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今さら聞けない『21世紀の資本』とは?

「21世紀の資本」とは?

“ビジネス書”と言うと、以前まではハウツー本やマーケティングや営業など、それぞれの分野に特化したものが主流でしたが、今では専門的な経済学の著書さえ必読のビジネス本として日本だけでなく世界的にベストセラーになっています。

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出典:ameblo.jp

今回ご紹介する「21世紀の資本」(トマ・ピケティ著 みすず書房)もそんな経済書の一つ。日本でも国会の討論に引用され、話題になりました。原書はフランス語で2013年に出版され、2014年に出版された英語版はAmazon.comの売上総合1位に、さらにたった半年間で50万部のベストセラーになっています。

ベストセラーと言っても経済学は難解でなかなか取っ付きにくい・・・、と感じられる方も多いのではないでしょうか?今回はそんな「21世紀の資本」をダイジェスト版でご紹介します。

トマ・ピケティ氏とは?

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出典:uplandseconyear12ib.weebly.com

トマ・ピケティ氏は、1971年生まれのフランスを代表する経済学者です。経済的不平等の専門家で、パリ経済学校の設立にも関わられ、現在は同校の教授として活躍しています。

2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞するなど華々しい経歴を持つピケティ氏は、パリ北部のクリシーの出身。両親は裕福な家庭の出身でしたが、パリ五月革命に関わり、労働運動の闘士として活動していました。幼い頃から成績優秀で、フランスの名門校・高等師範学校を卒業しています。

『21世紀の資本』とは?

「21世紀の資本」は、膨大なデータからの分析や歴史や文化からをも考察した論点が素晴らしいと指摘されています。明確な裏づけから導き出されたピケティ氏の主張は、実は非常にシンプルなのです。

 

①世界中で所得と富の分配の不平等化が進みつつある

共産主義的、と批判されることもあるピケティ氏ですが、競争や市場を否定しているわけではありません。本書の中で問題だとされているのは、極端な格差です。

格差が大きすぎると、社会はその流動性を失い、経済の成長を阻害する要因になってしまいます。さらに、ピケティ氏はその格差が民主主義をも脅かすと指摘しています。例えば、たくさんおカネを持っている=政治的な発言力や社会への影響力が増すということから、社会全体に極端な不公平さを生み出してしまう可能性もあります。大富豪が政治家として極端な発言を繰り返す・・・、どこかで見たことがある光景ではないでしょうか。

 

②資本収益率(r)>経済成長率(g

これまでにも格差は問題とされ、幾度となく焦点が当てられてきました。一般的には低賃金者の待遇改善こそが社会全体の格差を縮めると考えられていましたが、ピケティ氏はその切り口を株、不動産や預金といった“資本”に向けられました。

ピケティ氏の分析によると、長期的に見ても株や不動産から生まれた資産運用によって得られた利益率(r)は経済成長率(g)をずっと上回り続けていたことが明らかになりました。このことから分かるのは、経済や社会が成長する一方で資本家の取り分もますます増加し蓄積されてきたということです。その例外は、世襲型を初めとする資本がリセットされた2つの世界大戦とそれに挟まれた期間だけだったのです。

 

③グローバル資産課税または累進課税の促進

ピケティ氏はこうした格差のバランスを正すために、累進課税の富裕税を導入することを提案されています。しかし、社会のグローバル化が進む一方で、資本家もタックスヘイブンといった抜け道を探っておりその規制は追いついていない状況です。

世界的な規制を設けることは、簡単なことではありません。しかし、各国同士が税制度を改善しお金の流れの透明化を目指して協力し合っていくことこそが大切なのだと説かれています。

ピケティ氏が警告を出す日本経済の今後

現代の日本は、アメリカやヨーロッパといった他の先進国と同じく人口の減少という問題に直面しています。特に少子化が顕著な日本は、他国以上に今まで蓄積されてきた富の相続の影響力が社会的にますます大きくなっていくだろうとピケティ氏は予言しています。

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出典:3dprint.com

実際、日々の暮らしの中ではわたしたちが社会的な格差を意識する機会はあまり多くはありません。しかし、実際には過去に蓄積された富と相続された資産の増加率は、日本の方がアメリカよりもずっと多いのです。これらのしわ寄せを蒙るのはいつの時代も若者です。真剣に若者に対する経済不平等の政策や少子化問題に取り組むことが、日本での格差の拡大を防ぐ方法でもあるのです。

格差なんてわたし達には関係ない、そんな多くの読者の意識を変える目的で書かれたのが「21世紀の資本」です。ピケティ氏は一人ひとりが経済や政治に目を向け、社会全体の問題を自分の問題と捉えられる社会の実現を目指しているのかもしれません。