今回のインタビューでは、レアジョブCFOの藤田利之氏に、「レアジョブの事業内容」や「オンライン英会話事業で上場できた要因」、「ベンチャーのCFOとしての活動や今後の戦略」について菅野(起業tvディレクター)が伺いました。

Part1 レアジョブの事業内容とオンライン英会話事業で上場できた要因

Part2 ベンチャーのCFOとしての活動や今後の戦略

事業内容

無料のインターネット通話ソフト=Skype™(スカイプ)を使用してマンツーマンの英会話レッスンを提供しています。1 レッスン(=25 分)を毎日受講できて月額 5,800 円(税抜)、他 3 種類の料金プランを揃えています。レッスンは早朝 6 時から深夜 1 時まで開講。英語を公用語とするフィリピン人 講師を採用し、利用しやすい価格で、楽しく、学習効果の高い英会話レッスンを実現しています。
ユーザー数 25 万人を突破、導入企業 300 社以上のオンライン英会話サービスに成長し、2014 年 6 月に東証マザーズに上場しています。

経歴

大学卒業後、事業会社、監査法人を経て、ITベ ンチャー企業の取締役CFOとして、東証マザーズを実現。その後、M&Aや 企業再生の経験を積みたいとの思いから、あずさ監査法人の子会社である株式会社KPMG FASに転じ、2012年4月、再びベンチャー企業である現在の株式会社レアジョブに入社し、2014年6月、2度目の東証マザーズ上場を実現。現在、取締役CFOと して、財務、経理のみならず、人事等管理部門全般を担当。公認会計士。

レアジョブの事業内容について(0:15~)

質の高いネイティブと英会話レッスンが月額5800円から

「レアジョブ英会話」というサービスを提供しています。Skype(無料通話ソフト)を使ってフィリピン人の講師の方とマンツーマンの英会話サービスを提供しています。一番人気のプランは月額5,800円で毎日25分、英会話ができるプランとなっています。
オンラインですので、朝の6時から深夜の1時まで、インターネット環境下であればどこでもレッスンが受けられ、講師に関しても3800人が在籍常勤していますので、自分に合った講師を選ぶことが出来るのも大きな特徴です。

日本法人の社員の様子について(1:40-)

日本法人の役割とフィリピン法人の役割

日本法人は男性が7~8割、女性が2~3割という状況で、主にマーケティングとシステム開発、管理系、経営企画、あとは広報が中心の業務になっています。フィリピンの方は逆に女性の方が多く、3800人の講師の採用から教育、教材の作成といった業務分担をしています。
日本法人では、お客さまが使いやすいwebサイトの開発を含めてのエンジニア職の構成比が高くなっています。

同種の英会話サービスの中でレアジョブが最も早く上場できた要因(2:57~)

先行者メリットと細かいサービスが上場の決め手に

オンライン英会話という成長市場でいち早く高いシェアを獲得し、先行者メリットを取れたことだと思っています。その要因として、口コミの効果が大きかったと思っています。創業当初は資金力もないですし、広告宣伝が積極的にうてる状態ではなかったのですが、従来の教室系の英会話からすると圧倒的に安く、本当に英語を学びたい人に素晴らしい機会の提供をしていましたので、早いうちにファンがついてくれて、彼らが広めてくれたことが大きかったです。
システム的にはSkypeを使っていることで、通話ソフトでの差別化は難しいのですが、周辺のオペレーションをはじめとする細やかなサポートの差が最終的な差になってきますのでフィリピン大学(フィリピン国内における最高学府)を中心とした講師の質の高さや教材の質の高さ、カスタマーサポートの質の高さが結果的に大きな差となり、IPOに繋がったと思います。
フィリピン大学の講師を採用して、サービスを始めています。最初に学歴が高く、英語力が高い講師を集められたこと。良い講師を初期に採用することにより講師間で口コミが広がっていったこと、沢山の母集団の中でスクリーニングをして(良い人材を)早くから選んでいけたことで質が担保できたのかなと思います。

IPOの過程の中でCFOとして最も大変だったこと(0:13~)

法整備が整わない途上国でIPO水準まで引き上げる困難さ

IPO自体で最も大変なことはIPOに向けた組織づくりや体制づくりに尽きると思っています。当初は月次の体制も権限移譲も規定もなければ、フィリピン法人の損益管理もできていませんでしたし、システムの不正アクセスを受けるとか、こういったところに会社の成長の歪みが表れていると思いましたので、体制整備を1つずつやりながら改善していく(ことに尽力しました)。
海外子会社を持っているベンチャー企業は多いと思うのですが、我々の会社はフィリピン法人の方が日本法人よりも倍以上いるという会社となっていまして、IPOのプロセスではフィリピン法人の管理体制が日本法人のレベルに近くないと上場できない。
法整備が整っていない国で、その水準にまで引き上げることが非常に難しい中でIPOに適応できる体制を作っていくことが特に大きな最後の課題でした。

過去の資金調達の目的と背景(3:40-)

金銭面と事業面でのシナジーを期待した資金調達

2008年の調達目的は、レアジョブのサービスを本格的に盛り上げていくための資金面+経営アドバイスを期待しての調達と聞いています。2013年の調達目的は財務体質の改善もありますが、新たな成長ステージに行くための資金調達でもありました。
事業会社の知見も含めて新しい形のサービスを作っていくために、金融系VCではなく事業会社系VCを中心に調達させていただいて、金銭面だけでなく、事業面でのシナジーを合わせて取ることで、次の成長ステージに向けての仕組みを作りたかったことも目的としてありました。

株価を安定させるための戦略(5:40 -)

ステージごとに戦略を切り替える

マスの中でいかに勝っていくのか、第二の戦略が常に必要かと思っています。その意味では粛々と会社としてステージごとに戦略を切り替えてやっていくことが重要かと思っています。

CFO藤田氏のレアジョブへの入社への経緯・動機(7:10 -)

ITバブルの経験と新たな成長市場を探して

私自身、以前のITバブルの時に一度IPOを経験しています。それからしばらく事業再生やM&Aのコンサルタントやアドバイザーの仕事をここ数年はしていました。
転職活動にあたり事業再生のCFOをやろうと考えていたのですが、新しいサービスや産業、新しい成長市場が生まれるサービスをやっているベンチャーに改めて行こうかなと思い、その中でたまたまレアジョブに出会ったことが経緯になります。

ベンチャーで働くことに関心のある方々へのメッセージ(9:10 -)

知識の豊富さに勝る、新事業・サービスへの興味

学生の方に関して言えば、現在の大企業は今がピークである可能性が非常に高いと思います。自分たちが入社何年後か経った時の将来の大企業を探しに行くという意味ではベンチャー企業は1つの選択肢だと思います。これからの多様性の中で独立したり、1人で食べていく能力を早めに身につけることも必要なので、何でもならないといけないですが、ある面ではいち早く色々な経験ができるということもありますので、そういう生き方を選択することもこれからの時代はあるのかなと思います。
CFOや経営管理のスタッフで転職を考えている方に向けてメッセージとしては、世の中の新しいサービスやトレンドに興味がある方はベンチャーに向いていると思います。財務や人事の知識は必要ではありますが、ベンチャーで求められる知識はそこまで高いわけではありません。もっと重要なことはベンチャーにおける新しいビジネスモデルとそれに則した管理体制をその時々で考えられることかなと思っています。既存の知識がありすぎても大企業で見たものをベンチャーで当てはめても必ずしもうまくいくわけではない。そこの知識が豊富というよりは新しいサービス・ビジネスや市場に興味があって、それがなぜ成功しているのか、これからどうなるのかを考えられる方であれば多少知識が足りなくても挑戦していけばいいのかなと思います。

編集後記

「現在の大企業は今がピークである可能性が非常に高いと思います」と言うのは、自分自身のキャリアを考える大学生にとって印象深い言葉だと思います。将来の大企業を探すことは難しいと思いますが、起業tvでベンチャーの経営者やCXOの言葉を聞き、人柄や事業に魅力を感じ、その会社を志望する人が増えてくれるといいですね。
また、「財務や人事の知識は必要ではありますが、ベンチャーで求められる知識はそこまで高いわけではありません」というのも、転職を考えている方にとってベンチャーに入る後押しになる言葉だと感じました。高い専門知識よりも、ステージに合わせた戦略を立てることが重要であり、知識一辺倒では対応しづらいことが伝わってくる動画に仕上がっていると思います。

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