> > > 「Startup Science」著者、田所雅之氏が語る『Jカーブで急成長する会社と伸びない会社の差』
起業tvスペシャル動画

起業tvスペシャル動画

「Startup Science」著者、田所雅之氏が語る『Jカーブで急成長する会社と伸びない会社の差』

今回のインタビューは、『Startup Science』をお書きになった田所雅之氏にお話を伺いました。最終回の第4弾は「Jカーブを経て伸びる会社、伸びない会社の違い」「Startup Scienceの今後」です。

(聞き手:アントレプレナーファクトリー代表 嶋内 秀之)

Startup Science 2017拡大版(1750ページ)を読んでみる

 Jカーブを掘りきらないと、その後の急成長できなくなる

-「Jカーブ」について教えていただけますか?

 

一般的なビジネスの場合、なんらかの投資をしたら当然売上があがります。スタートアップは、プロダクトマーケットするまで、売上がしっかりあがるまでは、ひたすらキャッシュが下がり続けるのです。

 

この瞬間、プロダクトマーケットして、僕の言葉でいうと、ユニットエコノミクス(単体のエコノミクス)、カスタマー1人獲得コストに対してライフタイムバリューがあがる状態のことですが、その状態になると、顧客を獲得したら利益があがっていくわけです。そのカーブがJの字のようになることから、Jカーブと呼んでいます。

 

このJカーブをしっかり掘らないと、成長の角度があがりません。そのためにスタートアップは資金調達が必要なのです。ここをちょっとしか掘らないと、上がる角度が緩やかになってしまいます。

 

例えばメルカリの事例だと、2013年に創業し、何十億というお金を使ってきました。なぜそんなにお金を使うのが正当化されたかというと、まさにネットワーク効果やスケールメリットを期待されたからです。

 

メルカリのようなビジネスは買う人が増えたら、売る人も増えるという世界です。彼らはどんどん売る人を増やし、今すごく伸びています。キャッシュを使っているタイミングで、顧客を集めたり、UXをよくすることで、プロダクトを改善した結果、グッと事業を伸ばしたということです。

 

僕もVCをやっているので、よく聞かれます。「お金をどうやって使いますか」と。コストの正当化ですが、お金を使い切る前に、スケールできそうなところに投資をしていることが重要です。

 

もしかしてネットワーク効果かもしれないし、それがプロダクトの優位性かもしれません。そういった言語化と、戦略が必要になってくると思います。

 

プロダクトマーケットフィットを達成し、ユニットエコノミクスが実現できるかどうか

-Jカーブを掘った後、そこから上がる会社と、なかなか浮上できない会社の違いはどこにあるのでしょうか?

 

一つ大きな問題として、プロダクトマーケットフィットを達成できるかどうか、だと思います。あとはプロダクトマーケットフィットを達成した後でも、ユニットエコノミクス、顧客1人獲得に対して、どれだけライフタイムバリューが上がるかというところがすごく大事です。

 

プロダクトマーケットフィットした瞬間というのは、顧客獲得コストは下がるものの、まだライフタイムバリューが低かったりします。この段階で、どんどん顧客を集めてしまうと、バケツに穴が開いているのに、水を流してる状況です。

 

こういうふうになると、お金を突っ込めば突っ込むほど、顧客を獲得すればするほど、損するわけです。これは本当に会社が死んでしまう理由になります。

 

シリコンバレーでも、数十億のお金を集めたものの、駄目になってしまう企業が多いのは、まさにこのユニットエコノミクスを達成せずに、どんどんビジネスだけを拡大してしまうからです。大事なのは、売上のトップラインを上げるよりも、単体のユニットエコノミクスを達成した後に、スケールするということです。

 

数十億集めて駄目になった事例から考える、ユニットエコノミクスの重要性

ーユニットエコノミクスについて、もう少し教えていただけますか?

 

先ほどの、シリコンバレーで数十億集めて駄目になった事例を話しました。オンデマンドサービスのWashioというものがあって、彼らは60億ぐらい集めました。60億あると、日本だと上場できそうな感じですが、彼らは投資家からのプレッシャーがあって、全米に展開しろ、と言われていました。

 

サンフランシスコで事業を始めましたが、サンフランシスコのユニットエコノミクスを達成する前、サンフランシスコの拠点で毎月5000万円ぐらいの赤が出ていました。でも、彼らは一つの都市のユニットエコノミクスを達成する前に、全米の6都市に展開しました。つまり6都市に展開した瞬間に、月3億円キャッシュが出てしまいます。

 

60億のお金があるので、3億ずつ使えば、20カ月でなくなります。でも彼らはそういうことを分からず、投資家のプレッシャーもあり、売上しか見ていなかったのです。彼らがもし、ちゃんとユニットエコノミクスを達成して、全米に展開していたら、もしかしたらユニコーンになっているかもしれないですね。

『Startup Science』の今後

-『Startup Science』は、今後どのような活動をされていくのでしょうか?

 

9月に2200ページ出します(笑)。資金調達の部分と投資家へのピッチの部分です。どの段階で、どういう感じで、どういう資料を作れば、投資家に刺さるのかをまとめています。

 

僕はベンチャーキャピタリストもやっているので、あらゆるステージのスタートアップのピッチを見てきて、各ステージにおける適切な型があると感じています。成功する型はないと思いますが、失敗しない型は紹介できると思います。一方で、9月25日には書籍化もするので、ぜひお願いします。

 

インタビュアー後記

 

私も地方で生まれ、起業したいなと思いながら、何から勉強していいか分からずに、とりあえず経営学部に進学しました。それでもよく分からないので金融会社に入り、それからベンチャーキャピタル会社で勤務し、大学院に通いました。

 

その後実際に会社をやってみても、「会社をやるとはどういうことなのか」、まだまだ分からないことがたくさんあるな、というのが正直なところです。

 

 

世界中のいろいろな事例に詳しく、投資も起業もされている方が、こんなボリュームのものを残されて、とてもいいなと思いました。起業TVでも、いろんな形で田所さんのアイデアや知見のアウトプットを発信できればと思っています。

改めてStartup Science 2017拡大版(1750ページ)を読んでみる

株式会社アントレプレナーファクトリー

Yuta Sugano

立命館大学経営学部卒業。12年神戸大学大学院経営学研究科入学、14年アントレプレナーファクトリー入社。

このオーサーに問い合わせする

お問合せ

タイアップ・広告・取材依頼について

NEWS
INTERVIEW
COLLEGE
新着記事
月間閲覧数ランキング
  • すべてのビジネスパーソンに、アントレプレナーシップを。株式会社アントレプレナーファクトリー
  • enfactv