事業をピボットした背景とは?

Technology outではなくproblem solving

2013年2月に始めてからはまず、画像認識の分野で「Categorific(カテゴリフィック)」というのをつくっていました。
その時は、画像や映像を持っている事業会社のニーズは何かを聞き回っていたんです。そこにある需要から最小公倍数を求めて、実際に形にするという発想でした。
技術があるから、それに関連するニーズを持っているはずだろうと考えられる人達の話を聞いて、そこからプロダクトにすることをやっていて、それは2015年の5月ごろの「Labellio(ラベリオ)」くらいまでずっと続けていました。
ですが、最小公倍数はほとんどなかったという結論になりつつある中で、ラベリオをつくって世の中に出したタイミングと、ある出来事が重なりました。
それは、『SLUSH ASIA(スラッシュアジア)』というイベントで、500 Startups(ファイヴハンドレッド・スタートアップス)のデイヴから結構厳しい指摘を受けたことです。
それまでにもいろんなベンチャーキャピタリストから言われていたのと同じポイントなんですが、それまではずっと「いやそれは違う」と言ってきていたところで、そこまで有名な人に、しかも「SLUSH ASIA」という場所で言われてしまい、あまりへこまない僕でも結構へこみました。
「このままやっていても先が見えない」という正直な気持ちをチームに話したりして、「そもそもTechnology outじゃなくて、problem solvingの方向でゼロベースで考えないと」と議論をする中で、「じゃあ金融の方に行こう」という話になり、「Capitalico(キャピタリコ)」をつくることになりました。

自分自身の ”痛み”を解決するのが「Capitalico」

とにかく、「痛みを解決するのは何なんだ」というところです。
何の痛みを解決するのか、その痛みを定義できないとたぶん事業は続かないと思っています。
特にスタートアップは時間がなければお金もないし人もいないので、集中しないといけなくて。
痛みを聞きに行くところからやっていたら時間切れになるということがよく分かりました。
僕らみたいな技術があるチームは、この技術があることによって余計に「それで何かをしよう」と考えると思うんですが、僕らの経験から言うとそれは大きな間違いであり失敗です。
そういった意味で事業の選定のポイントは、技術アウトではなくて、痛みを解決するんだということ、そしてその痛みは誰かの痛みではなくて、自分のもの、もしくはメンバーの誰かのものであることです。
その業界のことをちゃんとわかっているから、その痛みが他の人達も持っている可能性が高いことを確度高く言えるのだと思います。
痛みを解決するための手法は、技術が出てきてマーケティングが出てきてという順で進んでいくので、先に技術があったとしても痛みがないと意味がありません。
解決策がどれぐらいの値段になるかは、「これだけ毎日涙を流して、こういうことをやってたけど、それを解決してくれるのなら払います」というふうに、痛みが分かってる人は恐らく分かるはずなんですよね。
今回のCapitalicoは僕自身の痛みでもあるので、それを技術の力で解決できるとしたら本当にすごいことだというのが実感としてあります。

ビジョンでメンバーの足並みをそろえる

Capitalicoが解決するのは僕ひとりの痛みなので、他の人がやるインセンティブがあまりありません。
だから、こだわったのは「最終的に何を目指していくか」という事業の上にある大きなビジョンのところで足並みをそろえるというところで、そこは突き詰めて考えていました。
そのビジョンを浸透させる前にはまず研ぎ澄まさないといけません。
ビジョンは結構抽象的だと思うんですけれども、単語レベルのものを聞くだけで「なるほどね」と納得できるところまでそぎ落とす作業が一番大変だったと思いますね。
ビジョンを浸透させるという意味では、まずそれを説明した時に「なるほどね」とならなければだめなので、そこは継続的にいろんな人に対してやっていっています。
ちなみにAlpacaのビジョンは「人らしく生きる」なんですが、その「人らしく生きる」というのはこういうことで、キャピタリコがやっていることはこういう風につながるんだというところは、ロジカルに毎回説明して、常にそこに戻れるように意識しています。
 
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