野球からサッカーへ。事業を変えたきっかけ

野球からサッカーへ

創業直前のビジネスモデルとしては、野球のソリューションを考えていました。
僕がもともとピッチャーだったのですが、野球選手の投げたボールが「走っている、切れている」というのは、雰囲気でしか判断できませんでした。
「球が走っているというのはどういうことか」に対して、データとして分析をして、投手にフィードバックを返す。
そうすると自分の球に対して「ああ、こういうことなのか」という理解ができて、より再現性のある、質の高い変化球なり速球を投げられるんじゃないかということで開発をしていました。
ただそこから、大きく転換することになりました。
 
大きく変えようと思ったきっかけは、そもそも野球の人口とか分布が限られているということと、それから、そもそもボール1個では、そのボールをチームで1個で使いまわしてしまうと「1個で十分」ということで、なかなかビジネスとして伸ばしていくのが難しいな、と感じたからです。
ソフトウェア側で何とかできる部分もあったのかもしれないのですが、そのときに大きくピボットすることを決めて、サッカーという市場に入ることにしました。

フロンティアメイカーズ育成事業を通して

フロンティアメイカーズが全国で10社採用されて、そのうちの1社だったんですが、まず1つは、フロンティアメイカーズに参加した人達が幅広い層で、ものづくりをかなり真剣にやっている人達だったので、そのつながりや彼らの考え方が得られたというのは大きなことでした。
もう1つ海外に行って得られたことは、現地・現場を見て、どういうことが求められていて、何が課題で、僕たちの「Eagle Eye(イーグルアイ)」というソリューションに対してどう感じるのか、欲しいのか欲しくないのか、いくらだったら買うのかという現場の生の声を聞けたというのが大きかったですね。
 
その声というのは大きく2つに分かれるんですが、サッカーというと「いいです」という人。「サッカーは全然興味がなくて、アメリカンフットボールの方が好きなんだ」というような人達です。
もう一方は、「俺もサッカーをやっているけど、これは何に使えるんだ?どうなんだ?いくらなんだ?」という層です。
「サッカーが好き」だと言った人達が気にするところは、「誰のため」「何ができるのか」の2つですね。

評価されたポイント

自分たちであまり意識していなかったところではあるんですけど、そもそもアマチュアに対して低価格なものをたくさん一気に広げようとしている点が、一番評価されているのかなと感じています。
やはりビジネスとしては、BtoBでトップのクラブチームに精度の高いものを1件何千万とかで導入してもらう方が固いですよね。
ですが、前職では量販店で働いていたというのもあって、より一般の人達が広く使えて、たくさんの人が使えば使うほどいいサービスになっていくというものをやりたかったので、それが評価されているというのはとても嬉しいです。

資金調達におけるVC(ベンチャーキャピタル)との付き合い方

資金調達をするときとしないときの付き合い方はやはり違うと思っていて。
「資金調達をしない時期は、資金調達の話はしない」というのが大原則で、「資金調達のときは、きちんとビジネスの話をする」のというのが1つですね。
個人の付き合いではなくて、きちんとお互いそれぞれのポジション・タイトルを持って話をしているということを、すごく意識していました。
 
実際に「じゃあ、お金を入れてください」というのか「自分たちの株を売ります」というのか、色々な考え方があると思います。
僕はどちらかと言うと「自分たちの株を売る、買ってもらう」という意識の元にずっとやっていました。どうしても「お金を出してください」という言い方になりがちなんですけど、そうではないと。
どちらかと言うと「自分たちはこのぐらい想定していて、これだけできます。なので、この価格で株式を買っていただきたいです」ということをプレゼンテーションで説明します。
ちゃんと整合性のある説明ができて、材料とエビデンスが示せて初めて「じゃあ買おうかな」となってもらえると思うので。
誰かが何かを買うときに考えていくプロセスを、1つ1つきちんと相手に理解してもらうことを丁寧に、整合性のある内容で説明するのがいいかなと思います。
 
特に最初のエンジェルラウンドなどでは、「これをやります!」と情熱だけで押しきれる場合もあると思います。
ですが、やはりある程度額が増えたり、相手も当然リスクを背負って買い物するわけなので、当然お金を出している人達に説明がちゃんとつくような説明をこちらで考えて提示し、向こうで承認をもらって、というプロセスまで全部理解して説明することが重要だと思います。

「マクアケ」でクラウドファンディングを実施

僕たちが「makuake」を利用した一番の目的は、「マーケティングのマーケティング」でした。それは、どういった人達が反応してくれて、どういった層の人が購入してくれるのかを知るということです。
その点でいうと、日本の市場はサッカーのトラッキングシステムに対して、まだそれほどリーチができなかったということがあります。
サービスそのものの良し悪しではなくて、僕たちのリーチが足りなかったことと、サッカーにデータを導入するという部分に対して、あまりまだ理解が進んでいない状況です。
 
もう1つは、「チーム決済をしてもらうためには結構時間がかかってしまう」というフィードバックを頂いて。
「2ヶ月間の受付期間の中で、気がついた時には残り1ヶ月しかなかった。それから集まって話をしてお金を出しますと決まった時には、ちょっと厳しかった」と。
結局買えず仕舞いで、終わってから「まだ買えますか?」という連絡が来たりとかもありました。
 
なかなかそういう、BtoBでもBtoCでもない、BtoG(グループ)にものを売るというのは難しいという印象はありました。

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