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部下を成長させるためにできること
出典:gahag.net
人を成長させるのはとても難しい仕事です。
自分の成長はある程度コントロールもできるでしょう。
しかし、部下ができて、管理職になって、自分以外の誰かの成長に責任を持つ立場になった時、その状況は変わります。
人の成長のコントロールは至難の業です。
人の育成は難しい、しかし組織の成長のためには不可欠なものです。
先人たちも貴方と同じように悩んできました。
そして、いくつもの解決策を導き出してきたのです。
今回はその中でも有名なものの1つMBO(Management by Objectives)について紹介します。
ドラッカーが提唱した目標による管理制度MBO。その本質は「自立した人材を育て上げる」ことにあります。
MBO(Management by Objectives)とは
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直訳すると「目標によるマネジメント(管理)」になります。
MBOとは、社員それぞれが目標を立て、その達成によって社員を評価・管理する手法です。
MBOはピーター・F・ドラッカーが著書『The Practice of Management(現代の経営)』において提唱され、その後さまざまな人によって開発されてきたマネジメント手法のことです。
まず理解してほしい点は、MBOの目標はそれぞれの社員が自身で定めた目標であるということです。
また個人の目標は組織の目標に結びつくように設定します。
MBOが目指すのは、トップダウンでノルマを与えられ達成圧力をかける組織ではなく、それぞれの社員が組織のために何ができるかを自律的に判断し、その目標に沿って行動できるような組織をつくることです。
管理職や経営層によって管理されるのではなく、自らが立てた「目標」のによって管理される。
これがMBOなのです。
MBOのメリット・デメリット
MBOのメリット
1仕事の理解・能力開発が促進される
人は目標を定めることで、その達成に向けて工夫しながら学習することができます。
目標達成のために必要なことは何か考え、行動し、時には上司や同僚の助力を得ながら達成向かっていくプロセスの創造こそが、MBOの狙いなのです。
またMBOにおける目標は組織の目標に繋がるものです。
その仕組みによって、自分の仕事が企業にとってどのような意味を持つのか再認識することができます。
2 モチベーション向上につながる
MBOはモチベーション向上にも役立ちます。
個人目標と組織目標の関係を知ることで、自分が組織に貢献しているという意識が取得できるでしょう。
また、上から与えられたものでなく、自身で定めた目標であるため、内発的動機付けも働きやすくなります。
目標を基準に仕事を考えるため、自身がやるべきことを明確にしていけることもモチベーション向上に一役買います。
3 人事考課に応用できる
目標と結果が明確に出てくるため、評価に使いやすいのがMBOです。
上手く運用できれば、年功序列や経験年数に偏らず、より能力・意欲のある社員が成功できる環境をつくることができるでしょう。
一方で、成果主義に傾倒したり、目標の達成のみで測ったりすることで、不適切な人事考課になってしまう危険性もあります。
MBOの第一の目標は個人の成長、ひいてはそれによる組織の成果向上であることを肝に銘じておきましょう。
MBOのデメリット
1 主観的な評価になってしまいがち
目標を数値で管理できない場合、主観的な評価になってしまいます。
また数字で管理できる場合も、目標とする数値が適切でない場合はMBOが機能しません。
2 目標によって行動が制限されてしまう
MBOは良くも悪くも定めた「目標」を重視します。
現実にはその目標に直接結びつかない業務も多数存在するでしょう。
しかし目標達成がある程度評価につながってしまう以上、目標達成につながる行動ばかりして、そのほかの業務が疎かになってしまう危険性があります。
3 目標設定や評価が難しい
MBOは目標に依存したシステムですが、適切な目標を設定するのは難しいものです。
また、達成できたどうか、どの程度達成できたかをどのように評価するのかもMBOの問題の1つになります。
このように、MBOには「目標設定の難しさ」「目標を評価に結びつけることの危険性」などのデメリットがあります。
これらのデメリットに対処するためには、頻繁なフィードバックや組織文化の形成、「見える化」などのシステム作りが必要です。
MBOによる目標管理制度の在り方
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MBOは最近はやりのOKRなどと比べると古い手法です。
またノルマ主義に傾倒した時代もあり、ネガティブな印象を持っている人もいるかもしれません。
しかしMBOは「組織のなかで個人が成長する、とはどういうことか」をとてもよく表している管理手法だと思います。
自律的に目標を定める。その目標は組織の成果に結びつくものである。
その目標に沿って行動し、成長していく。
MBOのコンセプトは間違いなく組織における成長のエッセンスを含んでいます。
したがって重要なのは、MBOが有効かどうかを考えることよりむしろ、MBOのコンセプトを導入したシステムをどのように構築するかということなのです。
例えば、
組織に結びついた目標を立てるためにどのような情報を提供するべきなのか?
目標に対するプレッシャーやその達成意義をどのように演出するか?
目標と行動に対するフィードバックの頻度は? 誰がするのか?
目標への進捗確認を簡単に、効果的に行える方法はどのようなものか?
これらの事項を検討し、その組織に合った解決策を考え出すことで、MBOはその真価を発揮することができます。
またいきなり全社でMBOを導入するのは難しいかもしれません。
その場合は1つの組織単位、部署レベルで試験的に導入してみるのはどうでしょうか?
MBOで人が成長する場をつくる
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MBOの本質は人事考課ではなく、成長のための場づくりにあります。
貴方が個人レベルではなく、組織レベルの成長・部下の成長を考えなければならなくなった時、MBOはきっと役に立つことを教えてくれるでしょう。
MBOのコンセプトを理解し、運用することで優秀なマネージャーになれます。
まずは、組織の中で人が成長するとはどういうことなのか、改めて考えてみましょう。