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後継者の事業革新

後継者の事業革新

高い技術力を誇る研究開発型メーカー 、I.S.T・阪根利子社長の「2代目としての覚悟」【後編】

今回のインタビューは、株式会社I.S.T、阪根利子社長に、「起業で大切なこと」や「今後の成長戦略」についてお話を伺いました。

テーマ選びが最も重要

上場目的で最終的にエグジットする方も、我々のように上場せずに自分のところで生産を続けていこうという立場の方でも、

一番大事なのはテーマだと思います。

 

会社を設立するときもそうですし、我々のような研究型の企業にとってもそうですが、テーマ選びがすごく大事です。

ふと思いついたとか、自分がこれに長けているというので、そこだけでやっていっていいのかというとそうではありません。

 

投資家を募る場合もそうですし、自分でやっていく人でもそうですが、

テーマの将来性を周囲の方は見ると思うので、自分たちのお金を全部投げ打ってもいいかどうか、

というテーマにしないといけません。

 

今、自分がこれに長けているから、これをやれば売れる、

と思っても先が続かないとなると、賛同してくれる投資家も少なくなります。

 

アメリカのようにキャリアを積むために頻繁にやめていく人が相手であればそういうことはないのかもしれませんが、

日本のように終身雇用的なところがあったり、あるいは我々のように技術に長けた人間を育てていきたいという場合は、

長いスパンで物事を考えないといけません。

 

そうすると、一個の可能性だけを追い求めて起業してしまうと、

その一個のブームが終わったり、その技術が完成してしまうと、そこで終わってしまいます。

 

しかし、それでは会社は成り立ちません。

いろんな細かい事務的な失敗よりも、

そういう見通しの甘さで会社が消えてしまうのだと思います。

 

会社を起業するときのテーマ選びはとても大事です。

そこを間違うと将来がないので、そこは熟考しなければならない点だと思います。

長いスパンで考える

技術者を育てなければいけない事業なので、大学を出ていきなり戦力になるかというとそうではありません。

 

特に我々は世の中にないものをつくらなければいけませんし、原料をつくるので、それを使ってお客様が使うときに変なものができてしまいます。

 

原料は最高のクオリティでなければ、最終製品もいいものができないので、

そういう意味では、発明も大事ですが、最高のスペックに仕上げること、それを維持し続けることも大事です。

 

そのためには、長いスパンでその技術をキープできる技術者を育てる必要があるのです。

そう考えると、2、3年で終わるようなテーマ選びは大失敗につながると思います。

これからのI.S.T

父が植えてくれた様々な技術の種が育って、芽が出てきて、

実際に量産してお客様に提供できるという形になってきた案件がいくつかあります。

 

その中に透明ポリイミドという原料があり、フィルムにしても茶色いものなのですが、

無色透明でクリアなレジンを我々が開発し、それによってフィルムを作りました。

 

一番簡単な例でいうと、折り曲げスマホ、フレキシブルスマホです。

そういうものには有機ELが必要で、有機ELを実現するには透明のポリイミドでなければいけないということが分かってきました。

それをつくっているのがI.S.T、というところまで認知されるようになりました。

 

「加工屋なのに、そういうこともやってるの?」という感じで、

特に日本ではお客様と生産者が対等の立場というのは難しいかもしれないですが、

我々は技術を誇っているので、技術的に可能であるところと、ないところをすり合わせながら新しいものをつくっています。

 

そういうことを対等に言える立場を築きたいので、

「こんなすごいことをやっているんだ」ということをもっと知ってほしいですし、

I.S.Tクオリティもぜひ知っていただきたいです。

 

最終製品をやっているわけではないので、

「何をやってるのか分からない」と思われることも少なくありません。

 

しかし、今後新しい材料によって、

今まで世の中になかったものを最終製品をつくってくれるお客様に提案していきます。

 

そんな最終製品ができるのも、我々が新しいものをつくったからこそ、と思っていただきたいですし、

それをするためには会社自体の認知度もあげていきたいと思っています。