医薬品大手の万有製薬ではシックスシグマ導入によって約48億円もの財務効果を得たとの話もあります。

これから海外の競合企業と戦うためにはぜひ会社に持っておきたいスキルではあります。
ぜひ検討してみてください。

DMAICプロセスでシックスシグマを体験してみよう


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本格的な導入には研修が必要になってくるシックスシグマ。
しかしそれだけに効果は期待できます。

また、根本の考え方や各プロセスはシンプルなものです。
検索してみるといろいろな情報もあるので、本格的な導入の前に一度チームで取り組んでみるのも1つの手でしょう。

“欠陥”を見つけ、論理的にステップで解決していく改善手法「シックスシグマ」。
歴史を持つ“改善の奥義”をぜひ習得してみませんか?

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