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起業の決断

起業の決断

「60億円調達した技術系ベンチャーの波乱万丈」セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ阪根信一代表【前編】

今回のインタビューは、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社、代表取締役の阪根信一氏に、「ランドロイド開発の経緯」や「資金調達の苦労」、「調達できる企業とそうでない企業の差」についてお話を伺いました。

世界初の全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」

ランドロイドは、2005年から開発し、世界初の衣類を全自動で折り畳むことができる機械です。11年の歳月を経て、2017年3月に世の中に発表・発売開始する製品です。

 

こちら機械の模型ですが、実物は冷蔵庫ぐらいの大きさです。ランドロイドの中に衣類を投入すると、全自動で畳み、衣類を仕分けて出てきます。

ランドロイド開発の経緯

セブン・ドリーマーズという会社は、世の中にないモノを創り出す技術集団ということをコンピタンスにおいています。取り組むテーマは、「世の中にないモノ」、「人々の生活を豊かにするモノ」、そして最後に「技術的ハードルの高いモノ」、この三つのテーマをクリアするものであれば、分野を問わず挑戦しようという気概で、事業に取り組んでいます。

 

この三つをクリアするものは、あまりなくて、2005年にふと、このようなテーマであればいけるのではないかと思い、そこからリサーチをして進めてきました。

他では実現できていない「衣類の認識技術」

ランドロイドでは、基本的には衣類(柔らかい柔軟物)をロボットアームと画像認識で扱います。技術的に一番難しかったのは、畳むことではなく、何かよくわからない柔軟物を、「これがTシャツである、表向きがこうである、条件が間違っていない」と認識させる技術が最も難しかったです。

 

我々より後に、洗濯物折り畳み機に挑戦している会社や研究所、大学等が世界で4、5団体ほどあります。しかし、ランダムに重なり合った衣類の中から畳んでいく一連の動作を全自動でできるのは、我々の会社しかありません。それぐらい、衣類の認識作業は最大のハードルであり、我々が一番苦労した点です。

資金調達までの苦労

研究開発型の製造業は、ベンチャーの中でも一番お金のかかる業態です。ランドロイドの開発も多額の資金が必要で、しかも我々の場合、三つの全く異なる分野の製品を扱っていて、グローバルに展開するという会社でもあるので、さらに資金が必要です。資金調達は我々のビジョンを達成するために必要不可欠な重要な行動でした。

 

2014年1月から、ある程度の資金を集めないと回らないと感じました。回らないというのは、当時、新製品(ナステントといういびき解消デバイス)の発売も控えていて、ランドロイドの開発も佳境を迎えていたタイミングだったのです。そこで、2014年1月から資金調達を始めました。
尖った技術ですし、初期は、日本のベンチャーキャピタルに評価いただけないのではないかと思い、シリコンバレーに会社を設立しました。開発は日本でやっていたのですが。

 

2014年1月から、現地のベンチャーキャピタル3社を、向こうで回りました。最初にナステントというヘルスケアデバイスの説明をしたら、いきなり高く評価してもらいました。

 

当時10億円の資金調達をしようと思っており、バリュエーション50億ぐらいで認めてもらおうと思っていましたが、向こうから「これ、すごいね。FDAの認可がとれたら、5,000万から1億ドルぐらいはバリュエーションつくよ」と言われたので、「あ、なんだ。ちょろいもんだ」と1社目で思いました。

 

しかし次に「こんな技術もある」と話をした瞬間に、彼らから「もう帰ってくれ」と言われてしまい、2社目、3社目とも同じ反応でした。

 

3社目のときに「これ以上、他の会社を回っても同じことしか言われないよ。なぜなら、シリコンバレーはベンチャーの厳しさも富も一番見てきた街で、歴史が物語っている。一つのピカピカの製品に対して、ピカピカの天才経営者、とんでもない才能を持った幹部社員たちが、一点突破で全身全霊それに打ち込んでも、1パーセントにも満たない会社しか上にあがっていけない。そんな世界の中で、君たちみたいな経験のないやつらが、三つの事業を同時にやって、うまくいくわけがない」と言われました。

 

当然僕は、「何を言ってるんだ」と思いました。「グーグルだって、検索エンジンじゃなくて、ロボットもやってる、AIもやってる。イーロン・マスクだって、ITかと思ったら、電気自動車やロケットをやってるじゃないか」と。しかし、彼らは「それは、一点突破で成功して、その富と人的ネットワークと、その事業を運営できるマネジメント能力が高く評価された後の特例だ。この人ならできるだろうと評価され、他の事業をやることも認められているのであって、まだなんの実績もない、売り上げもあげていない君たちがそんなことできるわけがない」という話でした。

 

「どうしたらいいんだ?」と聞いてみると、「まず二つの事業を売り払ってから戻ってくるか、どうしても三つやりたいなら、ヨーロッパかアジアに行け」と言われました。

 

「彼らなら、もしかしたら複数の事業OKという文化かもしれない。アメリカはあり得ない」と言われたので、ヨーロッパのベンチャーキャピタルに行きました。某家電メーカーのベンチャーキャピタルに行って、ランドロイドの話をしたら、これまた評価がよかったのです。そこは、ヘルスケアもベンチャー投資しているので、「実はこういうのもあるんですよ」とナステントの話をした瞬間に、全く同じ反応でした。「もういい、帰れ」と。

 

仕方がなく日本に戻り、日本のベンチャーキャピタルに話をし始めました。幸いなことに、7割のベンチャーキャピタルの方々は、バラバラな事業があることに違和感は感じつつも、超ネガティブでもなかったのです。

 

ポジティブでもないけれど、まぁ、そういうこともありですね、という話だったので、「やっぱりそうか。日本ではこういうことを認めてもらえるのか」とわかったので、日本を軸に資金調達を始めることにしました。

 

その後、日本で問題となったのはバリュエーションです。当時は確かにベンチャーの資金調達環境はかなり上向きでしたが、大型調達できているのはITベンチャーだけで、我々のような研究開発型、しかも家電もやってるところは対象外でした。

 

某最大手のベンチャーキャピタルの社長から、「いくら欲しいですか」と聞かれたので、「50億のバリュエーションで、10億ぐらい欲しい」と言ったところ、「何を考えているんですか。ちゃんと利益をあげていて、これから成長株のITベンチャーでさえ、バリュエーションはいまだに10億、15億といったところだよ。売り上げもまだあがってないのに、いきなり50億なんてあるわけないよ」と言われました。

 

とはいえ、そこをディスカウントしてしまうと、お金も集まらないし、株式も全部なくなってしまうので、できるだけたくさんのベンチャーキャピタルを回って説得するしかない、と思い半年ぐらい回り続けました。

 

やっと1社、興味を持っていただけたベンチャーキャピタルが現れ、そこから半年後ぐらいに、ポストバリュエーションで「33億なら認める」という話になりました。

 

妥協するなら30億までと思っていたので、そこからやっと話がまわり始めました。最終的にはシリーズAで、そこから9カ月後、15億円集めることができた、という流れです。

資金調達のポイント

資金調達できる、できないの差は、事業計画の信憑性です。この売上利益を達成できるか、否か、というところなので、売上利益をあげられますか、というところに関して、当然やってみないとわからない。一部の技術も開発途上ですし。

 

でも、我々のテーマの選び方が、世の中にないモノで、人の生活を変えられるモノで、最後の技術的なハードルが高いモノ、というのは競争力の話だけなので、どれだけライバルの出現を抑えられるか、ということで、これは置いておいたとしても、最初の二つが実現した瞬間に、絶対に売れるに決まっています。

 

世の中にないモノで、本当に皆が求めるモノで、値段がある程度逸脱しない範囲に入れば、絶対売れますよね。ロジックも一応組んでいますので、技術開発さえきちんとできれば、事業計画はきっと達成できるはずです。

 

そうすると、技術開発が狙い通りできるか、というところですが、そこは我々が一番自信のあるところで、狙ったものは必ずやるし、一番難しかったランドロイドもある程度道筋が見えていたときだったので、納期通りものはきちんとできるはず。

 

であれば、結果的には事業計画の通りにいけるはずだ、ということなので、そこさえ理解してもらえたら、当然バリュエーションはそのままディスカウントキャッシュフローで出てくるわけです。あとは本当にそれを理解してくれる人に出会えるか、否か、というところだけだと思ったので、とりあえず回りまくった、ということです。

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