ビジネスモデルキャンバスはスタートアップ向けではない?


ビジネスモデルの概観をつかむために描くものといえば?

それは「ビジネスモデルキャンバス」です。

ビジネスモデルキャンバスは9つの観点からそのビジネスモデルの構造を明らかにしてくれます。
また、一目でわかるので、共有しやすいという利点も持っています。

しかしながら、ビジネスモデルキャンバスはスタートアップにはあまり合っていない、と言われています。

不確実性の高いスタートアップにとっては必ずしもフォーカスすべきでない要素や、意味的に重なり合ってしまう要素が存在しているようです。

では、スタートアップにむいたキャンバス・フレームワークはないのでしょうか?

それが「リーンキャンバス」です。

リーンキャンバスとは?


リーンキャンバスとは、ビジネスモデルキャンバスと同様、ビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワークです。1枚のシートに描きます。

ビジネスモデルキャンバスとは要素の項目が異なります。半分くらいが全く異なる項目ですね。

各要素の説明に入る前に、リーンキャンバスのメリットについて述べておきます。

1)高速性

リーンキャンバスは1シートです。
つまり、短時間で描けます。30分もあれば描けてしまうでしょう。

短時間で描けるということはつまり、修正も短時間でできるということです。
高速PDCAなどを反映しやすいものですね。

2)簡素性

リーンキャンバスは1シートです。
つまり、簡潔な内容で描かれています。

簡潔であるということは、本質がわかりやすいということでもあり、的確なフィードバックを得ることにもつながります。

3)携帯性

何度も言いますが、リーンキャンバスは1シートです。
よって、持ち運びや共有が容易にできます。どこかに貼っておくこともできるでしょう。

チーム内での共有、関係者への提案、フィードバックの獲得などに効果的な特性です。


リーンキャンバスの9項目

① 課題(インサイト)

顧客がどんな課題を抱えているのかを考えます。
この時の注意点は、その課題が「真の課題」なのか、ということです。

何か1つ課題を思いついたら、その課題をもたらす原因がないか探してみましょう。

② 顧客セグメント

ターゲットになる顧客のセグメントです。
どんな人がターゲットなのか、明確にイメージできるようにしておきましょう。

③ 独自の価値提案

自社の提案が競合に対してどのような独自性があるのかを示します。
なるべくシンプルで明快なメッセージの形をとるようにしましょう。
最近ではUX(ユーザーエクスペリエンス)を高めることで競合に差をつけている企業も多いです。

④ ソリューション

課題を解決するために自社が提案するソリューションです。
「ビジネスとして何をするのか」に最も近い項目となります。

⑤ チャネル

顧客に対してどのような経路でアプローチしていくのかを示します。
複数のチャネルを想定しておきたいですね。

⑥ 収益の流れ

どのような収益モデルなのかや、顧客生涯価値などを考えておきます。

⑦ コスト構造

ビジネスにかかるコストを書き出します。

⑧ 主要指標

何をKPIとして設定するのか決めておきましょう。

⑨ 圧倒的な優位性

大手や新規の競合が簡単に参入できないような障壁として何があるか認識しておきます。

ちなみに、リーンキャンバスには推奨されている要素の描き順があります。
その順番は上記に並べた通り、「課題」に始まり、「圧倒的な優位性」で締める描きです。
どうぞあなたのプランで試してみてください。

リーンキャンバスとビジネスモデルキャンバス、それぞれの役割

冒頭で述べた通り、ビジネスモデルキャンバスはスタートアップには向いておらず、リーンキャンバスこそがスタートアップのキャンバスです。

ここでリーンキャンバスとビジネスモデルキャンバスの役割をもう少し明確にしておきましょう。

リーンキャンバスはスタートアップ向けというだけあって、課題やソリューション、価値提案をとても重視しています。
これは事業を創っていくうえで欠かせない要素です。

一方、ビジネスモデルキャンバスは顧客との関係の形やパートナー、リソースなどをより厳密に定義しようとしています。
これらは事業の継続、発展には大切な要素でしょう。

したがって、リーンキャンバスは新たなビジネスを創り上げるとき、ビジネスモデルキャンバスは利益構造を持った企業が、既にある企業をメンテナンスするときや、そこから新たなビジネスを発展させたいときに使えると思います。

リーンキャンバスでリスクを見極めよう


出典:free-photos.gatag
数あるビジネス・フレームワークの中でも、キャンバス系のフレームワークは効果が高く、汎用的なものです。
もしあなたが新たなビジネスを立ち上げたいのであれば、リーンキャンバスの使い方をマスターしてみましょう。

きっと、あなたの行動の助けになるはずです。

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