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『経営はボケとつっこみの組み合わせ』「Startup Science」著者が語るスタートアップ論

今回のインタビューは、『Startup Science』をお書きになった田所雅之氏にお話を伺いました。第3弾は「顧客開発の重要性」「良いファウンダー、良い共同創業者の条件」です。

(聞き手:アントレプレナーファクトリー代表 嶋内 秀之)

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スタートアップには「顧客の課題を解決しようという文化」が必要

-顧客開発の重要性、もしくは顧客開発で見ておくべきポイントについて教えていただけますか?

 

僕は、顧客開発以外、スタートアップが競合優位性を発揮できないと思っています。スタートアップが、なぜリソースのある大企業に勝つかというと、プロダクトを作る人と、顧客を話す人が一緒だからです。顧客の思いが自分に伝わり、それがすぐプロダクトに反映され、そしてすごいスピードで改善されていくからです。

 

例えばAirbnb。Airbnbは3人で始めましたが、Joe GebbiaもBrianもそうですけど、彼はデザイン担当で、Brianはビジネス全体を設計しましたが、まさにお客さんのところに自分が話に行き、それをベースにして全てプロダクトを改善していきました。

 

日本のケースですと、DeNAの南場さんです。DeNAの一番最初のサービスがビッダーズですが、お客さんからの厳しい叱咤、常軌を逸したクレームは、自分が電話をとり、顧客のクレームに対して返したということを著書で説明しています。

 

トップがそういうことをすると、当然プロダクトにも反映され、カルチャーとしても定着します。とことん顧客の課題を解決しようという文化になるので、スケールした後でも、積極的に顧客の課題を発見するような企業文化になります。

 

それが、Airbnbにしろ、DeNAにしろ、大きくスケールしたスタートアップの根本にあるのではないかと思います。

 

解決したい問題に対して自分が100%当事者であること

-良いファウンダーの条件をお伺いできますか?

 

僕の造語ですが、「Founder Issue Fit」というのがあります。スタートアップというのは、四面楚歌の状況で、まさに竹槍で戦うようなもので、本当に辛いです。そこで竹槍が折れて、ぼろぼろにされても、またやろうと思うのは、自分自身の課題を解決しようとするからです。

 

“自分ごと”として捉えているので、何時間かかってでもやろうと思います。AirbnbのBrian CheskyとJoe Gebbiaの話ですが、彼らは本当に貧乏なデザイナーで、サンフランシスコに移住したとき、銀行口座に10万しかありませんでした。

 

でも月末までに15万払う必要があった。それを解決するために、広めの部屋を借りていたことから、Airbnbというサービスを作りました。まさに自分の痛みを解決するために、サービスを始めたわけです。

 

やはりファウンダーの前提条件として、その問題に対して自分が100%当事者であるわけですが、痛みに対する強い共感性が大前提になると思います。

 

あとは技術的なところでいうと、シリコンバレーでもよく言われるのが、“ハッカー””ハスラー””ヒップスター”です。当然メンタル的なところ、マインドセット的なことも大事ですが、そこだけではスタートアップは成り立ちません。

 

「ハッカー」というのは、今までのやり方に満足せず、ハックして、より良く改善するハッカーのことです。ここでいうと、CTOやエンジニアの役目になりますが、現状のプロセスに満足しない人です。

 

「ハスラー」というのは、どんどん顧客に行って、顧客開発のできる人間です。「ヒップスター」はデザイナーのことですが、今の2017年というのは、良いプロダクトだけでは駄目です。

 

僕がよく言うのは、“コンテンツキング”と”UXクイーン”です。要は、コンテンツが良くても、UXが悪ければ使ってもらえません。

 

ファウンダーの要素としては、先ほどのハッカー的な要素である高い技術力、顧客に話に行って、顧客の潜在的な課題を見つけて言語化できる力、聞く力。そしてヒップスター的なところ、デザインです。顧客が使っていて、さくさく気持ちいいと感じるところですね。

 

Airbnbが2009年に創業していたときに、彼らは「われわれは、Airbnbを3クリックでブッキングするようにする」と言いました。まだウェブ上でしかUIはなくて、小さい状況でしたが、そこにこだわり続けたと言ってました。そういう三つの要素、それぞれの持つ役目としては大事かなと思います。

 経営は「ボケとつっこみの組み合わせ」

-共同創業者はなぜ必要なのでしょうか?

 

スーパーマンが一人いたらいいのですが、なかなか少ないです。エンジニアなどは特にそうですが、お客さんと話すのが苦手だったりします。あるいは、お客さんと話すのは得意でも、デザイン感覚がない人もいますよね。

 

あと、すごく伸びるスタートアップというのは、ボケとつっこみの組み合わせが大切です。“ボケ”というのは、「こんなことやりたい」と大風呂敷を広げるビジョナリーのことです。

 

しかし、ビジョナリーだけでは駄目で、そこに“つっこみ”、現実的な戦略・戦術をアクションレベルで落とし込める人が必要です。ここが成功する共同創業者の前提条件かと思います。

 

最終章のテーマは「Jカーブを経て伸びる会社、伸びない会社の違い」です

株式会社アントレプレナーファクトリー

Yuta Sugano

立命館大学経営学部卒業。12年神戸大学大学院経営学研究科入学、14年アントレプレナーファクトリー入社。

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