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【新人教育】リクルートマネジメントソリューションズ・的場正人氏が語る『今の若者に響かない4つのセリフ』(後編)

今回は元リクルートのトップ営業であり、現在は営業強化のコンサルタントとして活動している リクルートマネジメントソリューションズの的場正人氏に、「今の新人・若手育成のあり方」について伺いました。

 

新人がヒアリングできない理由とは?

「一方的に話さずにヒアリングしなさい」。これがなぜ、なんのアドバイスにもなってないのか、分かりますか?これは、「一方的に話す」という行動の裏にある、若手のものの見方によってアドバイスが変わるからです。

 

若手が、お客様の話を聞かずに一方的に話してしまう理由はなんだと思いますか?これには正解がなく、10人に聞いたら、全員違うことを言うかもしれません。私は今まで、何人もの若手に聞いてきました。

 

実は、一番多かった理由は、「ヒアリングをしてしまうと、自分が答えられない話題になるのが怖い」というものでした。

 

つまり、自分が知っているテーマを話しているうちは、そのテーマでいけるけど、「ちなみに、今、何に関心がありますか」とヒアリングしてしまうと、自分が詳しく知らないテーマになって会話につまってしまうかもしれないことを恐れて、若手は自分の話しやすいテーマに強引に持っていってしまうのです。

 

これが本音だとした時に、「お客様に対して一方的に話さずに、ヒアリングしなさい」ということが、何のアドバイスにもなっていないということに気が付きましたか。この解決策は、若手がどういう理由で一方的に話してしまうのかという、真因を引き出して、その真因に対してのアドバイスをしてあげない限り、何のアドバイスにもならないのです。

 

そういう時は、ぜひ、お客様にヒアリングするのと同じように、新人や若手がなぜそうしてしまうのか、真の心理や本音を引き出すヒアリングを皆さんがやってみてください。

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営業は必ず結果が求められます。結果を出すためには、行動を変えなければなりません。三流の指導は“結果管理”です。「お前さ、10件訪問してくるって言ったのに、なんで5件しかやってないんだ」「1000万の受注をしてくるって言ったのに、なんで700万なんだ。残り300万どうするんだ」、これは結果管理です。

 

もう少しレベルが上がって二流の指導は“行動管理”です。同行訪問して「一方的に話さず、もうちょっとヒアリングしろよ」、これは行動の指摘です。結果管理よりは具体的な指導で行動改善に繋がりますが、箸の上げ下ろしのような行動指導を続けると、まさに“指示待ち新人”を育ててしまいます。

 

では自立的に考える若手が育つ、一流の指導とはどんな関わり方でしょうか?。「結果」を変えたければ「行動」を変える。「行動」を変えたければ、その「行動」のもとになっている「ものの見方」を変える。つまりさきほどの若手が、なぜ一方的に話してしまうのか。この若手の「ものの見方」は、「ヒアリングしてしまうと、自分が答えられない話題になるのが怖い」でした。このものの見方を変えてあげる必要があるのです。

 

まずは、お客様の立場に立たせてみて、そんな新人が来たらどんな気持ちになるかを考えさせてみるのもよいでしょう。そして、どうすればよいのかを一緒に考えてあげるスタンスが大切です。

最終的には「分からないテーマになったら、それを宿題として持って帰ってこい」というアドバイスも良いかもしれません。お客様の立場になってみたら、このように対応してくれる営業のほうがありがたいですよね。しかも、次のアポイントにもつながります。ぜひこのようなやり取りができるように会話を工夫してみてください。

 

「分からないことがあったら、気軽に相談に来なさい」も同じです。なぜ若手は相談に来ないのか。相談に来る・来ないは行動ですから、来ない若手のものの見方、これもぜひ本人に聞いてみてください。

 

皆さんが指導者であれば、若手にとっては、もう一つ壁があります。皆さんが偉い人であればあるほど、肩書が上位者であればあるほど、若手は本音が言いづらいのです。往々にして、若手のものの見方は、少し言いづらいことだったり、ずれたことであることが多いのです。

 

先ほどのように、「お客様にヒアリングをすると、分からないテーマになるのが怖い」、という自分の気持ちは、心を開いて「この人だったらなんでも言える」という人にしか言えないですよね。「馬鹿か!そんなこと考えていて!」と叱ってきそうな人には言えません。安心して言える関係を、日常的に皆さんが築いていないと若手は本音が言えません。そのような関係を築けたら、きっと若手の本音が出てきます。

 

皆さんがしかめっ面をしていて、声を掛けるのが怖いとか、もしくはすごく忙しそうなので、話しかけたら迷惑に思われそうだとか。あとは、馬鹿だと思われる、そういうレッテルを貼られるのが怖い、こういうことも多いです。ぜひその若手に、本音を確認してみてください。

 

これからの若手育成の四つのポイント

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これからの時代の若手育成のポイントを四点にまとめます。

 

一つ目。成長するかしないかを分けるのは、仕事そのものです。仕事・経験が若手を育てます。つまり、どのような仕事を若手に任せ、どのような経験をさせるのか、この“経験デザイン”が一番重要です。

 

昔自分がやっていたような仕事をそのまま若手に任せる場合、二つのパターンに分かれます。丁稚奉公のような仕事しか渡されず「こんなことをやりたくて、大学出て、この会社入ったわけじゃない」という状態になって育たないパターン、もしくは、上司・先輩しかできないような、難しい仕事を思い切って渡したものの、そのまま放置し関わらずに火だるまになるパターン。このどちらかのパターンでつぶれるケースがとても多いです。

 

今の若手にとって、成長するのにちょうどよいレベルやサイズの経験をデザインするためには、少しだけ難しい仕事を、上司・先輩が適切に関わりながら、ちょうどいいサイズに整えてあげることです。これを企業や指導者側が、意志をもってできるかどうか、成長に繋がる適度な仕事を与えられるかどうか、これが一つ目のポイントです。

 

二つ目。若手の価値観に合った動機付けを行う。つまり、指導者世代が動機づくことではなくて、若手にとって響く動機づくりです。「会社の数字、目標達成のために頑張れ」では、今の若手は動きません。自分の成長にどう繋がるのか、お客様にどう喜ばれるのか、社会にどう貢献できるのか。この辺りが、今どきの若手の動機付けのポイントとなりますので、そことの繋がりを丁寧に会話してみてください。

 

三つ目。小さなことも含め、何でも話してもらえる安心と信頼の土壌を築くことです。これが上司・先輩が思っている上に、若手にとっては高い壁だと思います。指導者側は「自分はフレンドリーだから、何でも言っていいんだよ」と思っているかもしれませんが、若手はとてもハードルを感じていることが多いので、この関係をどう築けるかです。

 

四つ目。若手の「結果」・「行動」・「ものの見方」の内、「ものの見方」を育てることを常に意識することです。そのためには、個々の若手のものの見方を引き出します。

以上四点をぜひ心掛けてみてはいかがでしょうか。

 

指導者の方々へのメッセージ

最後に指導者である皆さんにメッセージです。中には、「なんで上司や先輩が、そんな手間暇かけて、若手に迎合しないといけないんだ」と思う方もいるかもしれませんが、これは決して迎合ではありません。世の中、時代が変われば経験が変わります。経験が変われば価値観が変わります。価値観が変われば、関わり方や会話の仕方を変えて当然です。

 

指導者側が若手と向き合って腹が立つのは、自分たちと同じ価値観や経験をして育ってきていることが当然だと思っているからです。例えば、皆さんの自宅に若手を招いた時に、若手が土足で入ってきたら、「何をやってるんだ!靴を脱ぐのが当たり前だろ!」と怒りますよね。それは相手を「玄関で靴を脱ぐ習慣がある日本人」だという前提で接しているから腹が立つのです。

 

同じ状況でも相手がフランスの方ならどうですか。「日本では玄関で靴を脱ぎます」、そこから教えますよね。悪気があってやっているのではないのです。経験が違えば、価値観、考え方、ものの見方が違って当然なのです。

 

若手と向き合う、これは実は外国の方のマネジメントと類似の能力が求められます。ダイバーシティーの時代に、「多様な価値観」の人達をどのようにマネジメントするのか、共通点は、同じ価値観を前提としたマネジメントは通用しないということです。「なぜ、これが私の仕事なのか?」「なんのために頑張るのか?」を納得しない状態では動いてくれません。

逆に、納得するとびっくりするほど、意欲、能力を発揮してくれたりします。

 

これからの時代、世界中の企業と競争したり協働していくためには、ITやグローバルに強い若い世代の力や、外国の方の力が不可欠になってきています。それを活かせる方こそがこれから必要とされるリーダーです。

 

つまり、皆さんの企業の中で、こういったリーダーを何人育てられるか。これがこれからの経営の肝になってきます。そういう意味では、いまどきの若手を育てるというのは、とても大切な次世代リーダー育成の機会になります。今日のポイントを参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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登壇者紹介

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(株)リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブコンサルタント
1993年リクルート入社。96年より現在のリクルートマネジメントソリューションズ
へ在籍し、営業の最前線で98年から2001年まで4年連続でMVP.VPを受賞。02年から
営業マネジャーになり、2年連続で最優秀営業課賞を受賞。その経験・実績を活か
し、08年より営業コンサルタントとして数多くの企業の組織強化および営業マネジ
ャー、営業担当の教育に携わっている。
営業組織における勝ちパターンの構築・浸透プロジェクト、これからの時代に通用
する価値提案営業が出来る営業を組織ぐるみで育てる営業教育体系構築プロジェク
トなどの経験・実績を豊富に持つ。 顧客に提供した価値の大きさや生み出したナ
レッジの組織貢献の大きさなどで評価する全社コンテスト「ナレッジグランプリ」
においても歴代最多受賞履歴を持つ。
北海道大学工学部機械工学科卒業、航空機自家用操縦士・航空機事業用操縦士資格
保有、著書に「リクルートのトップ営業が後輩に伝えていること ~一人前の営業
になる6つの習慣」(日経出版)がある。リクルートグループはもちろん、社外講
演も多数こなし、いずれも好評を博している。

 

株式会社アントレプレナーファクトリー

Yuta Sugano

立命館大学経営学部卒業。12年神戸大学大学院経営学研究科入学、14年アントレプレナーファクトリー入社。

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