OJTとは?4つの手順と3つの原則を学んで、改善点を探してみよう。

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OJTって何?

会社やバイト先でOJTという言葉聞いたことありませんか?
意味はなんとなく知っているけど、具体的にどういうことなのかよくわからないという人も多いと思います。

OJTとは、On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称で、実際の職場で実務を通して学ぶ訓練のことです。
これに対して、実際の業務から離れて行う研修などのことをOff-JT(Off the Job Training)といいます。

Off-JTとは? マネジメント層なら押さえておくべき、Off-JTの必要性
人材育成の手段はOJTだけではありません。Off-JTの方が有効な場合を知っておかないと、もしかすると社員にムダな負担をかけているかも?

要するに、OJTは「仕事をしながら職場の先輩にその仕事を教えてもらう」ことです。
こう聞くと、簡単で当たり前のことに思えますよね。しかし、実際にやってみると難しいものです。
教える側からすると、通常業務と並行して行うことになるOJT。ただでさえ忙しい中、十分なOJTができているのでしょうか?

少しでも効率よくOJTを行えるように、今回はOJTで重要なことやそのメリット、問題点などを押さえていきましょう。

OJTの基本。4つの手順と3つの原則。


出典:pakutaso.com
OJTには4つの手順3つの原則が存在します。

4つの手順

  • Show(やってみせる)
  • Tell(説明・解説する)
  • Do(やらせてみる)
  • Check(評価・追加指導を行う)

Showでは、まずその仕事をやって見せ、仕事の全体像をわかってもらいます。この手順は意外と忘れやすいものです。言葉での説明で終わらせがちですが、具体的なイメージを持ってもらうことが大切です。
Tellでは、具体的に仕事の内容を説明します。その仕事はどういうものなのか、その意味や背景を教えていきます。また、質問を効果的に用いることでOJTの効果が上がります。
Doでは、実際にその仕事をやってもらいます。初めてのときはしっかりと横について見てあげましょう。
Checkでは、Doでできていなかったことや、Tellでは教えていないようなより細かいことなどを教えていきましょう。また、Doの評価も行います。その評価にもとづいて次の計画を立てていきます。

3つの原則

OJTの3つの原則とは、意図的・計画的・継続的であることです。
原則➀ 意図的: どのような目的をもってそのトレーニングを行うのかを認識すること。
原則➁ 計画的: しっかりとした計画に基づいてトレーニングが行われること。
原則③ 継続的: 1度で終わってしまうトレーニングではなく、反復的に、また段階的にトレーニングが実行されること。

これらの原則が守られることが、OJTにおいて最も重要です。3つの原則を守ることでOJTの質が保たれるからです。

OJTのメリット・デメリット

つづいて、OJTにはどのようなメリット、またデメリットがあるのか考えていきましょう。

OJTのメリット

  • ・実際の仕事を通して学べるので、研修と仕事のズレが小さく、効率の良いトレーニングができる。
  • ・トレーニングを通して、先輩と新人の人間関係が構築できる。
  • ・新人のペースに合わせることができる。
  • ・日々の業務で継続的に実行できる。
  • ・外部講師や研修時間などの費用がかからない。

 

OJTのデメリット

  • ・指導者の負担が大きくなる。
  • ・指導者の能力によってトレーニングの質にバラツキが出る。
  • ・業務の中で学ぶので、途切れ途切れのトレーニングになることもあり、体系的に学びにくい。
  • ・計画作成の手間がかかる。
  • ・新人育成が現場任せになりがち。

このように、OJTにはメリットもデメリットもありますが、新人教育はどのような職場でも必要になるでしょう。厚生労働省の発表している「労働経済白書」でもOJTの効果は認められています。Off-JTと組み合わせて、上手くOJTを活用していきましょう。


実際にOJTができているのか


出典:gahag.net
ここまで基本的な考え方を説明してきましたが、あなたの職場では質の高いOJTができていますか?
実は、OJTを行っているにもかかわらず、「適切な教育がされていない」としてやめていく人も多いのです(「労働経済白書」より)。
これは、OJTを行っていると答えた企業でも、適切なOJTが行われていない証拠です。

あなたが受けた教育は4つの手順(Show,Tell,Do,Check)に従って行われていましたか?
あなたが行っている教育は計画的なものですか?
もう一度振り返ってみましょう。

OJTを行うときの課題・問題点

では、どのような問題が起こり得るのか見ていきましょう。
1度しか教えない、1回で全部教えてしまう(フィードバックが少ない)
このパターンは、原則③「継続的」の無視、Checkの不足による問題です。結果として、新人はミスを重ねることになり、その新人自身にも会社にもダメージを与えることになります。また、トレーニングを通しての関係構築もしにくくなります。

このパターンの解決策は、継続的・段階的な指導計画の作成と、フィードバックの実施を増やすことです。マニュアルで計画のフォーマットや、フィードバックの指標などをつくっておくと良いでしょう。フィードバックの方法については、下にも記述があります。

指導者側のスキルが低い、それぞれの指導者の感覚によって指導が行われる
このパターンでは、原則➁「計画的」が損なわれます。計画的なOJTの実施のためには、指導者のスキルアップ、指導方法の統一は不可欠です。

このパターンの解決策は、指導者に対する研修の実施指導手順のマニュアル化です。OJT、Off-JTを組み合わせて指導者のスキルアップを目指しましょう。また、指導者同士でのトレーニングに関する情報共有も大切になります。

より良いOJTのために考えたい3つの方法

まずは3つの原理(意図的計画的継続的)を満たし、4つの手順(Show,Do,Tell,Check)を実行することが大切です。
その後、それぞれの職場に合ったOJTの形を作り上げていければいいと思います。

ここでは、なるべくどのような職場でも役立つようなことを紹介していきます。

①マニュアル化

これは、原理「計画的」「意図的」を満たし、さらに4つの手順を実行しやすくするためのものです。マニュアルに必要なものは、目的・指導方法・業務内容・評価基準・計画表(達成目標期間)などです。

目標は、そのOJTの目標について、上層部・指導者・新人の間で共通認識を持つための項目です。これによって、ゴールに向かったOJTが可能になります。
指導方法は、現場の指導者の負担を減らすためのものです。業務内容は、指導内容が人によって異なることを防ぎます。
評価基準は、明確なフィードバックを行うために作ります。何ができていて、何ができていないのかを指導者・新人の両者が判断できるようにします。計画表は、OJTのスケジュールを管理し、段階的・体系的なトレーニングを可能にします。

②フィードバック

フィードバックは新人の成長のためには必要不可欠なものです。できる限り頻繁に行うようにしましょう。
また、フィードバックには「できた部分を評価する」フィードバックと、「改善点を教える」フィードバックがあります。この2種類のフィードバックをなるべくセットでしましょう。そうすることで、新人のモチベーションを保ちやすくなります。

③オープン・クエスチョン

新人の理解度を確認するときに有効なのが、「オープン・クエスチョン」です。オープン・クエスチョンは、Yes/Noでは答えられない質問のことです。
OJTで教えたことについてオープン・クエスチョンを実施しましょう。新人は自分の言葉で説明しなければならないため、どの程度理解しているかを確認しやすくなります。返ってきた答えに対してさらにオープン・クエスチョンを重ねることができれば、より質の高い理解を促進できます。

OJTは、「1人のために皆で回すPDCA」


出典:gahag.net
OJTについて、その基本的な考え方と課題・対策について紹介しました。ここで紹介したことは一部であり、まだまだ多くの研究がされています。

OJTは、「1人の社員のために組織みんなでまわすPDCA」です。
指導計画をつくり、指導を行う、フィードバックや指導方法の評価、そして改善を繰り返すことでより良いOJTが出来上がります。
そして、そのOJTは組織全体の成長につながることでしょう。

OJTは大変ですが、組織成長のためには不可欠です。
ぜひ、あなたの職場のOJTを見直してみてください。

【合わせて読みたい→関連記事】

忙しい中でOJTを行うあなたに、それでも心掛けてほしい7つのこと。

忙しいからこそ、心掛けを知っておく

通常業務の中で行わなければならないOJTは時にとても煩わしく感じると思います。
組織全体のことを考えれば、後進を育成するのは大事だとわかるけど、それでも「自分がやったほうが早い」「それくらい自分で勝手に学んでくれたらいいのに」と思ってしまうこともあるでしょう。

そもそも教師やコーチとしての能力を持たない人にとってOJTは非常に負担のかかるものです。

しかしOJTを受ける側からすると、良いOJTを受けられるかどうかは重要な問題です。

そこで、今回はOJTを行う上で知っておきたい7つの心掛けを挙げてみました。
全てでなくても2つか3つは覚えて実行してほしいと思います。

7つの心掛け

➀“目標設定”-SMARTゴール

適切な目標設定ができるかがOJTでも重要になってきます。
そのために目標設定のルール「SMARTゴール」を知っておきましょう。

Specific:具体的に

目標は明確にわかるような形で設定されなければなりません。

Measurable:測定できる

目標が達成できたか、その成果は目に見える形で表現されるべきです。

Achievable:達成できる

OJTを受けるその人にとって、その目標が本当に達成可能かを確認します。

Related:関連している

その目標はその仕事、会社全体にとって意味のある目標なのかも大事です。

Time-bound:期限がある

当然、目標設定には明確な期限も含まれなければ、効率的なトレーニングはできません。

➁“声かけ”-誉めること、伝えること

OJTでは先輩から後輩への声かけが重要になってきます。

実は人にとって最大の報酬は精神的な満足感です。
精神的な満足感を与えるための声かけはずばり「誉める」ことです。
積極的にいい部分を探して誉めてみましょう。

また、些細なことでも伝えることで「いつもみているよ」と分かってもらうことも効果的です。

③“質問”-オープン・クエスチョン

前のページでもお伝えした通り、質問はYes/Noで答えられる「クローズド・クエスチョン」ではなく、「オープン・クエスチョン」をメインに使いましょう。

加えて、「Why」ではなく「What」を聞くようにすると良いといいます。
「なぜ、どうして?」と聞かれると、責められていると思う人もいるからです。
したがって、「何を思ったのか」「どんなことをしたのか」など内容面に注目した質問をするようにしましょう。

➃“やる気”-所属欲求→達成欲求

「マズローの欲求階層説」は知っているでしょうか?
今回注目するのは第3層「所属と愛情の欲求」第4層「自尊感情の欲求」です。

まずは需要的な雰囲気をつくり、職場に居場所を作ってあげましょう。
これにより第3層の欲求が満たされます。

つづいて、自力で達成できる課題を与えていきます。
スモールステップの原則に従い、だんだんとレベルアップした課題にしていきます。
この段階が第4層「自尊感情」の達成欲求を満たすことになります。

OJTにおいてはひとまずこの達成欲求を導くことを目指しょう。

➄“個性”-それぞれの個性を受け入れる

人にはそれぞれ個性があります。
時にはその個性は非常に強烈で、職場の他の人に迷惑をかけることもあるかもしれません。

それでも同じ職場で働き続ける以上、その人は仲間です。
彼らにも質の良いOJTを提供する必要があるのです。

というわけで5つ目の心掛けは「その人の個性を受け入れて、その人に合ったOJTを展開する」です。

OJTの効率を上げるためにはマニュアル化などが有効だと前のページで述べましたが、より質の高いOJTを目指す場合はそれだけでは足りません。
1人1人の弱みを許容し、強みを生かせるようなOJTを実行すべきなのです。

しかしながら、この心掛けは大変な苦労を要することもあるので、チーム全員で協力できる環境をつくっておきましょう、

➅“成長段階”-学習曲線とプラトー高原

人の成長は直線的ではなく、曲線的であるといわれています。
また、成長の途中には「プラトー現象」と呼ばれる停滞期が存在します。

原理的にそういうものらしいのですが、それでも成長が停滞することはモチベーションダウンにつながります。
したがって、OJTを行う側は新人がプラトー現象に陥っていないかを確認し、変なプレッシャーやストレスを感じないような気配りをしてみましょう。

➆“あなた”-自分にとっても成長の場

最後の心掛けはあなた自身に関するものです。

OJTはともすれば面倒くさいものだと思います。
教師、コーチ系のスキルを持たない人にとっては大きな負担でしょう。
通常業務の中でやるというのが大変な負荷ポイントです。

しかし一方でOJTのメリットは通常業務内であることなのです。
OJTを受ける側、組織側のメリットは前ページで述べましたが、OJT担当者にとってもメリットはあります。

まず、自分が普段やっている業務を客観的に理解することができることです。
それによりさらなるスキルアップを目指せるでしょう。

また、「生徒に教える」ことは少なからず「生徒から学ぶ」ことを含みます。
今まで当然に思っていたことに新たな見方が生まれるかもしれません。

そして、OJTは「人を育てる」ことです。
自分の前で人が成長していくのを見るのはなかなかにいいものではないでしょうか?

より良いOJTを目指して

より良いOJTができれば、業績の向上職場の雰囲気の改善にもつながります。

あなたのOJTが7つの心掛けに合っているかどうか、もう一度確かめてみてください。
合っているところはより伸ばして、足りないところは新しく心掛けてみましょう。

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