"バッファ"、使っていますか?

「バッファを持って進めてくれ」
仕事中に、上司や取引先からこう言われたことはありませんか?
日頃から“バッファ”を意識している方なら、さっそく言われた通りに物事を進めようとすることでしょう。
バッファ!?
編集部作成
しかし“バッファ”の意味を知らない方や、聞いたことはあるけれど正確な意味は分からない…
という方には、何をすればよいのか想像がつかないかもしれません。
今回は、そんな“バッファ”の意味とビジネスでの活かし方をご紹介します。

“バッファ”の意味

“バッファ(buffer)”とは、もともと「緩衝材」を意味する言葉です。
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出典:www.photo-ac.com
ネットでショッピングした荷物が家に届いた時、箱を開けるとまずお目にかかる、大量の発泡スチロールや丸めた新聞紙、あれが“バッファ”です。
転じて、IT業界では、大量のデータを無理なく扱うために設けられる、データの一時的な保管場所やその役割を意味するものとして使われています。
バッファ
編集部作成
ビジネスにおいて“バッファ”という言葉を使う際には、「もしもの時のための余裕や助っ人」のことを指します。
先に挙げた「バッファを持って進めてくれ」という言葉がけは、「余裕を持って進めてくれ」という意味で使われていたのです。

"バッファ"の使い方

“バッファ”は、物だけでなく、時間や人を指すときにも使うことができます。
実際に“バッファ”がどのように使われるのか、一例をご紹介しましょう。

物を指す“バッファ”

「今日のセミナーで配る資料、バッファはあるのかな?」
資料の数に“余裕”があるかどうか、という意味で“バッファ”と言っています。
 

時間を指す“バッファ”

「今度の納期は、バッファを取って今月末でお願いできないでしょうか?」
本当はもう少し早く納品できそうだが、念のために“余裕”を持たせたい、という意味で“バッファ”と言っています。
 

人を指す“バッファ”

「新人がプロジェクトを立ち上げることになった。君には彼のバッファーを頼みたい」
新人くんの“サポート役”になってほしい、という意味で“バッファー”を用いています。
例文にもある通り、人を指す際には「バッファー」と語尾を伸ばすことがあります。

バッファ管理をうまく行い、仕事を効率的に

ビジネスの場で“バッファ”が意識されることが多いのは、大半がスケジュール管理に関する場面です。
仕事を効率的に進めるためには、スケジュール組みをきちんとしておくことが欠かせません。
その際、大いに役に立つのが“バッファ”という考え方なのです。
では、バッファを意識しないAさんと、意識しているBさん、2人のOLのスケジュールを見てみましょう。
バッファを意識している人と、しない人。違いは、どこにあるのでしょうか?
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出典:www.pakutaso.com
今、朝の10:00です。今から3時間後の13:00に会議が予定されており、彼女たちはそれまでに2つの仕事を片付ける必要があります。2つの仕事は、どちらも1時間で済む予定です。
 

バッファを意識しないAさんの場合

彼女のスケジュールを見てみましょう。
Aすけ
編集部作成
見ての通り、仕事1のすぐ後に仕事2が入っており、途中に打ち合わせや電話が入っても対応できる余裕がありません。
10:00、仕事1に取り掛かります。
10:20、上司から「もし余裕があれば、今から1時間だけ打ち合わせに時間をもらえないか」と声をかけられました。
1時間だけであれば、その後2時間は残るから、2つの仕事にも差し支えないだろうと考えたAさん。
「いいですよ」と答え、上司との打ち合わせに入ります。
11:25、打ち合わせは予定より5分延長して終了しました。急いで仕事を進めなければと席へ戻ったところに、クライアントから問い合わせの電話がかかってきました。
11:40、電話応対が終了しました。その応対にかかった時間は15分。1つ目の仕事の続きに取りかかります。
12:30、仕事1が終わりました。見直しながら進めたこともあり、予定より10分多めにかかってしまいました。
気がつけば、13:00の会議開始まで、残り30分です。
すでに終わっているはずだった仕事2は、まだ手も付けていません…
A最終
編集部作成
ビジネスの場において、Aさんに降りかかったような不測の事態というのは付き物です。ここで、バッファを意識すると何が変わるのか、見てみましょう。
 

バッファを意識するBさんの場合

では、Bさんのスケジュールを見てみましょう。
すけB
編集部作成
赤色で示した時間がバッファになっています。
Bさんは、仕事1と仕事2の間に「休憩」と称して15分のバッファを設けました。
さらに、2つ目の仕事は余裕を持って作業を進めようと思い、仕事2の後に「予備」と称して15分のバッファを設けることにしました。
これで合計30分のバッファが確保されたことになります。
2つの仕事が調子よく片付けば、会議までの30分を使って遅めのランチに出ようという算段です。
10:00、早速、仕事1に取り掛かります。そこへ、上司が1時間の打ち合わせを持ちかけてきました。
Bさんは2つの仕事を終えるまでに2時間かかると見込んでいるため、もし上司との打ち合わせに応じてしまえば、会議までに仕事が終わらない可能性が出てきます。
Bさんは上司に事情を説明し、自分の仕事に取りかかります。
11:05、1つ目の仕事を終えるまでに、予定より5分オーバーしてしまいました。。Bさんはバッファとして15分の「休憩」を設けていたので、時間オーバー分の休憩時間を減らし、10分だけ休んで2つ目の仕事に移ります。
11:50、ちょうど調子が出てきたところへ、Bさんにもクライアントから問い合わせの電話がかかってきました。
その応対に20分を要してしまったものの、「予備」としての15分のバッファに加え、ランチにあてようと考えていた30分も残っているため、Bさんが焦ることはありません。
12:40、バッファを上手に活用し、会議20分前には2つの仕事を終えたBさんは、軽食をとろうと財布を片手にオフィスを後にするのでした。
B最終
編集部作成
このように、ほんの少しだけ余裕を持ったスケジューリングをしておくだけでも、仕事のはかどり具合がうんと変わります。
事前にバッファを組み込んでおけば、無理な仕事を引き受けてしまう事態を防ぐことがでます。
また、万が一ハプニングが起こっても、バッファ分の時間を使って対処することができるのです。
もしもの時にも仕事に支障が出ないよう、保険としての役割を果たしてくれるのがバッファだといえるでしょう。

まとめ

いかがでしたが?特にベンチャーなど、業務量が多い事業体においては、いかに効率よく仕事を進めるかがビジネス成功のカギを握っています。
やるべきことが増えたときこそ、バッファを意識することで、無理なく作業をまっとうすることができるのです。スムーズに仕事を進めるために、ぜひバッファを有効に活用してみてください。

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