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水問題を解決するオートメーションを創造せよ~オムロングループ社員の新領域への挑戦~

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世界を変える新しい「コト」を創造するオムロン コトチャレンジ

「オムロン コトチャレンジ」とは、オムロンベンチャーズ株式会社が主催する、ハードウェアベンチャーに特化したものづくり支援プログラムです。

 

創業したばかりで、ノウハウや設備をこれから獲得していかなければならないベンチャー企業に対して、オムロンのものづくり人財の持つノウハウや設備を提供し、製品の企画・開発をサポートしています。過去2回のプログラムに参加したスタートアップの中には、その後の資金調達や事業拡大のきっかけを得た企業も少なくありません。

 

もちろん外部のベンチャーだけではなく、オムロンの社内からの申込もあります。今回は、2016年に開催された成果報告会(Demoday)に出場した、オムロン社内チーム「U.W.I」チームリーダー、岩元祐治氏にお話を伺いました。U.W.Iは、「水の安全見える化システム」を開発しました。

オムロングループとして新しい社会課題に挑戦したい

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資料提供:オムロン

-コトチャレンジ参加の経緯を教えていただけますか?

オムロングループの35歳前後のメンバーが集まり新規事業を検討する社内研修があります。そこでグループの営業や開発など、あらゆる部門のメンバーが集まって社会課題を解決するためのアイデアを出し合い、グループ会社の社長たちに提案する機会がありました。

 

この研修で考えた社会課題解決のアイデアを形にしてみたい、と強く思い、参加者たちに呼びかけたのがコトチャレンジ参加のきっかけです。

 

「社内の技術やノウハウ、人脈を使って、これまでオムロンがチャレンジしてこなかった分野で新しいニーズを生み出したい」という想いが強かったのです。これは、オムロンの社憲にもある”われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう”の実践であるとも思いました。

 

水が循環する社会をつくり、水不足を解消する

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資料提供:U.W.I
-解決したい社会課題について教えてください

日本にいると当たり前すぎて、水の恩恵を感じることはできません。しかし、世界に目を向けると、水は人の生命にかかわる重要な問題と認識されています。「2015年版開発協力白書」によると、2015年時点で、安全な水を利用できない人口は、世界で約7億人と言われています。

 

さらに、トイレや下水道などの衛生施設を利用できない人口は約24億人で、開発途上国人口の約半分に相当すると言われています。そこで考えたのが、水のリサイクルです。

 

「水を循環できる社会になれば、水不足に悩む地域が減り、人々が安心して生活し、働けるので笑顔も生まれる。更に宇宙でも生活できるのでは?」と議論すればするほど、水の可能性に夢は膨らむ一方でした。

 

「では、どの領域の水循環の問題を解決すべきか?」と考えたとき、日本の水資源の利用状況について調べてみると、農業用水が全体の7割もあることを知りました。そこで、利用割合の高い農作物の水質管理に絞ることにしました。

 

中でも植物工場での利用を想定したのは、日本の植物工場が、水質管理の有効性を検証する上で、最も適していると考えたからです。日本の植物工場は、太陽光を利用せず、植物の育成に最適な環境を人工的に構築している完全閉鎖型といわれるものが主流です。このタイプだと水質に影響を与える要因が少ないので、比較的制御しやすいのです。
植物工場には完全閉鎖型(太陽光を利用せず、植物の育成に最適な環境を人工的に構築しているタイプ)と、半閉鎖型(グリーンハウスを利用し、太陽光の補助として人工光を利用するタイプ)があります。半閉鎖型は別の要因が水質に影響を与える可能性があること、さらに日本では完全閉鎖型の植物工場が多いことの2点が、対象を植物工場に絞った理由です。

水中の生物粒子を見える化し、増加を防ぐ水質管理システム

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資料提供:U.W.I
-コトチャレンジに参加したことで、変わったことはありますか?

私たちが開発したのは、「水の安全見える化システム」です。具体的には、生物粒子の見える化(センシング)と、粒子増加を防ぐ(コントロール)という新しい水質管理システムで、水の安全性を判断します。

 

このシステムは、生物粒子計数器を使い水中の微生物の数と大きさを「見える化」し、増えすぎたら自動で薬液を注入し、減少させます。農作物の生育を完全制御している植物工場において、水質管理は最も重要なポイントです。

 

「水質をリアルタイム観測することで用途に適した水へ変える」ためには、制菌検査に基づいた水質管理が必要ですが、これにはというのは、一見簡単なようですが、様々な知見が必要です。生菌検査の主な手法として①培養液②蛍光顕微鏡③微生物センサ④生物粒子計数器があり、培養液を使うのが一般的です。

 

しかし、培養液は菌によって使い分けないといけないこと、さらに、判別するまでに48時間もかかってしまうという問題があります。このように最適な生菌検査や水質管理には、植物に関する知見はもちろん、工学的な知見も必要となるのです。そのため、水質をリアルタイムに見る仕組みは技術的難易度が高く確立されておらず、見える化も進んでいないと認識しています。

 

コトチャレンジに参加したことで、自分たちが考えていた仮説検証が一気に進みました。実際に静岡にある企業が運営している植物工場や、大阪にある大学が運営している植物工場で、工場での生育方法や課題・悩みを調査しました。また、養殖業関連の会社からは、中国養殖業の現状と課題をヒアリングすることができました。

 

植物工場では、養分を含んだ水を使っていて、その水を送る装置を定期的に清掃しないといけず、そのランニングコストが高くなってしまっている問題があることを知りました。また、元々植物工場での利用を想定していましたが、ヒアリングの結果、養殖の現場でも使えそうだと感じました。

 

これらのヒアリングを通じて、改めて水の再利用のニーズを強く感じることができました。

オムロンのコア技術を使って、新しい社会課題への挑戦を

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-今後の展開を教えてください

今回のシステムを実際の現場に適用していきたいと思います。このシステムを導入することで、植物工場では菌を抑制できるので、工場運営のランニングコストの低下に繋がります。

 

また、養殖に関しても、水中の生菌数を確認することで、異常時に浄化システムのチェックが素早く行えます。実際に養殖の現場で、生菌検査まで行っているところは多くないと思うので、今後もそういった計測ニーズを探していきたいです。

編集後記~”社内発イノベーション”のロールモデルとして~

オムロンには自社の強みを生かしながら新領域にチャレンジできる人財育成システムがあり、非常に素晴らしいことだと感じました。

 

社内ベンチャーといえば、スピンアウトして本体と切り離して事業展開するイメージがありますが、今回のU.W.Iのアイデアはどのように活かされるのでしょうか。U.W.Iのメンターに「初めてアイデアを聞いたときの印象」と「今後の展望」について伺いました。

 

「ビジネスアイデアを初めて聞いたとき、水の問題に注目したのは良いと感じました。特に水質をモニタリングして制御する、という着眼点はオムロンらしい。ただ、対象顧客の設定が植物工場に限定しているのがもったいないなと思いました」

 

「今後は彼らが考えたアイデアを、オムロングループとして応用・発展させていきたいと考えています。具体的には、新事業創出センタ事業インキュベーション室として、彼らの生み出した要素技術を別テーマで応用できないかと考えています」

 

チームとして独立するだけが社内発イノベーションではありません。U.W.Iのように、生み出したアイデアが社内で活用され、社会に対して影響を与える存在になることもできるのです。

 

これからもオムロンの中からイノベーションを生み出そうとする人財は輩出されるでしょう。U.W.Iがロールモデルとなり、他の会社の社内発イノベーションの起爆剤にもなってほしいと思います。今後の動向に期待しましょう。(聞き手:株式会社アントレプレナーファクトリー・菅野 雄太)

株式会社アントレプレナーファクトリー

Yuta Sugano

立命館大学経営学部卒業。12年神戸大学大学院経営学研究科入学、14年アントレプレナーファクトリー入社。

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