理科の授業で一度は聞いたことがある「ミドリムシ」。
この微生物をビジネスに活用している企業をご存知でしょうか?
今回はユーグレナ(和名:ミドリムシ)を生産・加工利用し、食料・エネルギー・環境関連事業を展開する株式会社ユーグレナについてご紹介します。

始まりはバングラデシュの貧困との出会い

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1998年、代表取締役の出雲充氏が大学在学中に訪れたバングラデシュで本当の貧困を目の当たりにし、世界に確実に存在する貧困と栄養事情に対する解決への思いが根幹にあります。2002年、大学卒業後に東京三菱銀行に入行するも、2005年8月に出雲氏含む3名で株式会社ユーグレナを設立。同年12月、提携企業とともに世界初のミドリムシの屋外大量培養に成功します。
その後、食品・化粧品生産、研究開発事業などを発展させ2012年上場しました。2015年1月には経済産業省「第1回日本ベンチャー大賞」にて「内閣総理大臣賞(日本ベンチャー大賞)」を受賞し、さらに中国に食品市場を創出することを目標に子会社も設立しています。

未来食材「ミドリムシ」を使った健康食品を提供

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ミドリムシを使った健康食品・食品を「石垣産ユーグレナ」ブランドとして販売しています。豊富な栄養素を持つと言われるユーグレナを使用し、「緑汁」「飲むユーグレナ」、「カンパン」や「バジルペースト」などのラインナップを揃えています。
化粧品の生産販売も行っており、ユーグレナに含まれる「リジューナ」とよばれる美容成分を含んだエイジングケアシリーズも展開しています。一方、研究戦略も平行しており、ミドリムシの二酸化炭素固定化・バイオ燃料への応用研究を進めているようです。

ミドリムシの力を引き出す独自の研究開発・発展性

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ユーグレナ社が注目している「ミドリムシ」は、顕微鏡で見るようなとても小さい生き物ですが、動物と植物の両方の性質を備えていて、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、59種類もの栄養素を備えています。人間が生きていくために必要な栄養素の大半をこのミドリムシは含んでいることになります。
このミドリムシを活用し、緑汁、お米、クッキー、塩、乾パンなどの健康食品や、クレンジング、洗顔、化粧水などの化粧品も販売しています。
原材料そのものを培養生産し、ミドリムシに商品としての付加価値を乗せて消費者へ提供しています。この大量培養が難しく、多くの研究者が諦めていたところ、研究者一人一人に話を聞き、他の雑菌が繁殖しにくい環境を作ることで実現可能にしたところに同社の強みがあります。
実際、ミドリムシの生産・応用という点において国内では競合も少なく、今後の発展性も期待できます。もちろん、ミドリムシそのものの価値・有用性、認知度が上がるにつれ、競争優位性を持ったままビジネスを展開できると想定されます。
ミドリムシなどの藻類系の技術開発や応用性については比較的近年始まったばかりであり、今後の研究開発の発展性は無限の可能性を秘めているのです。

まとめ

食糧問題やエネルギー問題に一石を投じる「ミドリムシ」の力。2014年6月には「いすゞ自動車と共同で次世代バイオディーゼルの実用化を目指す」という旨の発表があり、健康に関しても2015年2月に「ユーグレナの継続摂取によりインフルエンザ症状の緩和を示唆する研究結果」の発表もありました。
徹底して過去の失敗を収集し、研究開発に活かした点は起業家・起業志望の方々にとっても参考なるのではないでしょうか。成功も失敗も、先駆者に聞くのが一番の方法だと思います。
ユーグレナの株価も2014年10月以降はおおむね右肩上がりで上昇中です。売上高も2012年の決算時に比べ、2015年の決算は約3倍になる予定です。今後の新たな展開に注目しましょう。
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