8期連続の赤字、法律事務所を経営して弁護士ドットコムの運営資金に

8期連続の赤字、法律事務所を経営して弁護士ドットコムの運営資金に


-どのようにして今のビジネスモデルに到達したか教えていただけますか?
当初は弁護士ドットコムはユーザーからも弁護士からもお金をいただかない無料モデルとしてスタートしました。一見さんお断りというスタイルが当たり前だった世界で、突然ユーザーと出会うために弁護士にお金を払うという行動はとってもらえないだろうと少し時代待ちなところはありました。
 
ユーザーに関してもまだ生まれたばかりのサイトにお金を払う人もなかなかいないだろうということから、どちらも無料でいこうと。無料となるとトラフィックから生まれるわずかながらのGoogleアドセンスの収益で微々たるものでした。
 
最初は厳しい船出だったのですが、ユーザーの具体的な感謝はひしひしと感じていました。実際に相談や問い合わせも生まれましたし、弁護士ドットコムでいい先生と出会えましたとユーザーからわざわざメールをいただき、これは必ず役に立つのだと実感しました。
 
やはり自分が思った通り、今の時代、ネットの時代に困っている人はネットで検索して最適な弁護士や解決のヒントを求めているので、これはやるべきだと腹をくくりました。
 
じゃあこの運営資金はどこから捻出するのかというところで弁護士の資格が活きてきまして、ありがたいことに起業をしているベンチャー弁護士としてメディアに取り上げていただき、顧問を依頼したいと同世代の経営者たちから依頼いただく機会が増えてきました。
 
こっちで頑張って弁護士ドットコムの運営資金に回そうということで、実質8期連続の赤字の期間中は法律事務所も経営をし、その資金で弁護士ドットコムの運営資金に回すという運営形態を取っていました。
 
その中で少しずつ収益モデルが生まれて、ユーザーのトラフィックも増えました。増えたきっかけが2007年5月にみんなの法律相談という、無料のQ&Aサービスをスタートして投稿がどんどん増えました。投稿に対して弁護士が回答をつけると、そのQ&Aがページとして増えてきます。
 
それが検索エンジンにインデックスされて、検索流入がどんどん増えるようになりました。検索流入が増えると投稿数も増えて、指数関数的に投稿数とトラフィックが増えてきました。そんな中、無料相談が一万件近く増えてきたときにモバイル版をスタートしました。
 
どこで課金ハードルを設けようかと思ったとき、弁護士法という複雑な法律があり、どこでもハードルを設けられるわけではないのですが、既に溜まっていた一万件以上のQ&Aデータベースの閲覧料金という形だったらいただけるだろうと思いました。
 
yahoo知恵袋などをベースにみんなの法律相談をつくっているのですが、サイトに訪問する人のわずか10%しか相談せず、そのほかの人たちは他人が過去に質問した似たようなものから解決のヒントを得ているという調査結果をたまたま目にしたので、「課金ハードルを設けてみたらユーザーが課金するのでは?」と思いスタートしたところ、順調に有料会員へコンバージョンしていきました。
 
それで初めて月額ストック型の収益モデルが生まれたのが2009年12月でした。その後は2013年8月に開設8年の期間を経て、弁護士に有料会員のプランを販売開始したところ順調に販売が拡販していきました。その中で収益モデルが生まれていきました。
 
また月間訪問者数も増えていきましたので、そこに対する広告収益という形で今の収益モデルに繋がっています。

月間サイト訪問者数100万人と弁護士を取り巻く外部環境の変化


-どういう意図で第三者割当をなさったのか教えていただけますか?
弁護士ドットコムも徐々に成長してきまして、月間サイト訪問者数が100万が見えてきました。
 
100万というのはウェブサービスとしては収益化が安定していく一つのタイミングだと私自身は見ていたので、いよいよそのタイミングが近づいてきたというのと、2010年の武富士の破たんをきっかけに過払い請求の特需がピークアウトしていきました。
 
いよいよ弁護士も積極的にマーケティングしていく時代だという機運が高まってきて、2012年8月にタイミングがぴったり合って、外部の方の資本を入れて対外的な責任をそこで持つというのと、デジタルガレージさんであればお金だけではないナレッジを提供いただけるということを期待して、外部資本を入れました。
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