化学メーカー・エネルギーメーカーとの連携

化学メーカー・エネルギーメーカーとの連携

我々は、マイクロ波を使った研究開発からエンジニアリングにフォーカスして、それをビジネス・サービスとしてお客様に提供しています。
主なお客様は化学メーカーやエネルギーメーカーであり、彼らとの提携を非常に重視しています。
これまでも、世界最大の化学メーカーであるBASFや昭和電工、東レエンジニアリングなど、いくつかのメーカーと連携してきました。
もう1つ、我々自身が「化学産業を変えたい」と思って事業に取り組んでいるのですが、化学産業というのは、実は薬から燃料まで非常に幅広い産業です。よって、我々自身が単独でやるにはあまりにも大きすぎるのです。
我々はニッチな製品だけを作るベンチャーになりたくないので、幅広い分野で事業を展開しよう思えば、やはり提携して技術を広めていくのが重要ではないかと思っています。

大企業との連携で意識していること

1つ重要視しているのは、我々とのプロセス開発、あるいは「こういう製品を作りたいんだ」ということに対して、本当に心からそのメーカーがやりたいのかということです。会社としてそれを経営課題と考えていたり、本当にやりたいことをお互いにやっていくことです。
大手メーカーとベンチャー企業というのは全く文化が違うので、一緒にやっていく過程で数多くのトラブルに見舞われます。
それを乗り越えていくためには、双方がすごく努力しなければいけません。双方が努力するためには、本当にやりたいことでないと途中で努力をしなくなってしまいます。
よって、連携を成功させるためには、本当にやりたいと思うことを一緒にやっていくことです。我々も当然そこに100%努力し、それを実現するように取り組みます。そういうのが非常に重要だと思います。

「リアクターだけ」は売らない

我々はものづくりの方法を売る会社なので、「リアクターだけを売ってください」という話がよく来るんですけれど、これはノウハウの流出につながるので基本的にはお断りしています。
我々も多くの特許を取得していますが、どんなに特許で守ったとしても、どうしても外に流出するものだと認識しています。
ただ一方で、我々はマイクロ波化学の「会社」を立ち上げていますが、マイクロ波化学の「産業」を立ち上げるという側面も担っていると考えています。
産業を立ち上げるとなると、技術をある意味流出させる、移転していくことも必要です。そこは技術流出について過度に心配するのではなく、むしろそれは我々としてはありがたいこととして捉えています。
つまり、技術をメーカーにある程度そのまま技術移転していくことは、市場や産業が立ち上がる過程において重要なことかなと。だから、過度に守ろうとするのではなく、むしろどんどん使ってもらおうと考えています。
そのためにも、技術に対する対価を得ること、そして我々自身がさらに進化し、市場あるいは産業を引っ張れるような立場になることが非常に重要ではないかと思います。

ベンチャー企業の特許戦略

かなりテクニカルな話ですが、例えば特許に関して言えば、我々は主に2つの事務所と契約しています。
1つの事務所には、特許戦略の観点から「どうやったら強い特許・価値の高い特許を取れるか」というアドバイスをもらっています。もう1つの事務所には、「どうやったら特許が成立しやすいか」という側面で見てもらっています。
すなわち、取りやすい特許を取ろうとすればするほど、請求の範囲が狭くなってしまうのです。ただ、そうすると特許自体の価値が減っていくので、うまくバランスをとれるような体制にしています。
 
マイクロ波化学・吉野巌代表が語る、創業期の苦労「得意分野に特化しないことが、大正解だった」【後編】はこちら
 

 (インタビュアー:菅野雄太、撮影者:高田梨菜)

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