サーバント・リーダーシップとは? 奉仕する精神でチームを育てる

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ドラッカー、センゲも認めるグリーンリーフが生んだサーバント・リーダーシップ


出典:servantleader.jp
「私が今まで会った人物の中で最も賢い人」(P. ドラッカー 『マネジメント』著者)
「リーダーシップを本気で学ぶ人が読むべきものはただ1冊、本書だけだ」(P. センゲ『学習する組織』著者)

ドラッカーセンゲなどの賢人たちからこれほどの称賛を受けた人物が存在しました。それが、ロバート・K・グリーンリーフ、『サーバント・リーダーシップ』の著者です。

彼は、AT&Tで勤務後、コンサルタント、研究者として、マネジメント、そしてリーダーシップを究め続けていました。その中で見出したリーダーシップが「サーバント・リーダーシップ」です。

企業、組織に属するなら多くの状況で求められることになるリーダーシップ。
今回見ていくのは奉仕する精神「サーバント・リーダーシップ」です。
サーバント・リーダーシップのもつ2つの側面、10の特性、そしてその効果について学習していきましょう。

サーバント・リーダーシップ-奉仕型リーダーシップは珍しくはない?


出典;free-illustrations-ls01.gatag.net
使用人、召使い」などを意味するサーバントと、リーダーという一見対極の意味を持つ言葉が組み合わさっていますね。とても奇抜なアイデアのようにも思えます。しかし、実際にはどうでしょうか。

従業員、メンバーに奉仕するリーダー。
つまり、自分の活躍ではなく、部下やチームメイトが活躍できる環境を整えようとするリーダーたちを見たり聞いたりしたことはありませんか?
または、メンバーが自ら成長し、工夫し、積極的に行動していくチームのリーダーを知りませんか?

彼らこそが、サーバント・リーダー、奉仕型のリーダーなのです。
実はサーバント・リーダーシップとは、特別なアイデアではなく、良いチーム作りをするリーダーの多くが実践しているかもしれないことなのです。

一般的なリーダーのイメージは支配型だと思います。支配型にも長短があり、奉仕型と比較して良い、悪いといったものではありません。
しかしながら、人材の力を最大限に発揮させるのはサーバント・リーダーたちであるように思えます。この点が、P. センゲ達にも評価されたのでしょう。

さて、サーバント・リーダーシップには全部で10の特性があるとされています。
この10の特性を紹介する前に、サーバント・リーダーシップにありがちな誤解を解いておきましょう。

その誤解とは「サーバント・リーダーは受け身的で、メンバーのやりたいことをサポートすることが仕事だ」というものです。
サーバント・リーダーシップはあくまでリーダーシップであり、サポーターの在り方をまとめているわけではありません。

このような誤解を避けるために、サーバント・リーダーシップは2つの側面をもって描写されます。
リーダー的な側面「ビジョン・戦略的役割」と、サーバント的側面「実行・オペレーショナルな役割」です。

「実行・オペレーショナルな役割」はあなたが想像している通りのものだとも思います。メンバーが仕事をより効果的に、快適に遂行できるよう「奉仕」するのです。

「ビジョン・戦略的役割」はリーダーとして当然の役割です。意味のあるビジョン、明確なミッションを提示して、戦うための戦略を提案します。サーバント・リーダーシップにおいても、この役割は行われなければなりません。

サーバント・リーダーシップが実は当然のことを示している概念だと認識できたでしょうか?

サーバント・リーダーシップ 10の特性


では、サーバント・リーダーシップの10の特性について紹介していきます。

傾聴、共感、癒し、気づき、納得、概念化、先見力、執事役、人々の成長への関与、コミュニティづくり、この10項目がサーバント・リーダーシップの特性です。さらにこの特性は上図のように2つの側面と関連しています。順番に解説していきましょう。

1 傾聴
相手の話をしっかりと聞きましょう。何を望んでいるのか、どんな悩みがあるのかを正確に理解することで1人1人に効果的な奉仕が可能となります。

2 共感
相手の立場に立ってみましょう。人は誰しも自分に共感してくれる人に好感をもち、信頼してくれるものです。

3 癒し
仕事の中で傷つくこともあるでしょう。そんな時、彼らをフォローし、本来の力を発揮できる状態にするのはリーダーの仕事です。

4 気づき
物事をありのままに見て、あらゆることに対して気づきを得ましょう。相手に気づきを与えることも大切です。

5 納得
相手の同意を得ながら、仕事を進めましょう。上司・先輩という立場を利用するのではなく、論理的かつ感情的に相手を納得させなければなりません。

6 概念化
自分のビジョンや戦略を構築し、チームと共有することも大切です。リーダーが示したビジョンやコンセプトに従って、メンバーは動き出します。

7 先見力
過去の事実、現在の状況を結び付け、将来の予測をします。リーダーはメンバーの進む道に責任を持たなければならないのです。

8 執事役
自分の利益よりも相手の利益、活躍を喜べる人間になりましょう。前に出すぎることなく、執事のように一歩引くことが大切です。

9 人々の成長への関与
1人1人の特性を把握し、彼らの成長にコミットしましょう。成長できる場にはさらなる仲間も集まります。

10 コミュニティづくり
メンバー同士の関係にも気を使いましょう。働きやすい環境づくりは企業の業績にも結び付くはずです。

参考:日本サーバント・リーダーシップ協会

以上、サーバント・リーダーシップの10の特性でした。ぜひ、意識してみてください。

サーバント・リーダーたち

ここで、サーバント・リーダーの例を挙げておきましょう。

ハーバート・ケレハー(サウスウエスト航空 元CEO)

“リーダーシップとは、自分が率いる人々のために献身的に身を粉にして働く奉仕者になることであり、人生の喜びや悲しみを分かち合うことのなのだ”
サウスウエスト航空創立者のハーバート・ケレハー氏は上のように述べ、あらゆる階層におけるサーバント・リーダーシップを大切にしていました。

創立者の意志を継いだ社長、コリーン・バレット氏も「顧客の満足度を上げるためにはまず従業員の満足度を上げるべきだ」として、社内に「カルチャー・アンバサダー」という職を設けて価値観浸透に努めました。

池田守男(資生堂 相談役)

資生堂の社長・会長を務めた池田氏もサーバント・リーダーシップの実践者です。彼は「店頭起点の経営改革」というミッションのもと、自身を一番下に置く逆ピラミッド型組織のイメージで社員を支えました。

彼は著書『サーバント・リーダーシップ』の中で、「大切なことは、変革の必要性や可能性を社員に理解させ、ゴールを示して、そこに主体的に向かうようにモチベートすることだ」と述べています。

サーバント・リーダーシップが高めるものとは?


サーバント・リーダーシップはメンバーの力を高めるリーダーシップです。
この項では、どのようにサーバント・リーダーが価値を生み出すのかについて考えてみましょう。

サーバント・リーダーはビジョンや戦略を示したあとは、直接自分で価値を生み出すことはありません。
その代わりに、メンバー全員が価値を生み出すサポート(執事役)をするのです。

サーバント・リーダーの焦点は2つです。
モチベーションの向上、および能力の上昇を目指します。

10の特性のほとんどはメンバーのモチベーション向上に寄与します。
コミュニティづくりは所属の欲求を、傾聴や共感、癒しは承認欲求を満たします。
さまざまな欲求を充足させることのできるサーバント・リーダーシップはモチベーション向上に抜群の効果を発揮するのです。

また、気づきや納得、成長への関与はメンバーの能力上昇の契機となります。
サーバント・リーダーの仕事は自らが業績を上げることではないため、メンバーの成長にコミットできます。成長できる場というのはそれだけでモチベーションにもつながります。

奉仕するリーダーが部下を高みへ導く


出典:freestockphotos.biz
君臨・支配するリーダーではなく、奉仕するリーダーこそが、チーム1人1人の力を伸ばし、新たな価値を生み出します。情報で溢れ、多様化が進んだ現代では、いくら優れたカリスマでも、1人だけの認知能力では大きな成果を得ることはできません。

この時代にこそ、人に奉仕し、全員の力を引き出すサーバント・リーダーシップが求められているのです。

サーバント・リーダーシップの10の特性を身につけて、ぜひあなたもサーバント・リーダーを目指してみましょう。

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