「インセンティブ」という言葉を、ビジネスシーンで耳にしたことがあると思います。

おそらく多くの方は金銭的なイメージをしているかもしれません。

しかし実際のところ、インセンティブには金銭的なものだけでなく、いくつかの種類があり、それぞれの場合に応じた使い方があるのです。

そこで今回は、インセンティブの種類やモチベーションとの関連性についてまとめてみました。

インセンティブとは?


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さて、そもそもインセンティブ(incentive)とは、
①目標を達成するための刺激、誘因。
②企業が販売目標を達成した代理店や,営業ノルマを達成した社員などに支給する報奨金。
という意味があります。(Weblio辞書より)

インセンティブがある代表的な職業は営業職であり、固定給+インセンティブ、いわゆる成果型報酬と呼ばれるものです。
この仕組みのもとで働いている人は自分の給料を上げるためにやる気になり、それに呼応して会社の売り上げも上がるという分かりやすいWinWinなカタチとなるのです。

しかしこの仕組みは、営業職などの努力が数値化できるような仕事にしか適応せず、デスクワークなどの仕事では努力が目に見えないため不適当でした。
インセンティブとは”働いた分に応じた成果報酬”という意味がありますが、その成果報酬はお金だけなのでしょうか?

インセンティブの5つの種類


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人をやる気にさせるための1つの効果剤であるインセンティブ。その効果剤はお金だけではありません。
インセンティブには5つの種類があると言われています。

①物質的インセンティブ

前述したものがこれにあたります。いわゆる成果報酬型金です。
結果が出れば出るほど自分の給料が上がるためやる気に直結しやすく、営業部や不動産ではこのインセンティブを導入しているケースが多いですね。

またプロスポーツ選手の多くは、その年の活躍度合いで報酬が変わる出来高制を導入しています。

物質的インセンティブはお金であることが多いですが、中には社長賞やMVPなどの称号の付与なども存在します。

②評価的インセンティブ

その名の通り、従業員を評価することでやる気を駆り立てたり持続させたりしようとするインセンティブです。
ここでは心理的評価と地位的評価があり、簡易的には、ほめたり期待するといった心理的なものを、長期的には役職を与えるなどの方法があります。
上司や社長など目上の人が行うことが多いです。

③人的インセンティブ

上司などの人間性によって従業員のやる気を持続させるものです。
例えば、「よく指示をしてくれたりアドバイスをくれたりした上司のために、このプロジェクトを成功させよう」というものがこのインセンティブにあたります。

④理念的インセンティブ

理念的インセンティブとは、企業の理念によって従業員のモチベーションを持続させようとするものです。
共感からモチベーションに働きかけることから、NPO法人やボランティア団体などの社会貢献を行う組織に適当な効果をもたらします。

AppleやGoogleなど独自の理念がある企業は、このような理念的インセンティブが無意識的に発揮されていることがあります。

⑤自己実現的インセンティブ

仕事を通して社員が望んでいることが実現していくことで、やる気を持続させることです社員にやりがいのある仕事を与えたり、夢や希望を与えることでやる気が持続します。

最近はこのタイプのインセンティブを与えるインターンをする会社も増えてきていますね。
比較的若い社員に有効なインセンティブです。

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これら5つのインセンティブが代表的なものです。

もちろん種類や意味の理解を深めたと言っても、従業員にやる気を出させるためには、これらを場面ごとで効果的に活用する必要があります。

インセンティブシステムとは?

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インセンティブシステムとは、企業の中で成果報奨金や休暇、表彰、昇進、評価などを使って従業員のモチベーションを上げ、そして会社の実績につなげようとする制度のことです。
このインセンティブシステムは、主に社員のモチベーションを確保したい企業が導入する制度です。

大半は金銭、成果型報酬であることが多いですが、場合によっては休暇や評価が適当な時もあります。
ただし大きな企業になればなるほど、事業や部門間の評価の統一が難しく、最適な報酬を設定することができない場合がみられます。

重要なことは、公正な評価基準を作ることです。

営業職の華やかな部門の人だけでなく、開発部門などのバックヤードで企業を支えている人も平等に評価しなければ、インセンティブが逆効果となってしまいます。

その場合は賞与の種類を増やしたり、全部門に共通するような(社内啓発や提案など)項目を評価軸にしたりすることで対策をしましょう。

果たしてインセンティブはモチベーションに繋がっているのか?

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ここまでインセンティブの種類とその仕組みについて紹介してきましたが、果たしてインセンティブとモチベーションは本当に関係があるのでしょうか。

前述したとおり営業部門に所属している人は、成果型報酬制度があれば自分のモチベーションに対する動機付けをすることができます

しかし、逆に成果が出ない人は努力しても結果が出ず、他人の活躍を目の当たりにすることによってモチベーションが下がることもあります。

またインセンティブシステムがなくてもやる気のある社員もいます。

若い社員に多い傾向のあるこのやる気の正体は、“成長”です。
自分のやる気の動機付けが外部からではなく、内部、つまり自分でやる気を出せることができる人です。

このようにインセンティブシステムはモチベーションに直結する場合とそうでない場合がありますし、維持するどころかモチベーションが低下する人も存在します。
企業はインセンティブシステムを導入する前に、導入できるような環境作りが必要と言えるでしょう。

人をやる気にさせるには


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いかがでしょうか?
インセンティブには様々な種類と効果、そして色々な場面で適切なものを選ばなければいけないということがわかりました。

やる気を持って入社した新人社員のモチベーションが下がり、仕事の効率が悪くなるのは当人にとっても会社にとっても不利益です。

たくさんの従業員を抱える会社ほど難しくなるモチベーション管理。そしてその対策としてのインセンティブシステム。
単に成果報酬を制度化したり、評価したりするだけではなく、組み合わせることで、自社特有のインセンティブに昇華させると企業ブランドの一つとして定着するかもしれません。

TEDでプレゼンをして反響を呼んだアメリカのキャリアアナリストで作家のダニエル・ピンク氏は、「インセンティブは廃止すべき」ということを主張しています。
『人は自分の人生は自分で決めたいと思っており、成長意志と目的意識を与えてあげるとやる気につながる』と言うのです。

インセンティブは単純で明確なものですが、それが人のやる気、モチベーションに作用するかには100%正解とは言い切れません。もちろん100%不正解でもありません。

企業や経営者はこれらを踏まえて、社員が楽しくやる気に満ちて働けるような環境作りをすることによって、自社の成長を促進することができるでしょう。
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