経歴

1999年信州大学医学部卒業、東京女子医科大学病院循環器内科学に入局。2004年12月に株式会社メディカル・オブリージュ(現メドピア株式会社)を設立し、代表取締役社長に就任。現在も週一回の診療を継続し、医療現場に立つ。2013年に企業家表彰制度「EY Entrepreneur Of The Year 2013 Japan」でファイナリストに選出。2015年3月より、日本テレビ「世界一受けたい授業」に講師として出演。

医師の「集合知」を集めるサービスを運営


弊社は2004年設立で、現在11期目に入っている会社です。私自身が医師であり、医師専用の会員制サイトを運営しています。
医師の会員は現時点で7万7千人で、実は日本の医者は30万人弱しかいないので、日本の医者の大体3.5人に1人が会員ということになっています。
医師の利用は全て無料になっていて、薬の「食べログ」みたいなサービスを運営しています。
医師は自分たちが薬を処方する時、処方の実感というのを持っています
薬の切れや副作用が出やすい、出にくいとか、コストパフォーマンスが良いとか悪いとかいう軸で薬を評価していて、そこに医師は自分たちの知見を集めてくる。
それを我々は集合知と呼んでいて、そちらの集合知を集めるため、もしくは利用するために医師が集まって来ますので、そちらの場を通じてプロモーションをしたい製薬企業等がお客様になります。
新しい薬を出した時などに医師は我々のサイトに来ますので、そのタイミングで宣伝していただくビジネスモデルです。
創業時から行っているサービスとしては「医師求人情報サービス」があります。
医師はいわゆるハイスペック人材にあたりますので、転職のタイミングや、非常勤の仕事を探す時などに、医師の情報を人材紹介会社に提供するビジネスです。

将来的には患者にも還元していく

現在は医師の集合知を集めてくる仕組みはある程度作り、その集合知に投稿してくれる医師の会員数もある程度できたと思います。
こちらを今後はコアにして、医師にも返していきたいですし、将来的には患者さんにも返していくようなサービスを企画していきたいです。

医師目線にこだわったサイトづくり

会員の獲得はかなり苦労して、サイトとしてのこだわりを作らないと、他にもたくさんサイトがある中で入っていただけないと思います。
私は今も週に1回臨床医を続けていますが、1つこだわっているのは医師目線というところです。
我々の立場としては集合知を集めてくるというビジョンのもとに運営していますので、医師の目線でいろいろな情報が整理されていなければ意味がありません。
わかりやすい例で申し上げると、医師にとっては薬はあくまで治療のためのツールなんですよね。
病気の単位で情報を並べていくというのは、医師にとっては思考の流れをイメージできる情報の整理の仕方で、逆に薬だけ並んでいても、イメージとはだいぶ違います
医師側の目線から、「どうなっていたら便利だろう」という視点はこだわって作っています。

参入障壁は厳格に医師認証をしてきた会員

医師はなかなかテレビも見ないし、新聞も読まなかったりするので、リーチするのが非常に難しいです。
もう1つは、医師であることを確認することがすごく難しくて、我々はすごくアナログに確認しています。
医師の登録がインターネット上であった場合には勤務先に電話をしたり、医師免許証を画像で送っていただくなど、インターネットの世界ですがすごく手間のかかることをやっているので、これが参入障壁になっているのかなと思います。 

「なんとなく面白そう」と会社をつくった


私自身はもともと1999年から医師をしています。5年目に起業していますが、流されてつくったというのが実際のところです。
起業時は「集合知を使って世の中を変えよう」などと実は何も思っていなくて、「医師求人情報サービス」がなんとなく面白そうだということで始めたのがきっかけです。
第二創業的に今のMedPeer(メドピア)を起こした時が、本気でビジネスにコミットしたというタイミングでした。
2007年にMedPeerを立ち上げたんですけども、自分自身がビジネスに対して自信がなかったというか、お金を稼ぐことに関して少しネガティブな感情でいました。
その時に読んだ「ビジョナリー・カンパニー」という本で、理念と利益を最大化するという章があったんですね。
それまでは、利益を上げるためには誰かをもしかしたら騙さなきゃいけないとか、もしくは理念をひたすら追いかけるならば利益を上げてはいけないと考えていました。
しかし実際にはそうではなくて、両方を目指していいんだと本を読んで腹に落ちた部分がありました。
家系としては珍しいというかハイブリットで、母方は医師の家系です。
兄も医師ですし、従姉妹も医師が多いし、叔父さん、おじいさんも医師でした。
父方は大工の家系で、みんなものづくりをしていました。
そう考えると、自分の周りにはいわゆる普通のサラリーマンはいません
その辺は自分が起業した背景として1つあるのかもしれません。

ターニングポイントはファイザーとの提携


プラットフォームができ上がるまでビジネスとしては何でもないので、非常に事業化に苦労しました。
資金繰りはかなり大変でしたが、そのタイミングで2010年にジャフコさんが出資してくださって多少手当できました。
サービスとしては、「医師側の薬の口コミ評価サービス」は医師にとってはウェルカムなものであるという実感は得ていたのですが、会員の獲得にも積極的に投資して、プラットフォームを大きくしてもなかなかお客さんが付いてくれませんでした。
その中で世界で最大手のファイザーと2011年の秋に提携させていただきました。
それまではいいところまで提案できても、最後のところで成約に至らないことが続いていましたが、2011年のファイザーとの提携を機に、他の製薬メーカーの方が「ファイザーがやるのであれば使ってみよう」となりました。ファイザーとの提携で潮目がだいぶ変わりました。
ビジネスでよく「ヒト・モノ・カネ」「情報」と言いますが、やはりお金がないと人も大変になります。
当時、自分自身も経営者としてかなり未熟だったと思いますので、内部をうまくまとめられないという問題が起きました。
2010年から2011年にかけて、私自身も会社としてもかなり試練のタイミングでした。この2年間で20名弱の組織になっていましたが、あるタイミングでカウントすると7名まで減ってしまいました
メドピアではやりたいことが実現できず、仲間が辞めてしまいました。
自分が実現したいことをより早く言語化し、それをメンバーに伝えて理解してもらい、相手がメドピアで何を実現するかというレベルまでしっかり引き上げるような「実現する姿」を個別で作り上げることができたら、もう少し早いタイミングで成長できたのかもしれません。

ストーリーラインをつくる

なんでこの事業を創業者はやっているんだろうというところを一番見るのではないかなということを個人的に思っています。
それはキャピタリストによって違うのかもしれませんが、私はせっかく仕事をするのであればそういう方と会いたいと思っていました。
まず初めに、なぜこの事業をやっているのか、その背景としてこんな原体験があり、そこに紐付いてこういうビジネスがあって、こういう収益源になるというストーリーラインをしっかり作るイメージを持っていました。
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