人工知能が人間の職業を変える

スポーツ審判員、パラリーガル(弁護士助手)、融資担当者、苦情処理担当者、一見、これらの職業は何の関連性もないように見えます。しかしこれらの職業には共通することがあります。
オックスフォード大学の論文で、“あと10-20年後になくなる職業リスト”という内容のものが公開されています。その対象となる職業が前記したものです。この他にも、自動車保険鑑定人、測量技術者、建設機器のオペレーターなどがリストに記載されています。
では、どのような基準でこれらの職業が、近い将来なくなると定義されているのでしょうか?リストに記載されている職業を見ると、昔からある仕事ばかりに見えますが、コンピューターを使った映像処理・加工など、比較的新しい仕事も対象となっています。
オックスフォード大学の論文では、AI(人工知能)を駆使することで人間が関わらず業務を遂行できるものという観点で、近い将来なくなる職業をふるいにかけます。そしてそれらの職業の中から、“正確性を要求される”、“システム化することで計算・算出できる”“単純作業・マニュアル化しやすい“ものを抽出します。
そのような選別方法で“あと10-20年後になくなる職業リスト”が作製されました。しかしこのリストに新しく加わりそうな職業があります
それはシェフ・料理人です。その理由は、Moley Robotics社が全自動調理ロボットを発表したからです。
HN
出典:http://www.moley.com/

5本の指を持つロボットアームがプロの味を再現

コンピューターサイエンスの技術者であったMark Oleynik氏は、自宅でプロのシェフが作るような料理を簡単に食べられないかと考えます。しかも高度なスキルを要さず、誰でも自宅で簡単にプロ並みの料理を作るにはどうすれば良いかと悩みます。
Oleynik氏はAIを使ってロボットが自動で料理をすることで、高い品質の料理を家庭でも手軽に食べられるようにすることを思いつきます。2015年、Oleynik氏はMoley Robotics社をロンドンに立ち上げます。
試行錯語を重ねて、Oleynik氏は2本のロボットアームで調理を行う”Moley Robotics Kitchen” を開発します。その名前の通り、この製品はシンク・レンジ・オーブンなどのキッチンにある器具がセットになっているものです。
ロボットアームの特徴は人間と同じように5本の指があり、人間のシェフと同じように5本の指を駆使して鍋を持ち上げたり、ヘラで鍋の中身をかきまぜたり、人間の動作と同じような動きで調理をしていきます。
RFG
出典:gigazine.net

人工知能を駆使して、広がるレシピと可能性

では、どのような仕組みでロボットアームは、プロさながらの料理を行っているのでしょうか? “Moley Robotics Kitchen”には複数のモーションキャプチャ用のカメラが設置されています。実際のシェフが料理をする過程を様々な角度から全て録画しています。
この録画されたデータを“Moley Robotics Kitchen”にダウンロードすることにより、ロボットアームは料理人の作業を忠実に再現します。
しかも、この製品は実際のシェフの作業を5回分録画することにより、その中からそれぞれのキャプチャ映像を選別して、一番効率的に料理が出来るように設計されています。シェフの作業を再現する仕組みなので、キッチンの器具がワンセットになっている必要があるのでした。
現在、“Moley Robotics Kitchen”は、著名なシェフ、ティム・アンダーソン氏が調理した ”カニのビスク“のみを再現できますが、今後、レシピを増やして、2017年には一般向けに販売を開始する予定です。販売価格も1万ポンド(約150万円)と、比較的リーズナブル価格を目指しています。
上質な料理を、労力を掛けずに家庭で楽しめることを考えると、この価格設定ならば購入希望者も相当数見込めるのではないでしょうか。更なる技術的改良をした“Moley Robotics Kitchen”に大きな期待がかかります。

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